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固定資産税のない中国、持っている者勝ちだったが・・・

 だいぶ前に宝くじが当たったとしたらというシミュレーションをちょっとやってみた時(笑)に、直接の購入費以外に固定資産税を考慮に入れないと、家を維持しきれないというなということに気が付いた。

 例え1億の宝くじが当たったとしても、1億の家を買ってしまうと固定資産税が払えないのである。

 もちろん日常の収入もあるわけで、そこから負担していけば良いという考え方もあるが、さすがに1億の家ともなると固定資産税も小さくない。

1年こっきりの支払いならともかく、例えば私の場合は平均寿命まであと30年くらいは生きると考えれば、かなり重荷になるのであり、その期間の税額合計が数千万だと考えると1億当たっても、5000万程度の家に抑えないと維持できないことになる。

 故に宝くじが当たったとしても、日本の不動産購入などはその維持費を考えなくてはならない。

 ところで中国には固定資産税がないようである。

 一部に固定資産税がかかる物件があるようだが、それはごく少数でほとんどの家(部屋)に固定資産税がかかっておらず、部屋は持った者勝ちの状況となっている。
(正確に言うと、中国の土地は全て国有なので借地権の売買で固定資産ではないのだが)

 そのため、当初非常に安い価格で購入して、その後どんなに値上がりしたとしても、住んでいる限りにおいては、生活費以外に困ることはなく、大きな負担なく住み続けることが出来る。
 上海ではとても豊かな収入を得ているとは思えないような雰囲気の人たちが、上海の中心部の住宅街で生活をしているのをよく見かけるが、彼らがそこに暮らせるのはそういう理由からである。

 もちろん部屋を複数持っていれば、貸し出して賃貸料を得ることが出来るわけで持っているだけで丸儲けなのが中国の不動産事情ということになる。

 さらに維持費の心配のない不動産は売買において維持費の心配がないので、売買を繰り返して大金持ちに成りあがっていく人も少なくなく、これも固定資産税がない社会のなせる業である。
  先日から登場している私の大家も実はもともと農家らしく、土地開発事業によって農地の代わりに部屋を幾つか貰って、その賃貸収入プラスアルファの労働収入などで暮らしているようだ。

 こんな中国の不動産状況だが、実は来年2020年から日本の固定資産税にあたるような不動産税の導入が決まった?ようである。

 そもそも国有地を借りているだけなのに、固定資産税も何もないという気もするが、そこは何か徴収側に都合の良い理屈が法律に書かれるのだろうと察する。
 まあ詳しい課税の方法は見ていないが、これは不動産投機大好きで値上がりを何より楽しみにしている中国人にとっては一大事である。

 今までは資産価値が上がれば上がるほどもうかる仕組みだったのだが、資産価値が上がると税額にも影響があるために、必ずしも歓迎できない状況となるからである。

 場合によっては不動産市場が暴落する可能性もないとは言えない。

 果たして、順調にこの法律が施行されるかどうか分からないし、施行されたとしても徴収段階において一悶着も二悶着もありそうな予感がする。
 昨年来の米トランプ大統領が仕掛けた貿易戦争の影響と合わせて、中国経済も激動の時代が訪れそうな状況となっている。

いまだに中国を甘く見ている日本人

 最近時々、以前に中国にいた日本人が中国に舞い戻ってこようとしているような情報を耳にする。
 それぞれどうして日本に帰国したのかは知らないし、何故再び中国に足を踏み入れようと考えたのかはわからない。
 ひょっとすると中国式に生活習慣が染まってしまったため、日本に戻っても馴染めなかったり息苦しかったりして中国に戻ろうと考えたのかもしれない。

 「ああ、あの頃は楽しかったなあ、中国ならまだ今でも何とかなるかもしれない」と。

 こんな感じで、中国に戻ってこようとしているような印象を受ける。

 しかしながら、中国、特に上海は経済の伸びが緩やかになりつつあるとはいえ、今もって変化を続けている街であり今や数年前の上海の姿とは違うものになりつつある。

上海の街並み

 もちろん人間はそう急には変われないし、まだまだたくさん粗(あら)を残す部分はあるのだが、上海は本質的には日本とあまり変わらない状況になりつつあり、外国人に対しても以前のような制度の緩さというか甘さは無くなりつつある。

 特に2年前に始まった新ビザ制度の影響は小さくない。

以前は、通常は取りにくい高卒の方でも地獄の沙汰も金次第でコネクションを通せば、労働ビザが比較的容易に取れたのだが、今はそういったコネクションルートというのはほとんどなくなり、基本的にルールに則った正規の方法でしかビザが取れなくなった。

確かに今でも高卒であってもビザが取れないということはないようだが、ハードルは結構は上がったようである。
またこれに関して税金の面でも制度対応が厳格になり、ビザ制度と連動してきっちり税金を納めないと、ビザが延長できないというルールになったようだ。

またこういった外国人に対する制度のほかに、中国人たちがかなり真面目に社会のビジネスルールを守りつつあるようになった。
まあ日本を訪れる訪日観光客のようにマナーの面ではまだまだ問題がある点は多いが、上海では行政側で身分証明書に紐づいた評価ポイントというかブラックリスト制度がつくられたことから、人々のお行儀がよくなった印象がある。

少なくとも違法行為に対する意識が変わった印象で、今までは「バレなきゃいいし、ばれたら罰金を払えば済む」程度だったのが、今では「バレたらヤバイ」になっており、かなり生活態度に影響を及ぼすようになったような印象である。

このように中国人の日常認識にかなり変化が起きているだが、日本人はいまだに訪日観光客のマナー的な部分を指して中国人たちを「ルールを守れない人々」というレッテル付けをして評価している面がある。

更に、先日あるメーカーの方とお話をした際に伺った話だが、中国の工業技術は本当の最先端の部分ではまだ日本に分はあるものの、一般的な工業技術の面ではとっくに中国に追い抜かれ、追いつけなくなっているとのこと。
技術が良い上に価格が安いことから今や太刀打ちできない状態のようだ。

その理由として、熾烈な中国国内の競争があるため技術の進歩が速いのだそうだ。
それに対して、日本国内はまだ認識が甘いというか中国から見るとスピードが遅く見えるらしい。

つまり以前のように中国へ日本人が来て大手を振って闊歩してビジネスを行っていた時代は既に終わっており、中国へ来れば何とかなる時代ではなくなってきている。

少なくとも日本でノウハウの面できちんとしたアドバンテージを持った人材や企業でなければ、中国ビジネスに取り組むのは難しい時代になってきているのである。

しかし、冒頭に書いたように日本人の中にはいまだに5年前10年前の印象で中国を見ている人もおり、現実に直面してあたふたする人が少なくないようである。

上海の街はペーパーレス?雑誌が消えた?!

 私が上海に来た頃に、街のいたるところにあった新聞スタンドだが、5~6年前くらいからだろうか、最近全く見かけなくなってしまった。
 よく考えてみると、上海では紙そのものがそれほど扱われなくなっており、オフィスの現場や、広告チラシなどではいまだ健在だが、街で新聞を読んでいるおじさんもほとんど見かけなくなった気がする。
 それに従って街中に散乱する紙ごみもめっきり減っており、街全体のペーパーレス化がかなり進んでいるような印象である。

 まあコンビニで買い物をした時のレシートなどはまだ紙だが、ネットショッピングをした際に発行される発票(領収書)は基本としてQRコード付きの電子発票が基本になっている。
 また鉄道のチケットも、地下鉄は公共交通カード‘(チャージ式のプリペイドカード)か、スマホ決済になっているため、一回券などというものは滅多に見なくなった。

 長距離鉄道の利用も同様で、外国人にはまだ紙のチケットが発行されるが、現地の中国人はICチップ内蔵の身分証明証を使えば乗車できるので、わざわざ紙のチケットを手に入れる必要がなくなった。
 このようにほとんどの取引について、主にスマホが紙処理を飲み込んでしまい、ペーパーレス化となっている印象である。

上海地下鉄の自動改札

上海地下鉄の自動改札

 その最たるものがやはり、書籍・雑誌類であり、本屋・書店に行けばまだ手に入らないことはないが、わざわざ注文しない限り見かけることは滅多になくなったのである。
 その書店に至っても、街中の実体店は次々に閉鎖され、一時カフェを併設したスタイルで巻き返しが図られた状況があったが、状況を跳ね返す勢いにはならず、何店舗かは閉鎖されたようである。

 日本だと、コンビニが取り寄せ代行を含めて書店の機能を担いつつある面もあるが、上海では街のコンビニに行ってもほぼ雑誌の取り扱いは無い。
 そもそも中国ではコンビニでは日本に比べ雑誌の取り扱いは少なく、冒頭に書いた新聞スタンドがその役割を担っていたが、今やコンビニでの扱いも新聞スタンドも全くなった。

 結局書籍はネットショッピングで取り寄せるのが主流になっており、能動的に取り寄せなければ目にすることすら稀な状況になっている。

 では中国人たちが活字を読まなくなったかというとそんなことはなく、主に電子書籍をブックリーダーで読んでいる姿を地下鉄の中で目にする。
 また資格取得なのか、スターバックスのようなカフェで紙の本を置いて勉強している姿はちらほらみかける。

 外国人のビザ手続きなどを見ても、役所関係の提出書類はまだペーパーレス化は進んでいない気がするが、手続きの一部は電子データ化されて、資料の不整合のような現象は徐々に減りつつあり、いずれこれらの書類数もかなり減らされるかもしれない。

 時流として、中国全体でかなりのペーパーレス化が進みつつあるのは確かなようで、紙が発明された国ではあるが、ペーパーレスが「いの一番」に完成するのもまた中国なのかもしれないという気がしている。