高速鉄道列車の予約サイトを覗いていた時にとんでもない設定の列車の存在を発見してしまった。
何がとんでもないのかというと、上海市内の上海南駅を出発して同じく市内の上海虹橋駅へ8時間半かけて移動する高速鉄道(新幹線)の列車があったからである。
上海南駅から上海虹橋駅への距離は直線なら15㎞程度で、車移動でも30分ほどの距離で、当然ながら徒歩でも8時間半もかからない。
では何故8時間もかかるのかと言えば、ノロノロ移動しているのではなく、上海を出発した後に中国の内陸部をぐるっと周遊して、上海へ戻ってくるルートを走行しているからである。
その列車の列車番号はG8387列車で、G頭字の列車なので最高速度が最も速い車両を使っていることになる。
で具体的なルートを停車駅から拾うと、朝8時45分に上海南駅を出発した後に、開通したばかりの湖州東駅を経て杭州西駅に10時3分に到着。
続く杭州西駅は最近できた杭州のターミナル駅で、そこから千島湖、黄色山北を通り、12時40分に安慶に抜ける。
そこからは今度は北上して13時48分に合肥南駅に至った後は、東へ折り返し14時45分に南京南駅を経て長江南岸を常州、蘇州を経て17時7分に上海虹橋駅に戻ってくる。
トータル8時間22分の走行時間である。
地理的感覚が無いと分かりにくいかもしれないが上海から安慶まで500㎞以上あるので、日本で例えて言うと、東京から大阪くらいまでの距離である。
つまりこの列車は例えていうなら東京から北陸新幹線経由(まだ繋がっていないが)で大阪へ出て、東海道新幹線で品川に戻ってくる1本の新幹線というようなルート走行をしていることになる。
直線の長距離として比較するなら東京―博多間も1000㎞程だが、そもそも離れている場所への直通列車は不自然ではないが、周遊運行はかなり異様であろう。
日本でも出発点に戻る循環列車の急行などがかつて幾つか存在していたが、千キロ単位でルートが設定されるようなことはなく、トータル2百キロ程度が上限だったように思う。(1日で戻れなくなるから?)
ちなみに今回見つけた列車は一筆書きルートではあるが、出発点には戻らないので厳密にいうと循環列車にはならない可能性がある。
なぜこのような車両運用をするのか理由は分からないが、ポイントツーポイントの乗車を好む中国の列車文化(乗り継ぎ利用という発想がほとんどない)に適合するのと、車両整備コスト節約のために、列車を1回の整備で運用できる時間の上限まで使い倒そうとしているのかもしれないと推測する。
まあこんなルートなので全線を乗り倒す乗客はまずいないと思うが、途中途中での区間乗車需要を拾えれば、単純往復の運用より座席の稼働率は高くなるのかもしれない。
いずれにしてもこの特異な列車設定がほかにもあるのかどうか、もう少し予約サイトで探してみようかと考えている。