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まもなくオープンする上海音楽院のオペラハウス

上海にはここ20年余りで、大型文化施設が次々に登場しているが、またもや間もなく新しい施設がオープンするようである。
その施設とは上海音楽院歌劇院、つまり上海オペラハウスである。
上海の目抜き通りの一つである淮海路と份陽路の角にある上海音楽院の敷地内に建てられている。

先週見た状況だと、すでに建物は出来上がっており、オープンに向けて内部の最終整備が行われている段階のようである。

上海音楽院歌劇院の外観

こけら落とし公演などの情報はまだ見つけられないが、オープンは10月1日とアナウンスされている。
先々月に市民向けの一般公開も行われたようだ。
建物のスペックとしては地上3階地下2階の5層構造で、メインとなるオペラ劇場は1200席の座席でアリーナ部分のほかに3層の外周席が設けられる。

全体の観客キャパとしては、ウィーン国立歌劇場などよりはやや少ないが、外周席の層の少なさによるもので、恐らく天井はかの劇場などよりは低いと思われ、響きは他の上海のホール同様に比較的抑えられたあっさりとした風味の音に仕上がると予想する。
1/10サイズで作られた模型を見ても、壁は音を吸収させる構造に力点が置かれていて、分厚い音で充満するとも思えず、また天井も高くなさそうなので、長い残響や余韻を楽しむと言った構造ではないようである。

上海音楽院歌劇院の模型内部

上海音楽院歌劇院の模型内部

引用元

またステージはプロセニアム形式であるが、サイドステージがどの程度の規模で設けられているのかはちょっと不明である。
オペラは舞台装置が大掛かりである上に、場面転換が重要な演出要素であることから、サイドステージの大きさはオペラ劇場の機能を測る上で重要な要素なのだが、私が読んだ記事ではそこまで触れている内容はなかった。

これは私の予測であるが、自慢が好きな得意な中国が、サイドステージには触れないということは自慢できるほどの特別大きなスペースを用意していないのではないかと推測する。

その理由として、実はこのホールはすぐそばの上海交響楽団音楽庁(コンサートホール)同様に構造全体を中空に浮かせ、点で支えるスプリング免震構造を取っており、すぐそばを走る地下鉄1号線からの振動の干渉を押さえる構造となっていることが発表されていることから、必要以上に大きなサイドステージは取れないのではないかと思われるのだ。

また上述のように客席数もやや抑えた規模となったのも規模を押さえるためではないかとも察せられる。
さらに上海といえともオペラは西洋言語の歌詞が歌われることから聴衆人口は限られており、その市場規模を考慮した上でのサイズでもあるのであろう

かくいう私もオペラそのものはほとんど聴かないので、ここを訪れることがあるとしたらオーケストラコンサートなどが開かれる時になろうか?
上海には上海歌劇院とその座付きオーケストラである上海歌劇院管弦楽団という団体があり、通常は上海大劇院などで行われるオペラなどのピットに入っているが、ごくたまに単独で演奏することもあるので、このオケがこのホールで演奏会を行うことはありそうである。

それにしても、この界隈は旧フランス租界で西洋的な雰囲気が漂うエリアとはいえ、文化施設が多く、徒歩圏内には上述の上海交響楽団音楽庁のほかに、ミュージカル公演が中心の上海文化広場もある。
まあそれだけ上海市民の趣味文化が成長し、豊かになりつつある証拠ではあるのだが、一方で西洋文化偏重の文化政策はちょっと危惧するところではある。

バレエもオペラも中国人の作った中華風の味付けの西洋文化作品は存在するのだが。中国の伝統に基づいた文化の現代発展形のものがあまり目に入らないのである。
西洋的な芸術文化施設が増える反面、地場の伝統的価値観が見えなくなってきているのはちょっと寂しい状態ではある。

上海からの卒業を考える

 上海に来て13年目だが、今年は年明けから仕事の状況が思わしくない。
 周囲の日本人に聞いてみても、業界関係なく今年になってから数字がさっぱり上がらないという声は多い。

 恐らくトランプさんが仕掛けた貿易戦争の影響がじわじわと効いているのだと思われ、まあ私の仕事は直接の貿易関係ではないので、目に見える直接の影響があるわけじゃないが、間接的に影響は感じており、かなり先行きが不透明である。

 故に行き詰りつつあるので、そろそろ変化を考えなければならない時期に来ている、

 端的に言ってしまえば上海からの卒業の検討である。

 とはいえ、仕事ありきの生活ことであるからそう簡単な話でもなく、そのことでここのところ日々煩悶している。
 まず転職するにしろ一番のネックとなるのは年齢である。

 間もなく50代の足音が聞こえてくる自分にとって、例えば日本に戻って職を探すにしたとしても、飛び込める職種は限られる。
 それに相手方の条件枠を抜きにしても私自身の性格的な面から言えば、新しい仕事をぱっぱと覚えるのは得意ではなく、時間がかかるので、戦力として認めてもらえるためのハードルは高い。

 そして仮にもしうまく就職できたとしても、日本社会にうまく復帰できるかどうかという問題もある。
 中国への渡航前の人脈はケアしていないので、今ではかなり縁遠くなってしまっているため、戻ったからと言ってすぐに回復できるものでもない。

故に、仕事以外の生活周りの人間関係の交流回復というのはなかなか容易ではなく、やはり馴染むまで時間がかかるだろうに思う。
 それでも勤務が順調に進めばまだ良いのだが、やはり躓くことが無いとも言えない。

 そうすると、最近の日本で発生している事件の要因のひとつとも言われている中高年のひきこもり問題が頭をよぎる。
 さすがに社会に復讐などという発想には至らないと思うが、心折れて行動気力を落とし引きこもりがちになるようなことはあり得ないことではなく、日本の報道を見てとても他人事ではないと身をつまされる

 そこまで行かなくて環境を替えた直後のストレスは小さくないので、自ら気持ちを保つための工夫は必要になるだろう。
 とは言え、いよいよ追い込まれいざとなったら四の五の言えないのではあり、命と体力の続く限りどんどんトライしていくほかない。

 ただまあ幸いというか、現在上海に恋人や家族を抱えているわけではないので、自分一人ならなんともなるかなという面もあり、地域的拘束もないため、自由といえば自由である。

 一応そのパートナー的な意味で言えば、実は台湾に彼女のような存在がいるため、上海を離れる場合は台湾も視野に入っては来るのではあるが、まずは生活の安定ありきであり、それがなければパートナーに迷惑をかけるだけとなるので良い選択ではない。
 それならば日本である程度安定した生活ができるのなら、そこへ呼びせるほうが懸命である。

 故にこの台湾への移住という選択は、結局は生活が成り立つのならばという条件付きとなる。
 もちろん言葉の面で言えば、台湾であれば仕事でバリバリに要求されなければ生活の面では心配ないし、不安を感じていない。
 それに人間関係も下手な日本国内の社会に戻って孤立するよりも、台湾ならアウェイの連帯感もあり馴染みやすい面はあるだろうには思う。

 また正直なところ、日本に対してホームシックになってこの悩みに至っているわけではないので、生活が安定して、音楽がそこそこ聴ける環境があって、帰りたいと思ったときに日本に帰れるような距離であれば、必ず日本である必要もない。

 いずれにしても自分の生活とパートナーとの関係のすり合わせは、ここ10年近く悩み続けたテーマでもあるため、そろそろ何か解決の道筋を見つけねばならない時が近づいている。

チケットの勘違いで危うくコンサートを聴き逃しかける

人は一つのパターンに従って行動することに慣れると、別のパターンがあることを忘れてしまうようである。
そもそも前日のうちからきちんと確認する行動をとっておけば良かったのだが、自分で安全のための保険をかけているという安心感があるので、不測の事態が起きるとは予想していなかった。

その不測の事態とは先日のコンサートのチケットのことである。

先日から、何度か書いているように最近のコンサート通いは費用節約のために、ダフ屋チケットを通して買うことが多くなった。
しかも公演直近の購入だと、チケット渡しが当日の会場前とかになってしまい、先日のような出来事が起きてしまうのは怖いので、なるべく事前に実券を手に入れることにしている。

そして受け取ったチケットも、いつも持ち歩いているカバンの中の、クリアケースフォルダーの中にしまって保管しており、カバンごと盗まれでもしない限りチケットは失くさないような状態で保管している。
そうやって準備している安心感というか自信があったので、改めてチケットを前日に確認しなくてもまず大丈夫であろうという意識で当日を迎えた。

当日の朝、さすがにチケットを忘れていたらまずいだろうと思い、会社に着いたときにそのクリアフォルダーの中のチケットを確認しようとした。
しかし、チケットをまとめて保管しているクリアファイルの部分にチケットが見当たらなかった。

「あれ、おかしいなぁ」

違う場所に保管したり、カバンの中に落ちているのかなと思い、カバンの中身を全てひっくり返して見たが、やはりチケットは無かった。

「ありゃ、家に忘れて来てしまったのかな。」

家の中は結構散らかっているので、チケットのような重要なものはあまり家に放置しないようにしているのだが、万が一ということもある。

この日のコンサートはどうしても聴きたかったので、もし見つからなかったら泣くに泣けないなと思いつつ心ここにあらずで昼の仕事をこなす。

しかしいたたまれなくなって、何とか職場から直帰できるように外に用事をつくって早めに帰宅して家の中を探すことにした。
で、家の中を片付けながら探すがやはりチケットは出て来ない。

「うわ、仕事で移動している時にどこかでチケットを落としてしまったのかな」と嫌な可能性が頭をよぎる。

そうしているうちに演奏会開始の時間がどんどん迫ってくる。

もう半ばあきらめかけた時、もしかしたら業者のミスか何かで実はまだチケットを受け取ってないのではないかという可能性が浮かんできて、スマホのショートメール履歴を確認した。

実は上述のダフ屋サイトでは公演日が迫ってくると、それを知らせるショートメールが送られて知らせてくれる仕組みになっているのだが、何故か今回は受け取った記憶がないということに気が付いたのである。

「うーん購入した日はいつだったんだっけ」と、ショートメール履歴を確認していると、あるメールを発見した。

それは、なんと今回の会場サイトからの予約完了と発券パスワードを知らせるメールだった。
「うぉー、そうだったぁ!このコンサートは会場サイトで直接予約したから、チケットは会場現場での発券だった!」
つまりチケットはまだ受け取ってないのである。

どうりでチケットが見つからないはずであり、いつものパターンでチケットは持っているものだのと思い込んでいたのである。

とにかくコンサートを聴ける可能性が出てきた。
この時に時計を見ると、すでに18時20分だった。

コンサートの開演は19時30分であり、なんとかギリギリ間に合う時間だった。

チケット探しで汗だらだらの状態であったが、急いで洗面所で顔を洗うとすぐに部屋を飛び出した。

駅への移動中に自分が物凄く空腹で喉も乾いている状態に気が付き、このままコンサートを聴いてもよかったが、それでは身体が辛すぎるし、その程度の時間は何とかありそうだったので、急いでコンビニでサンドウィッチとウーロン茶を買い腹へ押し込んだ。

駅へ行ってみるとちょうど夕方のラッシュ時にぶつかり、改札前の荷物検査のところで人がわんさかと渋滞していた。
うわぁと思いながら、焦る気持ちを抑え何とか地下鉄に乗り会場へ向かう。

確信はなかったが最寄り駅には開演20分前には着くであろうと予測を立て、会場まで5分、チケットを機械で発券して10分前には何とか席につけるであろうという計算である、

地下鉄の列車の中は非常に混んでいて、その日の気候の影響で車内はムシムシしていて汗がだらだら流れてしまったが、こちらはもうそれを気にするどころではなく、列車トラブルなどなく無事に着いてくれと祈るだけだった。

そうして最寄り駅に無事に着いた。

改札を出ると速足で会場に向かい、会場に入れたのが開演12分前くらいのころ。

そして急いで発券機に自分の携帯番号とパスワードを打ち込むと、無事にチケットが印刷されて出てきた。

「このチケットを探してたんだよ―!」とこの時ようやく安心することが出来た。

チケット発券機

通常ならこの後、開演前にトイレに行くのを習慣というか、ルーチンにしていたのだが、今回は汗で水分を出してしまって身体自体がカラカラだったのでトイレで出そうにないので、そのまま会場に入った。

この日は幸いにも、通路際の席を取っておいたので誰に気兼ねすることもなく着席する。

時計を見ると開演4分前であり、一安心である。

上海東方芸術中心

コンサートの時は身体を最大限にリラックスさせてから臨むのがいつものパターンだが、この日ばかりは気持ちがハイな状態でコンサートに臨むことになった。
それもあってか非常に集中力の高い状態で曲を終演まで聞きとおすことが出来、満足の高い演奏となった。

もしチケットの件に気が付かなったなら聴けなかったと思うと、非常にぞっとしたが、何とか無事に乗り切れたので、自分の運もまだ地に落ちていなかったようである。
やはり前日にチケットを確認しておけば、早めに当日発券の事実に気づいたかもしれないし、一つのパターンの思考で行動してはいけないと反省したこの日の出来事だったのである。