足が悪い人と劇場は相性が悪い。

私がコンサートや演劇を鑑賞する際には、当然の如く劇場などに足を運ぶのだが、こういったホールは一部の例外を除いて地域分化に関係なく客席はほぼ舞台に向かって傾斜している。

 しかもその通路もスロープではなく、、細かく段差がつけられている場合がほとんどだ。
 視覚や音響上の環境を整えるためにはいか仕方ない構造ではあるのだが、足が悪い人にとってはあまり相性が良いとは言えない環境である。

上海交響楽団ホールの座席

上海交響楽団ホールの座席

 もちろん身障者という括りになり、車椅子利用などの状態になってしまえば、それ用の席はや鑑賞スペースが用意されている場所は増えてきたが、一会場あたりに用意されている数としては非常に少なくごく僅かである。
 20年位前まではそんな環境状態でも、必要とする人がそれほど多いとは言えなかったので、事足りていた。

 しかし現在のように高齢化社会を迎えてしまうと、コンサート会場は高齢者ばかりとなり、着席に苦労する姿を多く見かけるようになった。

 もちろんロックコンサートなど、若者が主になるようなイベントだと、会場の配慮はそんなにいらないかもしれないが、クラシック音楽や演劇など客層の年代が幅広くなってしまう場合は高齢化社会の影響をもろ受けてしまう。

 こういった社会状況ならば、脚が悪い人が沢山来られるような会場構造のホールに移行していくというのも一つの手ではあると思うが、余程うまく配慮しないと客席キャパや音響効果が犠牲になる可能性があり、経済性バランスや芸術性に水を差してしまう可能性が出てきてしまう可能性がある。

 よって劇場やホールを脚の悪い人に合わせた構造に変えていくのは、想像より面倒くさい作業になる可能性が高い。

 あとはこういった改造への社会的要求が高くなるかどうかだが、高齢になるまでコンサート通いや演劇鑑賞を続ける人にとっては、脚が悪い人のために芸術性が損なわれるようなことが起きることを逆に嫌がりそうな気がしており、やせ我慢で苦労してでも段差の多い会場に通い続けるような気がしている。





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