Monthly Archives: 5月 2015

コピー機のない上海のコンビニ

 日本の大手三社のコンビニが進出している上海のコンビニ市場だが、日本のコンビニが持っている機能のうち、まだ上海では取り入れられていないものが一つある。

 それは、上海のコンビニにはコピー機が設置されていないということである。

 日本だと、セブンイレブン、ローソン、ファミリマートなどの大手コンビニをはじめ、中小グループを含めてほとんどの店舗に大型カラーコピー機が設置してあり、利用客が誰でもセルフサービスでコピーやプリントアウトできるような仕様になっている。

 ところが、上海では(上海以外もきっと同様)、コンビニにコピー機が設置されておらず、気軽にコピーをするようなことが出来ない環境になっている。

 まあ近年パソコン社会になってからは大抵の会社や家庭には複合印刷機などが設置されており、白黒の1~2枚のプリントアウト程度ならば全く問題なく、わざわざ印刷にでかけることはなくなってきているが、10枚単位の印刷やカラーコピーになると、やはり途端に不便になるわけで、家庭用コピー機では何十枚も印刷するのは結構時間がかかってしまうし、トナー代も割高になってしまう。

 こんな時はやはり大型コピー機に頼りたくなるのだが、残念ながら上海のコンビニにはコピー機の設置がないのである。

 ならば、上海の人たちはどうするのか?

 実は上海市内には、印刷を専門にした業者がたくさん存在し、街のあちこちに店舗が存在する。
 シール印刷や名刺印刷、大型広告やノベルティ系まで幅広く取り扱っており、その中のひとつとして単純な資料コピーも請け負っている。

町中の印刷屋の看板

町中の印刷屋の看板

 費用で言えば白黒A4が1枚5角(0.5元)程度が相場で、円換算すると大体日本と同じ金額となる。

 こういった上海の町の環境故に、コンビニにわざわざコピー機を設置しなくても社会のコピー需要は賄えるのである。

 またコンビニ側にしても、日本では集客目的のためにコピー機を設置しており、採算的にはプラスになっていないと聞くから、印刷業者のたくさんある上海ではコピー機を置くことが集客に繋がらないと判断して、設置していないのだろう

 ただ、このように印刷業者がコピー需要を担っている上海の町だが、一つだけ不便なのは印刷業者は24時間営業ではなく、せいぜい8時-20時の12時間営業程度なので深夜や早朝に必要になった時は対応できないということである。

 まあ、そういった需要は滅多に発生しないと言えばその通りなのだが、やはり24時間営業のコンビニにコピー機があってくれたほうがいいなぁと思う、この上海のコンビニ事情である。

春秋航空が上海浦東空港から出ていく?

 ちょっと前に中国のネットニュースに出ていた話であるが、上海の空港資源が飽和状態であるため、LCC(ローコストキャリア)は大型空港を諦めて、少し離れた周辺地方都市に拠点を移す可能性があるということが報じられていた。
確かに欧米のLCCでは、大都市から離れた着陸料が安く混雑していない使い勝手の良い空港を利用している例があるとされるが、上海でもいずれそうなる可能性があるということのようである。

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 まあ日本でも茨城空港がそのような位置づけのコンセプトで運営され、ボーディングブリッジを省略するなどコストパフォーマンスを優先し、東京という大都市から離れた立地条件を逆手に取った運営を行っている。
 ただ茨城空港の場合は、大都会側の都合というより空港側の生き残りの都合でそういうコンセプトとなったわけであり、都会からはじき出された航空会社側から狙われたというより、空港側が誘致した格好であり、実際中国のLCCである春秋航空が乗入れていて、週8便の定期便が運航されている。

 また先日残念ながら破たんしてしまったスカイマークも、着陸料の安さを利用して運賃の安い航空便を札幌や西日本に飛ばしており、都心から離れた空港でありながらそれなりの利用客を得ているが、これも茨城空港そのものの市場が支えている面が強い。

 で上海の場合に戻って考えると、現在は浦東・虹橋の二大空港があるのだが、浦東空港は主に国際線と国内幹線、虹橋空港は主に国内線支線の乗入れを受け持っているが、広大な国土を持つ中国は国内に空港が非常が多いため、地方から上海へ乗入れたがる路線が多いのが現実である。
 そのため空港容量は、現在既にほぼいっぱいいっぱいで、先日第4滑走路がオープンしたものの、やがて飽和状態となるのも時間の問題ということのようだ。

 故に諸外国の例に倣って航空会社の差別化を図り、都心に近い空港はフルサービスキャリアを優先し、LCCは二大空港以外から離発着させ、二大空港の枠に余裕を持たせようとの構想が生まれてきているようだ。

 現在の上海浦東国際空港にはLCCとしてご当地の春秋航空ほか、東南アジア系のジェットスターなどが乗入れているが、もしLCCを郊外空港へ移転させるとなるとこれらの春秋航空などの航空便がターゲットとなり、上海浦東空港から追い出される可能性があるということになる。

 こういった構想が生まれる中で、現在移転候補先として挙げられているのは、南通、無錫、寧波、杭州の各空港のようである。
 ただ、いずれにしても上海から100キロ以上として離れた場所に立地しており、もはや上海の玄関口とは言えなくなるほど離れている感があり、果たして上海から追い出されたLCCが上海の乗客を確保できるのかという疑問が湧いてくる。

 こういった郊外空港の利用構想が出てくる背景には、高速鉄道網などが充実しつつあるので都心と郊外の時間距離が短くなってきているという考え方が根底にあるようだが、残念ながらLCCの客層がわざわざ高いお金を払って高速鉄道に乗るのかという発想の矛盾があり、その考え方には疑問符がつく。

 さらに航空需要は本当に伸び続けるのだろうかという根本的な問題も残っている。

 実は中国の労働人口は2015年をピークに減り始めると言われ、総人口もあと15年程度は増え続けると言われるが、高齢者の寿命が伸びることによって人口が減らないだけであって、若年層は寧ろどんどん減っており超高齢化社会へと向かっている。

 故に既に中国は人口の面で言えば現時点でほとんどピークに達しており、それに合わせて経済活力も今後の大きな伸びは期待できず、徐々に衰えていく可能性が高いのが現実なのである。

 このような中で、航空需要が今後爆発的に増えるというのはやはり考えにくく、しかも外国からの投資は上海を離れて内陸部に向かっており上海周辺の沿海部は成長が頭打ちの状況になりそうな予測なのである。

 このことから考えると、上海の2大空港というか上海経済が果たして今後LCCを追い出すような状況になるかは、ちょっと疑問である。
 故に現在春秋航空で日中を行き来している人たちにとっては、当面は空港が変わる心配がいらないのではないのかというのがこのニュースに対する今の私の見立てとなっている。

上海駐在3年で肺が真っ黒証言の衝撃

 今年の3月に帰任していったある駐在員の方が、最近日本で健康診断を受けて、肺のレントゲンを撮ったところ、3年前に比べかなり黒ずんでいたとのだという発言に結構衝撃を受けた。

 どこまで本当なのか冗談なのかわからないが、上海の大気汚染状態を冷かしての、ややオーバーな表現だったとしても、それなりに影響が出ているのは本当のようである。
 3年で肺が変色するほどの影響が出るならば、まもなく滞在9年になる私にも影響が出ていないわけはなく、非常に恐怖を覚えるようなかの発言である。

 特に私などは煙草は吸わないわけだから、肺へ影響があるとすれば環境による影響がほとんどであり、周辺の喫煙者による受動喫煙や大気汚染などによって影響を受けている可能性があるのである。
 考えてみると、ここ数年呼吸器系の不調に苦しんでおり、2年前の鼻茸の手術や、最近の喘息気味の咳などは、黄砂の咳だけでなく、上海全体の空気の悪さによって生み出された可能性がある。

 まあ「喫煙者との食事は気が進まない」でも書いた通り、喫煙者とわかっている相手との食事は避けられるものなら避けているのだが、そうは言っても100%避けることは出来ず、受動喫煙はかなりあり、9年間の積み重ねによって肺が悪くなってしまった可能性がある。

 ここ数週間は頭がくらくらするほど辛い咳に襲われることもあり、生活にはちょっと困っている部分もある。

 そう考えると、今の現状では上海を脱出するか、マスクを必ずするしか対応はないのだが、どちらもすぐには現実的ではないなと感じてしまっている今の現実である。

大阪人の大阪人による大阪人のための自滅

 先日の大阪市の都構想に対する投票結果だが、数日過ぎて冷静に振り返ってみると、ますます今回は成立しなくてもよかったなと思えるようになってきた。
 まあ都構想という新しいシステム自体は、順調にシステムが動き出せば、今より良くなるか悪くなるかは別にして、それなりの状況になったのだとは思う。

 しかしながらこの「順調に」というのが一つの問題で、この新体制を推進しようとする橋下市長やその周囲の人々の質に不安があり、彼の行ってきた府政や市政を振り返ると、どうにも順調に行きそうな気がしないのである。

 彼らの何が問題かといえば、橋下氏自身にももちろん問題がないとも言えないが、実は彼よりも彼を支持する人や彼の周りに集まってきた人のほうに質の問題があったという気がするのである。

 どうも大阪の人というのは、異端児的なヒーローを好むのか、他の都道府県とはちょっと毛色の違う首長を選ぶ傾向がある。
 で橋下徹氏はその象徴のような存在として、7年前に政界に登場してきたわけで、彼は敵を作り出しては叩く劇場的な手法で、一種のヒーロー的な扱いで人気を博してきた。
 ただ、彼は部下や周囲を懐柔するような手法を取らずに権威主義的に組織を動かすため、彼の下に集まってくる味方というのは、彼を慕ってくるというより訳も分からず勢いのある人間の尻馬に乗るような人々に見え、そういった輩が非常に多かったような印象である。

 その証拠に彼の施策によって維新の名の下で就任し、非常識な不祥事を起こしたような学校の校長や議員などの事案がこれまで度々発生してきたわけで、如何にイケイケ気分の人々が数多く彼の威を借りに集まってきたがわかる状況になっている。

 その一方で彼に敵とされた側は、当然彼の独善的な押し付けに対して不満を感じるわけであり、初めは少数だったその敵たちも彼が事案のたびに敵をつくるので、市民の中の敵の数は増えていくことになる。
 (例えば今回高齢者は無料パスの件で敵とされた人々と考えることができる。)

 結局運よく敵とされずに彼に不満を持たなかった人々の期待と、勝ち馬に乗ろうと彼にすり寄ってきた人々が先日の投票で賛成票を投じたが、敵とされた人たちや彼らを信じ切れない人々によって彼の提案は否決されたのである。

 では、もしあの投票で賛成が上回っていた場合、どうなっていただろうか?

 もちろん全てがうまく行かないという訳ではないかもしれないが、投票結果だけを背景に権威主義的に市の組織を壊して大阪都をつくっても、人望で人を動かすわけではない橋下氏の指揮では人が動かず結局うまく回らなかっただろうに思う。

 そればかりか、勝ち馬に乗りたがるような意識の人々によって、維新無罪とばかりに不祥事が頻発したのではないかと想像してしまう。
 橋下氏は度々在野の民間の優秀な人材を公募するような手法を取ってきたが、実は在野にいるような人々は組織を飛び出したからそこにいるのであり、やる気があると言えば聞こえはいいが、一山あてようという野心家が多いのではないだろうか。
 本当に優秀な人材は在野になかなか流出しないのであり、きちんと元の組織を守れるから優秀なのであって、野に飛び出した野心家が突然組織の長に抜擢されてもたいていは人心を掌握する術を知らないのでうまく行かないのだと感じる。

 実際、その程度の意識で維新に集まっていた人々の一角がこれまで不祥事を起こした人々だと思える。

 またそれらの不祥事の当事者に限らず総じて野心家の意識をもった大阪人の集まりが維新の会であるような気がするし、都構想の勢いに乗っかろうとした大阪人たちが、結局不祥事や劇場手法で敵を作りすぎて自滅したのが今回の都構想投票ストーリーだった、そんな気がするのである。

 で今回は都構想は否決され実現しないことになったのだが、都構想を取り巻く人々の質を考えると、あのまま都構想に突っ込んで行っても空中分解するだけだったように思えるので、やはり大阪人にとってはよき結果だったと私は思うのである。

 

実は輸送力が低い上海の地下鉄

 朝晩どの路線も結構混雑する上海の地下鉄だが、もう少しどうにかなりそうなもんだと感じ東京の状況と比較したところ、実は上海の地下鉄は輸送力が凄く低いのではないかという疑いが浮上した。

 まあウィキペディアでちょこっと拾った程度のデータ比較なので、細かい部分は不正確かも知れないが、かなり明確な輸送力の差があるというような印象である。

 まずその圧倒的に違う部分は列車1編成あたりの車両の数である。

 もちろん車両の乗車定員に差があるのかも知れないが、日本と中国では数え方が違い、車両定員をデータで比較しても意味がないようで、車両の大きさにそれほど差異がないことから考えると1両あたりの乗車定員はそれほど違わないと判断しても構わなそうで、単純に車両数で比較できそうである。

 東京の地下鉄は銀座線と丸ノ内線、三田線、南北線が6両、日比谷線と浅草線が8両で、その他は10両編成で運行されている。
 さらに地上のJRは山手線が11両、総武・中央が10両、郊外から来る東海道・東北・常磐・総武などは15両編成の列車が走っていて通勤客を輸送している。

 それに対して上海の地下鉄は1号線と2号線こそ8両編成だが、あとは6両編成だったり4両編成だったり非常に短い編成であり列車1編成あたりの輸送力が非常に低いのである。

 そこから考えると上海と東京の1編成あたりの車両数の違いが単純に輸送力の差異となっており、上海の地下鉄輸送力は東京より2割から4割も低いことになる。

 さらに、列車の運転間隔の問題もある。
 上海の場合は、1・6・8号線で朝のラッシュ時に3分を切る間隔で運転されているが、それ以外は2号線が3分間隔などで、あとは4~6分間隔であり、1時間あたり10~20本の列車本数となる。

 この点東京では丸ノ内線が朝のラッシュ時に1分50秒間隔という驚異的な運転密度を実現しているほか、軒並み2分台前半で運行されており、つまり1時間あたり25~32本で運行されている計算になる。

 この数字を基に、上海の2号線と東京の東西線の輸送力を比較すれば、上海の2号線(3分間隔・8両)は1時間当たり160両分の輸送力、東京の東西線(2分15秒間隔・10両)は約260両分の輸送力となり、その差100両で仮に1両200人で計算すれば1時間で2万人分もの輸送力の差が出ていることになり、実に東西線より40%も輸送力が低いことになる。

 これは上海の中でも比較的輸送力上位の2号線を例にとっているので、ネットワーク全体で比較したらひょっとしたら上海は東京の半分程度しか輸送力がないという数字が出てくる可能性もあり、いずれにしてもかなりの差がありそうである。

 そしてこの輸送力の低さはそのまま混雑に繋がるわけで、実際朝の人民広場では列車に乗り切れない人が大勢ホームに残る姿を多くたびたび見かける。

朝の人民広場駅の2号線のホーム

朝の人民広場駅の2号線のホーム


 
 まあ需要に対して輸送力が足りないためにこういう現象が起きるのだが、実はこの混雑を生み出している構造的要因として、輸送力の低さとともに上海の地下鉄(軌道交通)の営業距離の長さから来る需要の多さも要因としてあると考えられる。

 実は上海の地下鉄は1路線あたりの営業距離が非常に長く、軒並み30~40キロとなっており、2号線などは総延長60キロにも達している。
 これを東京と比較すれば東西線こそ全線で30キロに達しているが、あとは1路線あたり20キロ程度で、非常にコンパクトな路線が密集する形になっている。

 つまり上海は東京よりはるかに広い範囲の沿線乗客を各路線が背負っているわけで、当たり前のことながら、路線あたりの乗車人数は東京より大きくなる可能性があり、負担がかかって混雑がひどくなるのである。
 しかも東京に比べればより少ない車両数で輸送しているわけだから、車両1両あたりにかかる輸送負担は大きいものとなり、混雑の原因となっていると見ることが出来る。

4号線の路線図

上海の地下鉄路線図

 つまり上海の地下鉄はネットワークが拡大しているわりには全体の輸送力が高くないので混雑する状況は減らず、寧ろ路線が伸びれば伸びるほど混雑要因が増えるわけで、今のままではパンクしかねないのが上海の地下鉄の現状となっている。

 ニュースなどで新線が開通するたびに営業距離の長さを自慢している感のある上海の地下鉄だが、実は縦へ縦へと細く長く延びているだけで、個々の輸送力の面では非常に心もとないのが実態なのである。
 故に今後は路線を縦に伸ばすことも大事だが、信号システムや車両数の増強によって既存路線の輸送力を高め質を追求するのも上海の交通にとって大事なことではないのかと感じるこの現状である。

上海軌道交通1号線

上海軌道交通1号線