実は輸送力が低い上海の地下鉄

 朝晩どの路線も結構混雑する上海の地下鉄だが、もう少しどうにかなりそうなもんだと感じ東京の状況と比較したところ、実は上海の地下鉄は輸送力が凄く低いのではないかという疑いが浮上した。

 まあウィキペディアでちょこっと拾った程度のデータ比較なので、細かい部分は不正確かも知れないが、かなり明確な輸送力の差があるというような印象である。

 まずその圧倒的に違う部分は列車1編成あたりの車両の数である。

 もちろん車両の乗車定員に差があるのかも知れないが、日本と中国では数え方が違い、車両定員をデータで比較しても意味がないようで、車両の大きさにそれほど差異がないことから考えると1両あたりの乗車定員はそれほど違わないと判断しても構わなそうで、単純に車両数で比較できそうである。

 東京の地下鉄は銀座線と丸ノ内線、三田線、南北線が6両、日比谷線と浅草線が8両で、その他は10両編成で運行されている。
 さらに地上のJRは山手線が11両、総武・中央が10両、郊外から来る東海道・東北・常磐・総武などは15両編成の列車が走っていて通勤客を輸送している。

 それに対して上海の地下鉄は1号線と2号線こそ8両編成だが、あとは6両編成だったり4両編成だったり非常に短い編成であり列車1編成あたりの輸送力が非常に低いのである。

 そこから考えると上海と東京の1編成あたりの車両数の違いが単純に輸送力の差異となっており、上海の地下鉄輸送力は東京より2割から4割も低いことになる。

 さらに、列車の運転間隔の問題もある。
 上海の場合は、1・6・8号線で朝のラッシュ時に3分を切る間隔で運転されているが、それ以外は2号線が3分間隔などで、あとは4~6分間隔であり、1時間あたり10~20本の列車本数となる。

 この点東京では丸ノ内線が朝のラッシュ時に1分50秒間隔という驚異的な運転密度を実現しているほか、軒並み2分台前半で運行されており、つまり1時間あたり25~32本で運行されている計算になる。

 この数字を基に、上海の2号線と東京の東西線の輸送力を比較すれば、上海の2号線(3分間隔・8両)は1時間当たり160両分の輸送力、東京の東西線(2分15秒間隔・10両)は約260両分の輸送力となり、その差100両で仮に1両200人で計算すれば1時間で2万人分もの輸送力の差が出ていることになり、実に東西線より40%も輸送力が低いことになる。

 これは上海の中でも比較的輸送力上位の2号線を例にとっているので、ネットワーク全体で比較したらひょっとしたら上海は東京の半分程度しか輸送力がないという数字が出てくる可能性もあり、いずれにしてもかなりの差がありそうである。

 そしてこの輸送力の低さはそのまま混雑に繋がるわけで、実際朝の人民広場では列車に乗り切れない人が大勢ホームに残る姿を多くたびたび見かける。

朝の人民広場駅の2号線のホーム

朝の人民広場駅の2号線のホーム


 
 まあ需要に対して輸送力が足りないためにこういう現象が起きるのだが、実はこの混雑を生み出している構造的要因として、輸送力の低さとともに上海の地下鉄(軌道交通)の営業距離の長さから来る需要の多さも要因としてあると考えられる。

 実は上海の地下鉄は1路線あたりの営業距離が非常に長く、軒並み30~40キロとなっており、2号線などは総延長60キロにも達している。
 これを東京と比較すれば東西線こそ全線で30キロに達しているが、あとは1路線あたり20キロ程度で、非常にコンパクトな路線が密集する形になっている。

 つまり上海は東京よりはるかに広い範囲の沿線乗客を各路線が背負っているわけで、当たり前のことながら、路線あたりの乗車人数は東京より大きくなる可能性があり、負担がかかって混雑がひどくなるのである。
 しかも東京に比べればより少ない車両数で輸送しているわけだから、車両1両あたりにかかる輸送負担は大きいものとなり、混雑の原因となっていると見ることが出来る。

4号線の路線図

上海の地下鉄路線図

 つまり上海の地下鉄はネットワークが拡大しているわりには全体の輸送力が高くないので混雑する状況は減らず、寧ろ路線が伸びれば伸びるほど混雑要因が増えるわけで、今のままではパンクしかねないのが上海の地下鉄の現状となっている。

 ニュースなどで新線が開通するたびに営業距離の長さを自慢している感のある上海の地下鉄だが、実は縦へ縦へと細く長く延びているだけで、個々の輸送力の面では非常に心もとないのが実態なのである。
 故に今後は路線を縦に伸ばすことも大事だが、信号システムや車両数の増強によって既存路線の輸送力を高め質を追求するのも上海の交通にとって大事なことではないのかと感じるこの現状である。

上海軌道交通1号線

上海軌道交通1号線



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