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駐在員の悩ましい年金等級問題、出向すると受給額が下がる?

 日本では老後2000万問題の報道がなされた後に、やれ年金制度が大丈夫なのかとか、政治家の発言は無責任なのかなど、様々な声が飛び交っている。

 また来月9月1日から日中間において社会保障協定が発効し、駐在員などが日中両国で社会保険料の二重支払いを避けられる仕組みが制定されるなど、ここのところ社会保険料に対する世間の関心が高まっている。

 そんな中、ある出向駐在の方が、日本と中国における給料の支払い割合の関係で、社内で問題が生じていると話を伺った。

 その方によると、そもそも中国出向後もほとんどの部分を日本で賃金を受け取っていたのだが、日本の税務署からの指摘で、日本国内での業務実績のない従業員に高額の賃金を払っているのはおかしいとされたとのこと。
 つまり幽霊社員的な扱いになるので、特に海外が絡むと所得隠しやマネーロンダリングなどの犯罪の温床となるので、業務実態に合わせた支給を行うよう指導されたようだ。

 そこで日本の会社側は、本人への支給を現地支給の比重を高くしようと計画したのだとか。
 もちろん本人に不利のない金額で設定し、日本国内での賃金支給額を下げようとしたようである。

 ところがである。

 その出向者本人にしてみれば、日本国内での賃金が減ってしまうと社会保険料の等級が下がってしまうので、将来貰える年金の受給額に影響が出るので、日本国内給与の引き下げには応じられないという主張をしているようだ。

 確かに日本の年金制度は、加入期間に支払い続けた納付額(等級)によって、受給開始後の年金支給額に影響が出る仕組みである。
 さらに、その将来の受給額に影響がある標準報酬月額等級は、日本国内において支給される賃金を対象にして決められるので、海外で幾ら補填されていても合算して標準報酬を上げることが出来ないのである。

 つまり支給通貨比率を変えられてしまうと、賃金としての総支給額は変わらなくとも、将来的な年金支給額が下がってしまい、従業員にとって不利な変更となってしまうようだ。

写真はイメージ

 こういった問題については、上述の日中社会保障協定では、加入・非加入の話が整理されて二重払いを防ぐことが決められているだけで、徴収される社会保険等級までは配慮されたものではないので、実は役に立たない。

 このように日本の税制と社会保険制度の制度は、あまり海外出向という処理を想定して制度が組み立てられていないようで、こういった狭間の労働者を救済するような制度は調べた限りでは用意されていないようである。

 今のところの各企業の現実的な処理としては、厚生年金基金や確定拠出年金などの上乗せ部分を会社で負担して、等級が下がった部分を補填するのがせいいっぱいのようである。
 しかし、そこの本来本人負担であった費用負担分を税法上どう処理するのか?など細かい問題が残り、本人の所得になり課税されないのかなど色々問題があり、なかなか正しい正解などはないという気がする。

 このあたり、日本の外交官なども同様の問題が発生する環境はあるはずだが、税務署的には問題ないのか、日本の賃金を下げられる扱いがないのか特に話題に上がることはない。
 ひょっとすると特別のウルトラCがあるのか、ぜひ今度駐在の方に会った時にお伺いしたいものである。

 

不適切SNS投稿事件はアルバイト頼みビジネスの必然

 日本でアルバイト店員の不適切な画像などのSNSへの投稿によって、企業幹部が謝罪を迫られるという事態が相次いでいる。
 企業側では民事訴訟など、法的措置を辞さない姿勢を示しているが、それはそれでどうなのだろうかという気がしている。

もちろん再発抑止という意味では、損害賠償の請求は意味があるのかもしれないが、これらの不適切投稿は、企業側の教育不足によるところの責任も大きいのではないかと思われるからである。

 そもそも、例えば旧来の寿司店であれば、職人に育て上げるまで10年程度かかると言われ、その間には寿司の握り方などの技術のほかに、社会人としての振る舞い方や世の中の仕組みなど、人間性の教育も親方から指導を受け、それらを経て一人前の寿司職人としてデビューするのである。

それに対して大手すしチェーンなどでは安価なアルバイトに頼るというビジネススタイルを選択している。

調理など大方の作業を機械化して、接客やネタ乗せなどごく簡単な部分な作業だけを人間が担うだけで料理を提供できるシステムとなっている。
これらのなかで、人間が任される作業はほんのわずかだけで、そこに客の目を感じる瞬間もなければ、自分がお客の満足度の重要な部分を担っているという意識も得難い。
 そんな役割しか担わされず、賃金も安い人間に、企業全体のイメージの一部を担っているという意識を持たせるのはとても無理なのである。

 そんな責任感の希薄なアルバイトたちが、お客に提供しない食材を使って遊んでSNSに投稿したところで、企業全体のイメージダウンまで発想が及ばないのは無理もないという気がする。

 またコンビニとて、販売員はマニュアル上の業務をこなしているだけで、社員教育と言えば、販売や品出しの研修を数日間実施しただけで、業務がスタートしてしまう。
 その短期間の間では、社会人としての自覚など教育されようもない。

 これが普通の大手企業の社員であれば、大よそ1年くらいは指導員がついて、きっちりと業務及び社員としての振る舞い方などを教わる時間が与えられるし、一人前の社会人として成長するまで育ててくれるのが普通である。

 このような状況を考えると、一連の不正投稿事件は、流動性の高くて責任意識の低いアルバイト頼みのビジネス戦略の悪い面が出たとも言え、企業としてはある意味自業自得な面もあると言える。
 在野の教育が行き届いていない人材を性善説でアルバイトとして使い、コストを抑えてきた長年の日本のビジネススタイルが、どうやら綻びてきたのが一連の騒動だという気がするのである。

写真はイメージ

対ドルで円安だが、円と人民元のレートは横ばい?

 最近のドル円相場で、5月初めにくらべ円安に振れてきており、今日お昼の相場で1ドル110円台後半までじわじわと動いてきて、昨日は一時111円台まで戻った。

 某首相の消費税率引き上げ延期発言が功を奏したのか、はたまた全く別の原因か分からないが、現時点は1ドル=110円付近で推移している。
 こうなると、気になるのは仕事や生活に直接関係のある円と人民元の関係だが、実はドル円相場の数字ほどには変動が起きておらず、1RMB=16.75円前後となっており5月初めの16.3円に比べ2.7%しか動いていない。

 ドル円が4.7%も動いているのに比べ、ずいぶん差がある状況となっている。

 この差を生んでいるのが何かと言えば、ドルと人民元のレートであり、1ドル=6.58人民元までドルに対して下落しているのである。
 このおかげで円は対人民元で、対ドルほどの下落とならなかったようである。

 この動きの原因をどう見れば良いかについては、専門家に分析を任せるとして、日中間の経済の中で暮らす私にとってはひとまず安心材料である。

 上海の物価について、幾つかピックアップしてちょっと換算すると下記のようになる。

上海のビッグマック

上海のビッグマック

 マクドナルド ビッグマックセット 25元=419.5円
 サントリー烏龍茶 500ml 1本 3.8元=63.78円
 地下鉄初乗り        3.0元=50.36円  
 タクシー初乗り(3㎞まで)  14元=235円
上海ディズニーランド 大人1日券 499元=8378円
 最低月額賃金         2190元=36767円

 こうやってみると、人件費はまだ低い面もあるが、庶民的なものの価格は日本の5~6割、全く同じ品質を求めるとほぼ日本の物価とさして変わらないか、高いくらいのものとなっている。
 最近何となく振り幅の大きいレートが、凄く気になっており、油断すると数%くらいすぐ動いてしまうので、なかなか緊張感の有る状況が続いている。
 

上海にいる私はマイナンバーをもらえない

 日本でマイナンバー制度が始まったことが報道されているが、日本にしばらく帰らない私にとっては、当面必要のない制度であり日本国内の動静を見守ればよいと感じている。 
 とはいえ、まるっきり関心を持たないのでいたのでは帰国したときに浦島太郎になってしまい、社会についていけない状態になっては困るのでちょっと制度を理解しようと総務省のホームページを覗いてみた。

 すると、ちょっと驚くべき事実を発見した。

 なんと上海にいる私は現在マイナンバーをもらえない身分だったのである。

 マイナンバーの対象者としてタイトルこそ「国民の皆様」となっているが、その中身をよく読むと「住民票を有する全ての方に1人1つの番号(12桁)が通知されます」となっている。

 つまり、マイナンバー付与の条件として住民票が登録されていることが条件となっており、ここから推測すると現在中国に来て日本で住民票を抜いてきてしまっている私にはマイナンバーが付与されないという解釈になる。

 まあ制度開始にあたってマイナンバーは問題点がたくさん噴出しており、今すぐに番号が付与されないのはラッキーなのかも知れないが、良し悪しはともかく、今すぐには番号をもらうことが出来ないのが今の立場のようである。
 ただ、一度付与されたら「一生使うもの」とも説明されていることから、恐らく一度でも日本に帰って住民票登録を行えばマイナンバーが付与され、その後再出国して住民票を抜いたとしてもその番号は生き続けるものと推測される。

 逆に言えばマイナンバーを受け取りたくない人は、制度開始前に私のように外国に住んでしまえば受け取らずに済んだともいえる。

 では、ちなみに住民票を登録しない状態で日本国内に住み続けたらどうなるか?

 自給自足の生活で、賃金などを受け取らない生活ならば理論上は、住民登録なしでも居住し続けられるかもしれないが、会社勤めなど賃金が発生するならば、住民登録なしというのはまず無理だろう。
 やはりどうしてもマイナンバーが嫌なら外国に移住というのが一つの選択となると思うが、ここ中国でも国民全員に身分証が配布されており、どこへ行っても番号制度から逃れられないというのが世界の趨勢らしく、現代の番号管理制度から逃げ切るのは難しいのが現実かも知れない。

 

上海の日本人が1万人転勤になるという噂

 先日、私の知り合いが言っていた話だが、この3月で上海から1万人の日本人が転勤となるという噂があるらしい。
 まあきちんとした統計機関があるわけではないので、確証のある数字ではないようだが、引っ越し業者の反応や日本人学校の生徒数の動向などから推測するとどうも1万人転勤という数字が導き出されるようだ。

 もちろん3月・4月というのは毎年人事異動のある時期であり、1万人が日本に戻って以後上海にまるっきり日本人が来なくなるということでもないらしく、入れ替わりで来る人もそれなりいるので、単純に1万人減ることにはならないらしい。
 ただ、その中身においてこれまでは家族帯同が主だったものが、単身赴任が多くなるなど、駐在の中身に差があり、来なくなった家族の穴の影響が非常に大きいということのようだ。

 この日本人が減る状況についてやはり経済的理由が大きいと推測され、円安による家族滞在費の増加、さらには輸出コスト高による事業体制の見直しなどで、工場を主としていたメーカーの撤退が相次いでいるのはニュースで伝わっている通りである。
 さらには世代的な問題もあり、日本経済をけん引してきた団塊の世代が60歳台半ばに達し、社内的に定年年齢に達し引退の時期を迎えたり、ビザ取得の壁にぶちあたり、滞在を断念するようなケースも増えてきたのだと思われる。
 こういった上海における日本人の減少は、これまで日系企業を支えてきた日系企業向けサービス産業にも影響を与えている面があり、フリーペーパーや不動産関連、夜の娯楽産業などもかなり影響を受けていると聞き、成り立たなくなった業態にかかわる人もまた日本に帰国したり別の業種に転職したりしている。
 まあ今後為替がまた円高に振れれば、上海の日本人状況も変わってくるかもしれないが、潮目が変わらなければさらに日本人が減るトレンドは続くのではないかと推測される。