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黒田バズーカ効果は無かった?再び円高進行へ

 先日、日本銀行の黒田総裁がマイナス金利導入という奇妙な手を使ったことにより、先週末にドル円相場が急激に3~4円ほど円安に振れていた。
 このマイナス金利というのは、日銀に預けてある各銀行の試算を放出し、市場に資金が流出しやすい環境を狙ったものだが、どうも失敗だったように映る。

 確かに一時的には株価が上がり円安も進んだが、今日の市況を見ているとあっという間にその効果が無くなっているようなのである。
 今日になって日経平均株価は再び値下がりに転じているし、ドル円相場も119円台まで落ちてきている。

 ただ個人的にはどちらかというともう少し円高(人民元安)が進んでほしいと祈っているほうなので、黒田バズーカにはどちらかというと冷や汗を書いたほうなのであるが、それほど効果が無く元に戻りつつある状況には安心をしているのが正直なところである。

 この状況から見るにつけ、大きな効果を狙ったいわゆる今回の「黒田バズーカ」は今回はほぼ不発に近く、効果が無かったのではないかという結果になりつつある。

 まあこれらの結果は至極当然のことで、実体経済において何も改善していないのに金融政策だけで、社会での投資が拡大するわけではなく、経済が向上することはあり得ない。
 金融政策は内需の拡大があって初めて機能する面があり、内需にきちんと手を入れないのに金融だけ手を入れても経済は上向かないのである。
 
 こんな状況の日本経済であるが、ただ一方で最近奇妙なのは、業界によっては幾ら賃金を上げても人手が足りないなどというニュースもあること。
 人材に投資しようというニーズがあるのに、受け皿となる人材の流動性がないことになる。
 これが株価が上がっても実体経済が上向いていないと言われる根幹である。

 つまり、上記の状況と併せて考えると労働市場の状況に合わせた需要喚起の政策が実施できていないのが、今の経済政策(アベノミクス)の最大の欠点と言える。

 故に現状人手が足りない土建業に対して幾ら予算を増やしても経済は上向かないのであり、経済対策は人手がだぶついている分野や、人材流動を促す人材会社へ教育への重点を置くなどの工夫が必要である。
 あるいは土建業自体も人材を引き込みやすい環境を整える変化や、逆に建築資材のユニットパーツ化などにより可能な限りアウトソーシングするなどの技術改革は必要だろうに思える。

 とにかくお金だけだぶつかせたところで、経済活動の中身が変化しなければ、バズーカなど何度撃ったところで、経済は上向かないのである。
 

中国経済を見極めるには貿易統計に注目

 2015年の中国の国家GDPの成長率が前の年に比べて6.9%の伸び率と中国国家統計局から発表された。
 さて、GDP数字そのものに関しては、この国では国家がこうだと決めて発表したのだからその数字は正しいというほかなく意見のつけようがないのがこの国であり、その評価に関しても経済が減速したという人もいれば、まだ6.9%も伸びているという人もいるが、6.9%は6.9%である。
 
 で、表面上の結果は6.9%を達成していたとしても重要なのは実質的な経済の動きの中身である。
 
 つまり6.9%もの経済の伸びが実質的に中国国内に本当にあったのかどうかということになる。
 これについて言えば、まずこのGDPの数字が経済の実態と本当にリンクしているかどうかは怪しく、GDPの伸びを以て経済を判断するのは危ういと多くの人が言っている。

 よく笑い話的に言われるのが、ビルを建ててすぐ解体してもGDPに組み込まれることになり、仮に建設費と解体費が同額だとすればそれだけでGDPが二倍に積算されるというのである。
 ビルは結局なくなってしまって経済的には何の成長にも繋がっていないのにGDPだけが増えたというのである。
 つまり経済状況判断をするのにGDPの伸び率はあてにならないということである。

 では、何を以て目安とするのが良いのだろうか?
 
それについて先日の日本のラジオで良いヒントを言っていた。

それは貿易統計が中国の経済を測る客観的な一つの目安となるというのである。
 何故かと言えば、中国国内の統計数字があまり信用できないとしても、貿易に関しては相手国のあることだから相手国の貿易統計を見れば概ね正確な数字を推しはかることが出来るというのである。

 中国の怪しい統計数字に悩まされていた私にとってはまさに目から鱗の話である。

 で、実際その貿易の数字を見ると、何れの主要国の対中国の貿易統計を見ても、輸出入は成長鈍化どころかマイナス状況になっているようだ。

 中国側の統計でも2015年の1年間の動向を見てみると輸出は前年比-5%程度、輸入は前年比-10~-20%の間を毎月推移しており、とてもではないが経済がプラス成長の状態にある国には見えない貿易状況である。

 さらに、鉱工業の状況を示すとされる電力需要も2015年はほぼ横ばい状態で、おそらく第三次産業の発展が電力需要を支えているが、鉱工業自体は伸びず縮小気味なのではないかと推測できる。

 まあ国家統計局の数字では、鉱工業のGDPはまだ数パーセントのプラスなので成長しているようにも見えるのだが、これらの数字は恐らく出荷額ベースでのデータと推測されるため、人件費高騰が押し上げている状態だと考えられなくもなく、生産重量ベースで考えれば実質の伸びはほとんどないと推測される。

 それ故に、中国全体の実質経済というのは実はプラス成長どころか、ゼロ成長かマイナスの状況があると推測できるのである。

 ではでは、こんな状況なのにGDPのプラス6.9%というのはどうやって積み上がった数字なんだろうかというところに疑問が湧く。

 色んなデータを確認してみると、昨年は金融仲介業の伸び率だけが頭抜けて良い状態であり、前年比17%も伸びていることがわかった。

 他の産業が1桁台で止まっているのに、金融仲介業だけ伸びており、実体経済が成長していないのに意味もなく投資が過熱している状況が見て取れ、これがGDP成長を何とか支えているようである。

 つまり人件費上昇分だけ、各産業の金額ベースでの数字は伸びているように見えるが、実質の経済としては金融仲介業だけがバブル的にGDP全体をけん引しているのが実態となる。

 数か月前に上海で日本人の有る方が、「日本の報道では嫌中意識から中国経済についてネガティブな報道が多いが、多くの数字でまだプラスとなっており、日本よりはるかに良い」と解説していた講演を聞いたが、その見方はやはりどうも間違っていたようである。

 やはりラジオで言ってた通り対外的な貿易額が減少している現状が中国経済の実態を素直に表しており、GDP成長率に惑わされず経済を見極めるには貿易額に注目するのが一番良いようである。

先行き不透明の上海の空

先行き不透明の上海の空

消費税が本当に景気低迷の原因なのだろうか?

 日本のGDPの第二四半期の速報値が、マイナス成長と発表されて日本の経済界が混乱していると報道されている。
 今年4月の消費税値上げが景気の足を引っ張ったとされているが本当にそうなのだろうか?

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 言っては悪いが消費税の税率が上がった幅はたった3%である。

 現在の税率が8%となったから、まるで8%物価が上がったのかのように騒がれているが、5%の時点を基準にすると実際の物価上昇は2.85%に留まっているのである。
 つまり1万円で285円だから上がったと言えば上がっているが、騒ぐほどインパクトの大きい数字かといえばちょっと首をかしげてしまう面がある。

 それより寧ろ現在の景気に悪影響を与えているのは為替であるという気がしている。

 ドル円レートを見れば、昨年この時期に1ドル98円程度だったのが、現在は115円にまで円が安くなり、実に17円も円が下がっている。
 17円の円安という事はざっくりそのまま17%ほどドルが高くなっていることを意味し、つまり17%も輸入品価格に影響が出ているということが言え、その影響で実際に国内の物価がどんどん上がっている状況となっている。

 まあこれが消費税の税率引き上げのタイミングと重なったものだから、消費税が消費の足を引っ張っているように映ってしまっているが、17%と2.85%ではどう考えても円安による物価高の影響の方がはるかに大きく、消費の足を引っ張っている気がするのである。

 つまり消費税引き上げによる景気への影響はかなり限定的だったという気がする。

 かつて日本が加工貿易産業で伸びていた時代は円安はプラスになったかもしれないが、そういった産業は大方中国など海外にシフトしており、日本が円安になって好転するような要素はもうほとんど残っていないので、円安になってしまえば、物価高だけしか影響がなくなってしまうという気がする。

 今回消費税引き上げばかりが景気の影響要素として騒がれているが、日本の産業構造が今どういう立ち位置にあり、何が景気を左右する要素なのかを見極める力を、政治家達にはもう一度きちんと学んでほしいという気がするのである。

マーチ輸入開始は日本経済界の激震

 ちょっとウケウリのテーマだが、これは驚くべきニュースである。

 日本の日産自動車が国内販売するマーチをタイの工場生産のものに切り替えるとの発表があった。

 つまり輸入することになった。

 マーチといえば低価格低燃費がウリの小型大衆車であるが、それが国内生産を諦め海外生産に切り替えるというのは日本の経済界にとって非常に意味が重い。

 これまで日本の産業を支えてきた自動車産業が国内市場でも国内生産では競争力がなくなったということである。

 冷蔵庫や洗濯機などのいわゆるシロモノ家電は結構早くから海外生産が始まっていて国内に製品の海外生産のもの切り替わっていたようだが、自動車は国内需要の下支えもあって輸出は減っても、国内市場分は自国生産が続いていた。

 しかしとうとうそれも、海外産製品に市場を奪われる時代がやってきた。

 タイで生産すれば輸送コストを加えても日本国内で生産するよりコストが安いということである。

 しかも元々価格の安い大衆車にも関わらずである。
 それだけ日本人のコストが高いということになる。

 派遣切りなどで話題になった自動車工場での契約社員なども給料は決して高くなかったはずだが、それでもタイの生産コストに比べればはるかに高かったことになる。

今後日本では生産しないで、タイで生産するなら「日産」ではなく「泰産自動車」だなどと冗談をいっている場合ではなくなった。

 しかもこの流れは恐らく自動車だけに留まらないであろうというのが今後の経済の止めがたい流れであることは間違いなく、日本の経済の空洞化、産業ごとの海外移転の本格的に始まりを告げるのがこのニュースのような気がする。

 それもこれも先日書いたように、人口減少による市場縮小が大きな原因の一つであることは間違いなく、経済界の必然的反応なのである。
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 果たして5年後の日本の経済界はどうなっているか?考えるだけでも恐ろしい。

 日本のセンセイ方も目先の消費税をどうするかなどと小さなテーマを論議している場合じゃないような気がする。
 日本の産業がみな出て行って「そして誰もいなくなった」では、どんな高い税率でも税金を取ることができないのだから。。。
(アガサクリスティで締めてみました)

経済危機の引き金を引いたのは北京五輪?

世界の経済学者たちはあまり語ってないのだが、私は実は個人的にこの世界金融危機の引き金を引いたのは北京五輪だと密かに思っている。
学者ではないので何の裏づけのあるデータを持ちえていないが、そんな感じがしている。

 もちろん、北京五輪が全ての元凶だというつもりは毛頭ないが、引き金を引いたという意味では十分影響があったと考える。

 北京五輪が開幕したのが8月8日で、その直前一ヶ月くらい前から、環境汚染の改善のために、無理やり工場を停止させ、車や農民工を北京市内から排除し無理やり環境のよい都市の雰囲気を繕ったお陰で経済活動が停滞した。働く人が減り、流通量を減らし工場をとめれば経済が低迷するのは自明の理である。

 もはや世界に巨大な経済影響力を持つ中国の経済の停滞はそのまま安価な中国製品に下支えられた世界経済に影響を及ぼすことは必至である。

 にも関わらず、中国自身の五輪開催という面子のために経済を犠牲にしてまで五輪開催を断行したのが北京五輪だったような気がする。

 中国自身が気がついているかどうか分からないが、もう既に中国の経済活動は一国の国の経済状況にとどまらず、世界に非常に大きなを抑制するということは世界の経済を止めるほどの影響があるのである。

 加えて当て込んでいた北京のホテルなどの五輪特需が見事に空振りに終わり、投資してきたものが回収できないことが分かったのが北京五輪であり、2008年8月の話である。金融危機の発端となったリーマンブラザーズはアジアの取引も多かったと聞くし、彼らの破綻が発覚したのは9月15日でオリンピックのほぼ一ヵ月後である。

 そう考えると北京五輪が世界の経済停滞を引き起こし、世界の金融危機を引き金を引いてしまったと考えるのはごく自然な推測であろうかと思うがどうであろうか?誰かこの仮説を証明してくれる経済学者がいることを願う。