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上海71路バスは使い勝手が悪い?

 先月の初めに上海の中心部を貫くように開通した71路だが、開通した当初は色々チェックする意味も有って何度か乗ったが、最近ではほとんど乗らなくなってしまった。

 理由は色々有るが、一口で言うと使い勝手があまり良くないのである。

 通勤ルートからも外れるというのがまず最大の要因だが、その他にもやはりバス故にスピードが遅く、更に慢性的に混雑しているという印象になってしまっている。

71路乗り場

71路乗り場

 まあ通勤ルートから外れると言っても10号線をよく利用する私にとっては、並行するルートでもあり、使い勝手さえ良ければもう少し選択肢に入れたいのだが、どうもそうはならない。

 スピードに関しては確かに専用レーンを突っ走るので渋滞知らずな面はあるが、高架ではなく地上ルートのため思ったより信号に捉まるし、停留所も多いので便利な反面乗り降りにそれなりに時間がかかり、それほど快適すいすい進むという印象にはなってはいない。

 また専用レーンといえども、交差する道路から左折してきた車が前が詰まっているため車の後尾が残ってレーンを塞いでしまうようなこともあり、完全に排他なレーン状況となっていない部分もある。

 そして混雑と本数については非常に相関関係が高いのだが、本数が思ったほど多くないため、車内が非常に混雑しているし、それゆえに今度は乗り降りに時間がかかる結果となり、更に運行速度を遅くしている。

 故に、恐らく全線の走行時間も当初は60分という触れ込みだったが、現状はプラス20分くらいかかっているというが私の推測である。
  
 そんなことから、どうもこの71路バスの利用は敬遠気味になっている。
 
 まあ上海市がせっかく頑張って作ったので、100%否定する気はないが、やはり改善すべき点が多々あるように思う印象である。

 まず一番簡単な改善方策としては本数の増加である。

 現段階では運転間隔が疎になっているため、時々車両が走る以外は、朝のラッシュ時に利用されていないレーンの空間が延々と延びている状況となっている。

71路専用レーン

71路専用レーン

 隣のレーンで渋滞に苦しんでいる一般車両や公共バスに申し訳なく感じるレベルであり、専用レーンとして占有するのであれば、もっと運行頻度を上げて、積極的に使用するべきだと思うのである。
さすれば混雑率も低下し、乗り降りも楽になりスピードアップも実現するのではないかという気がする。

 また、可能であれば車両構造も見直した方が良いように思われる。
 71路のバス車両は連接車であっても乗降口が3箇所しかなく、後部座席側が袋小路状になっている上に、無理して両側に2+2のシートを詰め込んだため通路が細く、乗り降りがスムーズにならないのである。

71路バスの車内

71路バスの車内

その動きにくさは、このバスの設計者はこのバスに乗ったことがないのではと思われるレベルである。
 
更に言えば健常者はこの車両でも何とかなるかもしれないが、車椅子の利用などはほとんど物理的に不可能で、バリアフリーが考慮されていない構造となっている。

71路バスの狭い通路

71路バスの狭い通路

 こういった点を考えると、新たに設置した路線の割には、細かい点に目が行き届いておらず、随分とお粗末な車両なのである。

 ただ、知り合いが言っていたが、あの車両は左側に乗降口があるために、上海市内の他のバス路線に転用出来ない特殊な車両とのこと。

 つまり使い回しが効かず、購入してしまったからにはこの路線で使い潰すまで使い続けるしかないということのようである。

色々と残念な点が目についてしまっている71路だが、いち早い改善を望みたい。

中運量71路バスの開通で朱家角への新しいルートも誕生

 上海市内に71路という新たな交通機関が登場した。

 この71路は外灘から上海の中心部の延安路(東路、中路、西路)の高架道路の下を延々と上海虹橋国際空港の南西側の申昆路枢紐站へまでの17キロ余りの専用レーンを走るトロリーバスでありBRTと言ってもいい交通システムである。

71路バス

 この71路という名称は直近まで別の路線で使われていたのだが、今回の路線と重複する部分が多いということで名前を譲り、この路線で使われることになったようだ。

 ちなみに「中運量(中規模運送量)」というのは、地下鉄ほどではないが従来のバスより輸送量が多いという意味のようである。
 一般的に地下鉄だと1時間あたり1~2万人というのがおおよその目安で大規模輸送と言えるが、「中運量」だと2000~5000人/hが目安というのが私の理解である。

 ところが中国語の記事を読んでいると、大運量を5万人以上、小運量を5千人以下、そして中間の中運量を1万5千人と設定しており、ちょっと盛り過ぎの数字のような気がする。
 恐らく中国の表示は往復の輸送量キャパというのが種明かしになろうと思うが、それにしても多く、やはり盛り過ぎで実際の上海の地下鉄の輸送力と合っていない。

 今回の71路も定員の150%くらいで考えても最大5000人/h程度であり、そもそもの定員設定が実際の車両実態に対して詰め過ぎの印象であることから推測すると、今の運転間隔だと輸送能力はせいぜい多くても4000人/hが限度であろうに推測される。
 専用レーンを走るので、運行自体はかなりスムーズなようだが、期待される輸送力を担えるかはちょっと疑問で、春節明けで乗客や道路の交通量が増えてきたときに対応できるかは見てみないとわからない状況となっている。

 ところでこの71路の開通により、観光地である朱家角に向かうルートに新たな路線が加わったことになった。

 その新しいルートというのが71路の終点の申昆路枢紐站から朱家角へ向かう滬朱専線というバスである。

朱家角行きの滬朱専線バス

 正確に言えば新しいバス路線ではなく、従来からある上海市内から朱家角に向かうルートの一部がこの71路に置き換わり、従来路線が短縮されたというのが正しいのだが、従来の発着点がややわかり難い場所にあったので、今までより利用しやすくなったという気がする。

 普安路からの朱家角行の高速バスは従来のまま残されるので、人民広場付近からの利用はそのまま高速バスを利用すれば良いが、途中の例えば虹橋や静安寺などのエリアから朱家角観光に行くにはこのルートが便利になったと思われる。

 もっとも、この便利さを享受できるのは今年いっぱいの期間限定の話であり、年末には軌道交通17号線が開通し朱家角まで結んでしまうらしいので、開通後はそちらを利用することになるだろう。

 ただまぁ期間限定と聞くと試してみたくなるのが性分なので、近いうち週末を利用してこのルートを通って朱家角を訪れてみようと思っている。

外灘の事故と中国人の群集心理

 年明け直前の12月31日に、上海の観光地外灘で36人もの人が将棋倒しで圧死するという痛ましい事故が起きた。

 外灘で行われるカウントダウンイベント目当てに大勢の人が押しかけていたようで、私は今回は行かなかったがその混雑ぶりは数年前に同じ場所・同じ時間にいたことがあるのでなんとなく想像は出来る。

 ただその年は非常に寒かったので、今回よりは人出が少なかったんじゃないかと思うが、それでも結構な人数が出ていた。

 日本人からすると、今回の事故についてもう少し警備によって人数制限とかできなかったのかという感想も出るが、今回現場付近でお金がばらまかれたとか何とかの噂があり、必ずしも人数制限だけでどうにかなるものでもなかった気がする。

 日本もかつて2001年に明石の歩道橋で花火帰りの見物客が将棋倒しで死者が出た事故もあったが、あれは警備計画に無理があって事故が発生してしまったが、群集心理が働いた今回の事故とはどうも違うという気がする。

 どうも中国人というのは群衆になればなるほど群集心理が働くというか、元々周囲への配慮が得意な人々ではないので、周りが見えずにわれ先へと行動する分だけパニックがより深刻化する傾向があるようである。

 かつて私もこの中国の群衆状況に巻き込まれ、怖い思いをしたことが2度ほどある。

 1度目は、某欧米系家電量販店が上海に開店した際に、開店日に店へ行ってみた時のことである。
 私が行った時は既に長い行列が出来ていて、横に5~6人で縦に100m以上の行列となっていた。
 最初は大人しく行列に並んでいた周りの市民たちだったが、前が進まないのに段々と後ろからのプレッシャーが激しさを増してくるので、徐々に前に押し出されるようになった。
 警備員たちは、ガードレールのような車止めで人の流れを押しとどめ、前方のグループとの間隔を保っていたが、ある瞬間後ろからの流れにそのガードレールが決壊し、途端に人々が前へ前へと走り出すことになったのである。
 こちらも突き飛ばされそうになりながら、もみくちゃになりながら周りの流れに流され前に進むしかなかった。
 とどまっている方が危険を感じたからであり、中国人達の群衆の中に身を置くことの怖さをこの時初めて知ったのである。

 そして2度目は2年程前に元宵節に豫園に行った時である。
 たかだか幅20m程の道路の幅に、おびただしい人の流れが蠢いていてあたかも私の地元常磐線の朝のラッシュが横に3~4倍に広がっているいような状態で、ほとんど身動き取れないほどだったのである。
 まあ当時現場にはそれほど危険な要素はなかったので、その日は無事には済んだが、何かちょっと起きたら命が危ないなと思える程芳香性の無い押し合いへし合いの凄い状態だったのであり、上記の件で中国人の集団心理の怖さを知っているだけに、やはり怖さを感じちょっとビクビクしていたのである。

 実は上海ではこんなイベントの日だけでなく、普段からいつでもパニック的である。
 例えばバスへの乗車一つとっても、普通のバス停では誰1人もな並ぶ者はなくバラバラな位置で待っており、バスが近づくのが見えてくると、横並びであった人たちが少しずつ他人より優位な場所に立とうと徐々に肩を前に迫り出し足を迫り出し、車道側に競って近づくような行動をとるのである。

 そしてバスが到着した途端に入り口にわーっと列も作らず群がる。

 まるで餌に群がる池の鯉の如きの風景のパニック状態となる。

 まあバスの始発駅のような行列用通路が設置されている場所であれば、大半の人は諦めて並ぶようだが、そういう場所でさえ並ぶのを嫌って先頭付近でバスに乗ろうとする人も未だ少なくない。

 彼らは並ぶのが相当嫌いなようにしか思えず、行列は無駄なんじゃないかと思っている節があり、実はイベントなど特殊な環境でなくても日常からこのようなパニック的行動を毎日の様に繰り返しているのである。

 2010年の上海万博では、中国人の行列マナーの悪さがさんざん有名になったが、5年たった今でもマナーの面ではほとんど変わっていないのが現実である。

 こういった文化状況の国で、今回の外灘のような事故が起きても何ら不思議ではなく、私としてはあの場にいなくて本当に運が良かったなというのが正直な感想である。

 日本でも明治神宮や成田山の初詣など大勢の行列が毎年発生するが、日本人が行儀良いのと警備方法がツボをついているので、近年ではどんなに混んでいてもパニックになったことはないし、ここ数年元朝参りでその手の事故はなかったような気がする。

 もちろん警備の対応が甘ければ、明石のような事故や昨年末の東京駅100周年スイカ事件のようなことは起きる可能性があるのだが、やはり大きな事故が起きることは滅多になくなった。

 今回の外灘の事故を受けて、中国当局はどういった反省をし対応を取るか分からないが、現地外灘の警備云々を考えることも大事だが、普段のバス乗車マナーなど基本的な集団行動意識から見直さないと根本的な解決にはならないような気がするのである。
 

看板の少ない風景

窓から見る風景に屋上広告は見当たらない。

窓から見る風景に屋上広告は見当たらない。

上海のビルの高層階から窓の外を眺めて気が付くのは、屋外看板が非常に少ないという事である。
日本だと超高層マンションはともかく、一般的な商業ビルの屋上や街路沿いの空き地などには必ず屋外広告の看板が1つや2つ目に入るのが普通だが、上海はこれらが比較的少ないように感じる。
もちろん駅前のビルの正面など限定的な場所では、ビルの壁面に巨大な企業のロゴなどが貼り付けてあったり、派手な看板があったりするのだが、あくまでそういった繁華街限定であり、日本のように無秩序にあちらこちらに看板は見当たらない。

例えば下記は上海駅南広場の写真だが、東京駅の八重洲口の風景と比べると看板の数が圧倒的に違う。

上海駅南口正面

上海駅南口正面も屋外広告は多くない

外灘などでは黄浦江周辺に競うようにネオンの看板が設置されているが、あくまでも観光的要素の一つのように置かれており、その看板の量がどこにでもあるわけではない。

婁山関路のデパートの看板

あくまで壁面広告が中心

恐らく景観条例などが厳しく設定され、無秩序な看板の設置が禁じられているのではないかと思われる。
その代り上海では工事現場の壁面などを覆うように、巨大な広告写真が貼られているケースが良くある。

上海市内の風景

繁華街以外は大きな看板はほとんどない

これは恐らく、工事現場を目隠しする機能として許可されているのではないかと思われ、日本でも同様のケースはあるが、中国のそれはより巨大のような気がする。
また高速道路沿いにも巨大な広告塔が等間隔でずらっと並ぶ光景を目にするが、あくまで官制広告と言うか、道路管理者が商売でやっているようで管理が行き届いており、田んぼの真ん中に看板を設置するような日本的な無秩序な設置はほとんどないような気がする。
景観を規制しながら、広告ソースは行政の胴元が握るという、いかにも中国らしい広告の姿がそこに見える気がする。

春節の花火はジャズのリズム?

新年快楽!

春節を迎えて中国は新年を迎えた。
昨夜も例年通りに、九江路の中福大酒店の主催する(?)花火を見に行った。

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 まあ例年通り狭いビルの空間で打ち上げられる迫力ある花火だったが、今年は規制が厳しくなったのか花火の種類の幅が限られていたようで、ある意味シンプルな打ち上げで、仕掛け花火らしきものはほとんど見なかった。

 ただそのおかげで花火の音そのものを楽しめ、結構楽しかった。

 この音を聞いてこそ、春節という感じである。

ところで、数年前から感じていたことだがこの花火のリズムは、ジャズのシンバルのリズムに良く似ている。

 リズムというか響き方である。

 上海のこの場所で聞く花火の音はジャズのドラマーがスティックでシンバルを、
「ターン、ターン、タンターン」
 という小気味よいリズムで叩くような印象とよく似ている。

 実は、これ一昨年にジャズのリズムを聞いていたときに感じ始めたことで、ジャズのシンバルの音って何かに似ているなと感じ、思い出したのがこの春節の花火である。

 シンバルの音というのは最初のアタックから音が減衰するまでの時間が比較的長く、約2秒前後かかっていると思うが、その音が減衰しきらないうちに次のアタックが来て次々と被せていく感覚が、花火のそれとよく似ているのである。

 故に花火が続けざまに打ちあがる様は、ジャズドラマーがソロの魅せ場でヒートアップしている情景が目に浮かび、とても音楽的で心地よい。

 こういう共通点を見出すと
ああ上海で伝統的にジャズが流行るのはこの花火の影響なんだな
と考えたりもする。

 ただこの理屈で言うと、春節の花火は上海だけではなく中国全土で打ちあがるので、中国全土でジャズが流行っていても良さそうなものだが、現実にはそうなっておらず、やはりほぼ上海限定の状態である。

 つまりこれだけでは、上海にジャズが流行る理由としては不十分で、何か別の答えが必要になる。
 
 まあこの疑問に対する優等生的答えを言うのは簡単で、
「海外との交易が盛んだった上海では外国文化を受け入れやすい素地があった」
という風な理屈付けはすぐできるのだが、これだけでは何だかつまらない。

 何故ならこの答えだけで片付けてしまうと、中国全体の対外開放が進んだ現在でもジャズが上海以外にあまり広がっていないように見えることに、説明がつかないからである。

 そこで音楽好きな私として自分なりの答えを出すとすれば、この上海の空間がジャズの響きに近い響きを生んだ、そういう推論を導き出してみた。

 外国文化が多く流入した外灘では戦前から石造りの建物が多く密集し、外灘以外でも石庫門などと言われる上海の代表的伝統建築は石造りの住宅となっており、上海市内ではこれらの建物が非常に多く建てられている。

 この外灘などの石造りの建物と建物の間の空間は、石そのものが音を反響しやすいために音が良く響き、建物が密集することによって結構遠くからも音が反射して帰ってくるので、音の減衰時間は自然と長くなる。

 この空間で花火を打ち上げれば、恐らく何もない平地で「ドン、ドン」と打ち上げる花火より音の聞こえ方として減衰時間が長くなるのは必須であり、他の土地で聞く花火よりジャズのシンバルの響き方に近くなるのだと推測される。

 それに外灘などは経済的中心であると同時に夢のスマロ(四馬路)などと言われた歓楽街が存在しており、こいう環境でジャズの演奏が多く行われていたのだと察すると、ここにいた人間たちにとっては、ジャズのシンバルの音は親しみやすい音だったのではないか?そういう風に推測するのである。

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 こうして考えると、この外灘近くのビルの谷間の中福大酒店の花火を毎年聞いている私が花火とジャズとの共通点を感じるのは結構合点がいくのである。

 「上海ジャズと花火の関係」というのは考えてみれば見るほど結構面白く、もう少し掘り下げてみたいテーマである。