Category Archives: 上海虹橋駅

輸送力が足りない上海虹橋駅と上海虹橋国際空港の足元

 最近よく地下鉄10号線を利用するのだが、龍渓路駅より西側の部分の運行本数が少なく、いつも混雑していることがとても気になっている。

 10分に1本程度しか運行されていないのである。

地下鉄10号線の案内板

地下鉄10号線の案内板
(2番目の列車は10分後)

 本来、10号線全体では5分に1本程度の輸送力は確保されているのだが、以前もブログで書いた通り車両車庫のため龍渓路から支線が龍柏地区の方に分岐している。
 (上海地下鉄10号線に支線がある理由

 そして分岐線での運行割合を1:1で割り振っているため、支線区間では10分間隔の運行となっているのである。
 確かに龍渓路駅より西には4駅しかないが、それぞれ上海虹橋国際空港のT1とT2上海虹橋駅、さらには虹橋長距離バスターミナルも抱えているわけで、そんじょそこらの3駅の乗降客ではない。

 つまりこれらの空と陸のターミナルへ流入してくる旅客を受け止めるべき存在であるはずなのに、この区間で10分間隔というのはどうも少なすぎると言った印象なのである。
 ただ、これらのターミナルには並行して地下鉄2号線も乗り入れており、こちらも含めればそれなりの輸送量となる。

 しかし地下鉄2号線に関しても一つ市内側の淞虹路駅で半分の列車が折り返してしまうため、市の中心部では最短3分間隔のものが、この区間では6分間隔程度になってしまっている。

 この結果、この上海虹橋枢紐ターミナルから市内へ向かう列車は常に非常に混んでおり、ラッシュ時間帯以外でも年中通勤時間帯のような様相を呈している。

夕方に市内へ向かう10号線

夕方に市内へ向かう10号線
(3月に撮影)

 このような状況を見て、ひょっとすると輸送力キャパが根本的に足りていないのではないかという印象を持った。

 そこで地下鉄のキャパと、ターミナル側の利用客数を簡単に計算してみた。

 まず地下鉄2号線だが、6分間隔とすると1時間10本となり、8両編成なので1時間80両となる。
 これから1両150人で計算すると、1時間に12000人の輸送キャパとなる。

 また地下鉄10号線は10分間隔とすると1時間6本なので、6両編成なので1時間36両となり、1両150人で計算すると、1時間に5400人の輸送キャパとなる。 
 つまり地下鉄2本合計で1時間に17400人の輸送力という計算となる。

 これに対して虹橋枢紐への流入は、まず空港が1時間に30本程度の発着があるとして、航空機の輸送客を1機150~180人とすると、4500~5400人/hという数字になる。

 で問題は上海虹橋駅だが、杭州方向と南京方向併せて1時間に20本程度の列車が運行されており、1編成が8両か16両でかなり輸送客数が違ってしまうのだが、まあ半々と仮定して1編成610~668人のほぼ中間値640X1.5X20=19200人/hという値がはじき出される。

 但しこのうち上海虹橋駅で降りずに南京方向から杭州方向へスルーする乗客が2割程度いると仮定すると、上海虹橋駅での降車客は最大16000人/h程度いるとなる。
 つまり上海虹橋駅と上海虹橋国際空港合計で1時間あたり2万人を超える利用客があることになり、これだけで地下鉄のキャパをはみ出してしまうのだ。

 さらに虹橋枢紐では長距離バスが1時間に50本ほど運行されており、定員40人として最大2000人/h、まあ平均乗車率6割として1200人/hが上記の数字に上乗せされる。

 そして忘れてはならないのが通勤客などの一般利用客の存在である。

 これについては参考となりそうな具体的な数字が拾えなかったのだが、大雑把に地下鉄全体で1日700万人の利用客として、これを350駅で割って1駅あたり1日2万人、営業時間18時間で割ると1時間あたり1000人ちょっととなるので、ここから言えば低く見積もっても上海枢紐周辺駅全体で2000~3000人/hの周辺住民の一般乗客がいるのではないだろうか?

 そして2号線の終点には国家会展という巨大な展示会場が設置されており、イベント開催時にはさらに利用客が集中することなることになる。

 もちろん、空港から高速鉄道の相互乗り換え客、あるいはタクシー・自家用車への流れる利用客もあるのだが、タクシー乗り場だと1時間で1レーン200~300人がせいぜいであり、自家用車利用者と併せても全体で1,000~2000人/hというところであり、相互乗り換え客も全体の1割くらいかなという推測である。

上海虹橋国際のタクシー乗り場

上海虹橋国際のタクシー乗り場

 こうやって計算していくと何やかんや1時間当たり最大2万5千人程度の利用客が虹橋枢紐に集中することになるり、全部が地下鉄に集中してしまうとと、1万7千人/h程度のキャパの地下鉄ではとても捌けないのである。

まあ、これらの数字の計算は私が拾った数字による大まかな概算でしかないが、10号線の混雑が輸送力の低さに起因するのは明らかであり、上海虹橋枢紐周辺は地下鉄が2本も乗入れながら、輸送力に余裕がないというか足りていない状態であって、それ故の混雑の常態化なのであろう。

 しかも今後、上海虹橋火車駅には青浦区からの17号線乗り入れが予定されており、既に建設も始まっていて将来的には利用客がさらに増えること必至である。

 これを解消するには輸送力の増強しか道はなく、個人的にはまだキャパに余裕のある10号線をどうにかするしかないと考える。

 つまり
  ①運転間隔の短縮②編成の増強
 である。

 このうち①の運転間隔の短縮は、合流部分で1時間20本の3分間隔で運転を行えば、分岐部で6分間隔、つまり上海虹橋枢紐へは3600人/hの輸送力アップとなり、これによって上海枢紐全体における地下鉄キャパはほぼ2万人/hを超えることになる。

 さらに②の編成の8両化を行えば輸送力は30%以上アップすることになり、これでようやくキャパが2万5千人/hに近づくことになりトントンといったところである。 
 地下鉄当局がどの程度この混雑状況を重く見ているかわからないが是非改善を検討してもらいたい10号線の実態である。


上野駅は技術者たちの職人芸の極み

日本の上野東京ラインが開通してから一か月以上経つが、今のところ大きな混乱もなく運営が続いているようで、ニュースとして伝わるようなこともなくなってきた。
まあ、この路線が開通してから一度も帰国していない私がこういった文章を書くのも変なもんだが、以前から上野駅というのは非常に凄い構造の駅であると感じていたが、今回の上野東京ラインの開通で、その凄さに拍車がかかったなという印象になっている。

上野駅の何が凄いのかというと、巧妙に組み上げられたそのレールの構内配線であり、世界でも稀に見るほど複雑な列車運営を行っている駅だと思うのである。

上野駅というのは元々浅草側の行き止まり型の地上の駅に、山側に線路を増やして、南の東京駅方面へ抜けるホームを追加した構造の駅となっている。
こういった発展の歴史をとっているために、ホームの数も非常に多くなり、現時点でJRの在来線だけで18番線まである。
(新幹線や地下鉄を入れるともっと多い)

まあホームの数だけなら上海にもっと大きい上海虹橋駅があるので凄いことにはならないかも知れないが、上野駅の凄さを示すのはその線路配線の複雑さである。
山手線と京浜東北線の1~4番線を除いた14本のホームへのレールが巧妙に組み合わせられており、具体的には常磐線の上りからは5・6番線を除く全てのホーム、東北線からは10~12番線を除く全てのホームと連絡が可能な構造になっている。

1993年当時の路線図だがほとんど変わっていない。 引用元:http://senrohaisenzu.cocolog-nifty.com/blog/2010/10/post-8fd3.html

1993年当時の路線図だがほとんど変わっていない。
引用元:http://senrohaisenzu.cocolog-nifty.com/blog/2010/10/post-8fd3.html

これらにより上下線が同時に運行されても障害の無いように線路が組まれ、それに合わせた運行ダイヤが組まれている。

 もちろん、この複雑な配線を包含する信号システムもレール配線に合わせて組み込まれているわけで、その内容は我々素人には単純には想像がつかないほど複雑な構造となっていると察せられる。

私が知る限り、こんな複雑な構造を持った駅は恐らく世界中どこを探してもないというような気がしている。

上記で取り上げた上海虹橋駅も2組の複線が乗入れホームの数も多いが、その配線は傘型に広がるだけの単純な構造であり、ダイヤも日本ほど密ではないので平面交差があってもちょっと待機すればよく問題にはなっていない。

 しかし上野駅は朝のラッシュ時などには数分単位の非常に密な列車ダイヤが、この複雑な配線の上に組まれているのである。

 しかも今までは全ての列車が上野止まりだったので、東北線と常磐線を独立運行させておけば済んだのだが、今回の上野東京ラインの開通で上野から南に向かう列車を組み合わせて捌かなければならない状況が新たに生まれてしまったため、状況がより複雑になっている。

 現在の上野駅のホームの運用を見ると、行先方向別に5・6番線が北行き、7・9番線が南行きと振り分けられ、それぞれが数字の小さいほうが東北線、大きい方が常磐線に振られている。
 しかし8番線は北行きの常磐線特急が振られ、何故か南行きの線路の間に挟まるような恰好で運用されるため、必然的に駅の前後で平面交差が発生するのでうまく捌く必要がある。

さらに上野東京ラインは東北線だけを見れば複線の上下独立が保たれているが、常磐線を組み合わせた場合は上記のホーム運用だと渡りポイントの都合で上野駅の南側で常磐線同士の上下線の行き違いが出来ない構造になっている。

つまりダイヤで常磐線の上下線の列車同士がかち合わないようにダイヤを組み合わせる必要が生じているのである。

恐らく運用上はダイヤをパターン化して、かち合うのをうまく避けているのだと思うが、それにしてもこれを捌くには職人芸的対応が必要とされ、こんな厄介な配線の組み合わせを考慮しながら細かいダイヤを組める日本の鉄道技術者たちには感服する。

中国では高速鉄道がどんどん伸び、地下鉄が建設されている都市も増えているが、いずれも単純な複線構造の延長でしかなく、とてもじゃないが日本のような複雑な構造をもつものは存在しない。
 私は車両の技術の上で日本と中国でどのくらいの差があるのかないかなどという点については全くわからないし興味もないのだが、こういった運用能力においては、圧倒的にノウハウの差が日中にあるなという気がする。

上野東京ラインの開通というは、今回単に鉄道が繋がったというだけでなく、日本の技術者の職人芸の極みがそこにさらに積み上がった出来事として私の目には映るのである。

上海虹橋駅から上海南駅や上海駅へのシャトル列車の構想

上海の三大鉄道ターミナル駅はそれぞれ別の場所にあり離れており、上海駅と上海南駅は軌道交通1号線と3号線で結ばれて結ばれているが、新しくできた上海虹橋駅だけはぽつんと離れた場所にある状況になっている。

上海虹橋駅と他の2つの駅との間にはそれぞれ941路と枢紐1路というバス路線が運行されているほか、乗継などをすれば地下鉄で移動は可能だが、可能と言うだけであまりスムーズに移動できるとは言い難い状況になっている。

この点、山の手線で全てのターミナル駅が結ばれ東京に比べると利便性にかなり差があるという気がする。

この点について、最近上海の地図を見ていて気がついたのだが、上海南駅から上海虹橋駅の間は線路が繋がっており直接乗り入れることが可能になっている。
それどころか、上海虹橋駅からそのまま上海駅の方へも線路は繋がっている。

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まあレールとして、どの程度きちんと繋がっているかどうかは確かめたわけではないので、ポイント工事など一切なしで乗り入れが可能かどうかは分からないが、その気になれば、それほど大工事をせずとも乗り入れが可能のように見える。
こういった線路状況を見る限りにおいては、上海南駅―上海虹橋駅―上海駅というルートでのシャトル列車の運行が可能にように見え、東京の山手線のような役割を果たすことが可能のように見えるのである。

先日軌道交通4号線が環状線でありながら、ターミナル駅を結んでいないことは指摘したばかりだが、各ターミナルを結ぶと言う役割だけでみれば、こういった運行のほうが余程重要だという気がする。
恐らくそれぞれの駅間をノンストップ列車で運行すれば20分もかからないように見え、現行のそれぞれ1時間程度かかるルートに比べれば、大幅な時間短縮であろうに思える。

まあ最近の日本だとJRが民営化していることもあり、貨物線の活用と言う意味でこういったプランは需要が見込めればすぐ実現しやすいが、上海市と国の鉄道部と言う組織体系の複雑な中国では、アイデアがあっても、いろいろなしがらみで動きは鈍そうだという気がする。