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晴れない上海の冬

 例年のことではあるが、上海の冬の空は関東の冬のように晴れてはくれない。
 どちらかというと日本海側のごとく、曇った天候が続きぼんやりとした天候が続く。

上海の空

 気温も上がらず1ケタ台の気温が続くので、日照時間の少なさも手伝って毎日寒々しい思いで過ごさなければいけないのが、上海の平均的な冬の顔である。
 暦の上では既に立春を過ぎ、春節も過ぎ去ったというのに、春という印象からはまだほど遠い。
 この2週間ではっきりした青空が覗いたのは1日くらいしかなかったのではないだろうか。

 大気汚染という要因も確かにあるにはあるのだが、雨の日などは汚染物質の値は低く、視界の悪さは汚染物質だけではない要因であるようで、この地域の持つ気候環境がこの寒さや陰鬱さをもたらしているようだ。

 その割には以前「上海人はあまり脱がない」で書いたように、ストーブなどの暖房器具などをほとんど利用しないのがこの上海地域の特徴でもある。

 このような気候が続くと、当然行動力は鈍くなるし、気持ちも重く成る、

 医学の世界では冬季性うつ病という言葉もあるように、太陽光を浴びる時間が少なくなるこの季節は、うつ病に近い心理的状態になる人もいるようだ。
 そのための治療用ライト(照明)なども世の中にはあったりする。

 まあ私とて、底の底まで気持ちが落ちているわけではないが、やはり決して爽快な気分でこの気候を過ごしているわけではない。

 音楽などを聴いて意図的に気持ちを前向きに持ち上げたり、外出機会を増やして引きこもりにならないよう努めているが、やはり気持ちは重い。
 関東で育った人間にとって冬は寒いが、空は青いのが当たり前なので、この重い空は結構堪える。
 晴れた青空が待ち遠しい今日この頃である。


<目覚まし用ライト>

上海の大気汚染は改善しているのか?

 この冬に入ってから、どんよりとした天候が続いており太陽の姿を忘れてしまったかのような日々が続いている。

 大陸特有の底冷えもあり、気分的にもすっきりしない、

日本の日本海側がこんな気候なのかなとも想像するが、雪はそれほど降らない。

こんな気候が続く上海ではあるが、今年はあまり大気汚染の話題は表に出て来ない。

そういえば、街の空気が真っ白になることも少なく、昨年や一昨年よりも霞がかかる日の割合や濃さが減った気がする。

リアルタイム表示をしてくれるサイトでAQI指数をチェックすると55となっており、ものすごく綺麗な状態とは言えないが、かなりまともな状態であり、昨年以前に200とか300とかの数字が出ていたことを考えるとかなり改善したようである。

中国サイトの上海AQI指数

中国や上海政府はここ数年ほど大気汚染対策にはかなり気を使っており、内陸部の火力発電所の改造や廃止、エコ自動車の推進、その他街の焚火に至るまでかなり細かく対策はとってきている。

この大気汚染状況の改善は、その努力が功を奏したようにも見える。

ところがである。

これとは別の、上海のアメリカ総領事館のサイトが発表している観測データによるとほぼ同じ時間のAQI指数が113となっており、中国基準の発表値の2倍もある。

米国上海総領事館のAQI指数

上海市内のそのほかの観測点も軒並み100を超えている。

何故こんなことが起きるのだろうか?

中国側がデータねつ造しているのであろうか?

実はこの2つの違いは両国の環境基準の違いにある。

つまり同じ両国とも「AQI」という略称を使った指数であるが、その算出の基準となる根拠が全く違う評価を使っているということになる。

例えばPM2.5の物質について、アメリカの基準でいう1~50の指数の表わす範囲は、0.0 – 15.4㎍/㎥、同様に51~100の指数の示す範囲は15.5 – 40.4 ㎍/㎥となる。

これに対して中国の基準の場合は1~50の指す範囲は0.0 – 35㎍/㎥、同様に51~100の指数の示す範囲は35 -70㎍/㎥となる。

具体的な指数を算出する算式は省略するが、例えばPM2.5の観測値が50㎍/㎥だった場合、アメリカ式の場合は指数が120となるが、中国式の場合は71と表示されてしまうのである。

つまりどちらかが数字をごまかしているわけではなく、それぞれ正確なデータを示してはいるものの、指数の基準が違うということになる。

しかしながら、やはり中国式の大気汚染基準指数の方が緩いということになり、アメリカ式基準で見たければ、中国で表示されるAQI指数の1.5~2倍くらいした数値であることを理解して数字を受け取る必要がある。

いずれにしても、ちょっと前に比べれば中国の大気汚染状態はかなり改善されてきている状態ではあるものの、まだ欧米並みに完全に安心できる状態ではないということのようである。

タクシーより早く着く?上海の公共バス専用レーンは意外と強力

 上海で公共バスと言えば、遅い交通機関の代名詞のような存在だったが昨年あたりから異変が起きている。
 朝晩のラッシュ時はタクシーよりバスで移動したほうが早く到着するケースが増えてきているのだ。

 どういうことかというと、上海市内の主要幹線道路において公共バス専用レーンの設置が増えているからである。
 報道によると上海市では2015年末までにこういった公共バス専用レーンを市街地の主要幹線道路に32区間総延長300キロ設置したとのことで、既に市街地は概ね網羅したとのこと。

 実際上海市内を移動してみても片側三車線以上ある道路には概ね専用レーンが設置されたという印象になっている。

上海の公共バス専用レーンの標識

上海の公共バス専用レーンの標識

 この公共バス専用レーン、午前は7時から10時まで、午後は16時から19時までのそれぞれ3時間ずつ設定されており、沿道を出入りする車両と右折車両(中国は右側通行)以外は通行が禁止されており、誤って侵入した場合は罰則を受けるようだ。

 しかも実は渋滞の激しい平日だけではなく、週末を含め1年365日このルールが適用されるとのこと。

 この結果、朝晩のラッシュ時には渋滞を横目にすいすいと走り抜ける公共バスの姿がよくみられるようになったのである。
 タクシーも一般車両同様にこの公共バスレーンを走れないため、かつて公共バスより早く移動できるはずだったタクシーが追い抜かれる現象が起きている。

専用レーンを走る公共バス

専用レーンを走る公共バス

 もちろん朝晩ラッシュ時のバス内は相当混んではいる。

 しかし、タクシーより早く目的地に着く可能性が高いため、私も時間を急ぐ場合はバスを選択するケースが増えてきた。
 (まあ右折車両や沿道を出入りする車も少なくないため、度々走行が阻害されるケースもあるが、それでも渋滞に並ぶよりは速い印象)

 ただ、この状況には一般ドライバーから不満の声も出ており、不平等であるような意見のほかに、あまりバスが走らない区間にも専用レーンが設置され渋滞に拍車をかけているとされる。
 しかも迂闊に専用レーンに入ってしまうと、元のレーンに戻るのも容易ではない上に、罰則のプレッシャーもあるため、朝晩は常に緊張感のある運転が求められるようだ。

 しかしまあ上海のドライバー達には申し訳ないが、個人的な立場から言えば、上海で運転しない私にとっては公共バスの定時性は大変ありがたい話であり、車上の混雑さえ我慢出来ればタクシー費用も節約できて一石二鳥なのである。

 もとより、環境対策としてもマイカー通勤を止めてバスや地下鉄に切り替えることは大きな効果があるとされているわけで、PM2.5などの大気汚染に悩む上海市にとってはこの専用レーンの設置は一つ重要な施策であろうに察せられる。

 私としてもこの専用レーンの設置を含め、上海の交通網の更なる公共集約化によって上海の大気環境が1日も早く改善されることを是非期待したいのである。