Tag Archives: 採算

格安航空券はファースト・ビジネスクラスの恩恵?

 最近自治体の首長がファーストクラスに乗るべきか否かという話題が出ていたが、これに関連して、色んな航空会社の運賃を見ていたところ、ファーストクラス(F)やビジネスクラス(C)とエコノミーの運賃格差が思いのほか大きいことに気がついた。

 例えば東京-ロンドン間をJALのサイトで8月21日発25日戻りの条件で検索すると、

・Yエコノミー 229,500円、147席=33,736,500円(33.87%)
・プレミアムエコノミー 312,000円 40席=12,480,000円(12.53%)
・Cクラス 680,000円 49席=33,320,000円(33.45%)
・Fクラスで2,508,000円  8席=20,064,000円(20.15%)
という結果が出た。
(料金はいずれもその時のクラスの最安値)

 上記の数字の右側は、クラスごとの席数と満席となった場合の収益、その割合を出したものである。

 これによると満席(244席)の場合の収入総合計は99,600,500円となるが、そのうち実に50%以上が、座席数の23%しかないCとFで占めている。

 さらにプレミアエコノミーを加えると、39%(97席)の座席で66.13%の収益となる。

JALの機体

JALの機体

 一般的に航空便は搭乗率60~70%で採算ラインと言われるが、収益の面から言えば、例えばエコノミークラスがガラガラでも、プレミアエコノミーやCクラス以上が埋まっていれば採算が取れてしまうことになってしまうものと推測される。

 つまり、極端な話を言えばエコノミークラスのお客がいなくてもアッパークラスさえ埋まれば航空会社として採算上は問題ない状況だといえるのである。

 もちろん、エコノミー席は人を乗せれば乗せるほど利益が増えるので、空っぽで良いということにはならないのだろうが、エコノミーに力を入れるよりアッパークラスへの集客に力を入れることが航空会社にとって遥かに大事ということになる。

 もし航空会社がこういった格差運賃を止めて全員均等運賃にしたすると、上記の数字を例にとると、単純な頭割りでは一人の往復運賃は408,000円となりエコノミーの2倍にもなってしまう。

 このように高価な座席になってしまうと恐らく座席は7割も埋まらず、航空会社は利益を上げることが出来なくなるだろうと推測され、この路線の運航は出来なくなるだろうと予想される。

 それ故に、各航空会社では座席の快適性を含めたサービス内容で格差を設け、敢えて運賃に格差を発生させ、採算はアッパークラス、利益はロークラス(エコノミー)というお客の区分を行っているのだろうと推測される。

 このようなことからエコノミー席にはシェア争いのために席埋めだけを主眼にしたような極端な格安航空券も出まわることになるわけで、私のような格安エコノミー専門の人間は、実はこういったFクラスやCクラス利用者が採算を保持させてくれている方のお蔭で、格安で飛行機に乗れているとも言えるのである。

 しかもこうやって裾野を広げることによって、その航空会社の宣伝にも繋がっているということも出来る。

浦東空港の日本航空機

浦東空港の日本航空機

 ではロンドンのような遠距離ではなく、上海のような近距離ではどうだろうか?

 同じくJALで東京(成田)―上海浦東の近距離運賃を調べたところ
・Yエコノミーで29000円、207席 6,003,000円
・Cクラス95000円 30席  2,850,000円
で、総計237席、満席の場合の運賃合計8,853,000円という数字が出た。

 この場合アッパークラスのCクラスだけでは収入は全体の32.19%にしか過ぎない。
 ただ、ネット上で見つけた下記サイトによれば東京―福岡の運航コストが114万円と推測されていることから導き出せば、東京―上海間の運航コストも恐らく片道130~140万円となるのでは推測される。

<参考:飛行機の運航コスト>(外部サイト)

 まあ機材も距離も会社も運営形態も違うので140万という数字がどのくらい正しいかはわからないが、仮にこの数字を基準にして上記の上海便のコストを見ると、往復280万程なのでやはりCクラスが全部埋まれば辛うじて採算は取れる値になると見込まれる。

 もちろん、エコノミー席がどんどん埋まれば利益になり、上記の比率だと彼にCクラスが空でもエコノミーが50%埋まれば採算が取れるような数字バランスのようである。
 このように短距離の場合はエコノミーの比率が高いながらも、やはりアッパークラスで採算を見ているようである。

 ところで、各航空会社ではマイレージの上級会員に対してアップグレードサービスを行っているのを見かけるが、あれはどういう意図なのだろうかと考えてみた

 私の勝手な推測だが、恐らく会員に対してアッパークラスを体験してもらい、次回以降の利用に繋げたり、心地よさを口コミで伝えてもらう広告役のような狙いがあるのだと思われる。
 さらに利用者が満足している表情を、通路を通る他のエコノミー客に見てもらい、ステイタスへの憧れを持ってもらうという狙いもあるかもしれない。

 そして何よりも、1人がアップグレードで移動することにより、その分だけエコノミー席が空き、直前搭乗の新しい旅客を載せることが出来て、収入を上乗せすることができるというメリットもある。

 いずれにしても、航空会社というのは、乗客のステイタスや虚栄心をうまくくすぐりながら営業しているビジネスモデルといえる。

 ただ、あまり格差を煽りすぎると逆効果で、機内のトラブルになる原因となると先日のネット記事で報道されていた。

機内で暴れる乗客、ファーストクラスの存在が原因?

 どうも人間というのは、自分が得られない豪華さを享受している人の姿を見ると、自分が払っている航空運賃の安さの仕組みを知らずに、不平等だと腹を立てるようである。
 もし産経新聞が、今回の舛添騒動の冒頭に知事のファーストクラス利用の記事を意図的に持ってきたとするならば、僻みやすい都民や日本国民を焚き付けるのに最も効果的なネタだったということになるが、果たして真相はいかに?。

F1レースの終焉のはじまり

 ブリジストンのF1へのタイヤ供給に引き続き、トヨタも今季限りでF1から撤退することが決まった。
 昨年の金融危機以降の経済状況の悪化による経費削減が主な理由とされているが、社会状況を考えると現実にはそういった単純な経済状況によるものだけではないように思える。
 言うまでもなくF1レースは、内燃機関のエンジンを積んだ自動車レースの最高峰であり、ここで磨かれた技術が現実に我々が使う車に生かされてきた。
 故にF1は単純な広告費効果や入場料目当てのショービジネスではなく、技術競技の場であったため、各メーカーはこれまで計り知れないお金を湯水の如くF1につぎ込み成果を競うことが出来たのである。

 しかし近年の原油高騰や昨年の金融危機、さらに地球温暖化に対する世論の高まりから、一般消費者の嗜好がガソリンを消費しないエコカー志向に傾きはじめ、各国政府の誘導政策の効果もあって次第に内燃機関自動車が売れなくなってくるようになった。
 これらのユーザーの志向変化に合わせて、各自動車メーカーも次第にエコカー開発に力を入れ始め、将来の電気自動車に向けての開発に方向性を変え始めた。
 つまり世の中は日本のエコカーブームに見られるような、自動車そのものの開発の方向性が今や単純な内燃機関駆動の自動車から燃料の消費を抑えたエコカーや電気自動車にシフトして来ているのである。 
 よってこういった世の中の流れの中で日本の自動車メーカーが内燃機関車のレースであるF1への投資意義を失い、撤退を決めたのは当然の流れなのである。

 つまり昨年の金融危機という経済的理由は世の中の自動車に対する志向変化のきっかけであって、自動車メーカーがF1から撤退する直接のきっかけではないということになる。
 経済的な言葉で言えば非採算性事業から足を洗い採算事業に資産を振り向ける「選択と集中」を行なっただけであり会社全体が縮小ということではないのだと思う。
 F1が自動車メーカーの利益にとって価値ある選択でなくなったという時代の変化がここに見える。

 この流れは日本メーカーのみならず、いずれ各自動車メーカーに波及することが予想され、近いうちにF1レースに参加するメーカーが激減し、ファンにとっては非常に残念なことだがレースそのものが終焉を迎える可能性が非常に高い。

 もちろんショービジネスとして生き残る可能性は否定できないが自動車技術の最先端を競う場としてのF1は確実にその意義を失っていき、自動車メーカーがかけられる予算は非常に限定的になり、従来のF1とは形の異なったものになってしまうであろう。
 いずれ電気自動車によるF1といったものが新たに生まれるかもしれないが、電気自動車にはあの内燃機関車特有の重低音で響くエンジン音という魅力がないので、ファンにとって魅力あるものとして成立するかは非常に疑問だ。

 まあそれくらい今回のトヨタやブリジストンのF1撤退は、自動車業界やファンにとっては単純な日本メーカー撤退という意味だけでなく、F1レースそのものの終焉が始まったという意味で、非常に意味が重い変化ということになる。
 上海でもここ数年、F1が開催されるようになり、一つの季節風物詩として賑わってきたが、いずれそれも無くなりそうであり、そう思うとそれはそれで非常に寂しいものがある。

仕事の採算性

 最近ある部門での仕事で非常に利益の低い仕事があった。

 ほぼ一人の日本人スタッフがつきっきりで約3ヶ月対応したのだが、そのスタッフの一か月分の給料に足らない程度の利益しか上がっていなかったのである。
 その担当スタッフに、目論見と大幅に狂ったのか?という質問したら、最初から利益目標など存在していないという答えが返ってきたから驚いた。

 つまり平たく言うとそのスタッフは、いくら儲かるか分からないまま仕事をしていたのである。

 これには飽きれた。

 どんな小さな仕事でも常に採算性というものが付きまとい、採算が取れるように計画を立ててはじめるのが仕事である。
 どんなに甘甘の見通しの採算計画であろうとも、一応うまくいったら儲けが出る予定でスタートさせるのが仕事である。

 もちろんこれは商品一個一個の利益の問題ではない。

 商品一個売って、一つ一つに利益が乗るのは当たり前の大前提で、書くのもばかばかしいことである。

 利益計画とはその仕事のトータルの儲けを考えるということである。
 つまり例えば月間100万円の利益を出すために、1個100円の利益の商品をどうやって1万個売るかを考え、3000個しか売れなかったら採算割れなのだから、最低限でもそこを守るにはどうしたらよいかと考えるのが仕事である。

 もし最初から3000個も売れそうになかったのならその仕事には手を出さず、もっと利益率の良いほかの仕事を探すのが経営判断であり、仕事の判断である。

 それを利益計画も何も立てないまま仕事を始めたのでは、儲からないのは当たり前である。

 結局、今回の場合そのスタッフの2か月分の給料が赤字として計算される。
もちろん実際にはそのスタッフは別の仕事もやっていたから単純な赤字として計上するわけではないが、そのスタッフの仕事がまったく利益になっていないのは明らかで、極端な話を言えばその仕事をやらないで、その時間ほかの場所でアルバイトをしていただいほうが良かったような状態である。

 利益が上がらなかったこと自体はもちろん問題だが、それよりも利益目標を立てずに仕事を始めている時点でそのスタッフの仕事はアウトなのである。

 最初から100万円儲かる計画を立てなければ、10万円だって儲からず、損をするかも知れないのがビジネスである。もちろんただ計画を立てれば良い訳ではなく、計画と現実の差をどう縮めていくかを考えつつ進めるのが当然で、常にその差異の原因を分析しつつ埋めていくという作業が必要になる。

 こんな基本的なこと、改めて書かなければならない状態であることが非常に悲しい。