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抗日戦争ドラマは過激か?

 国慶節に入る前に、しばらく通しで見ていた抗日戦争ドラマがある。

 まあ日本人の自分が何を好き好んで、こういったドラマを見ていたのかは自分でも分からないが、まあテレビをつけた時にたまたま見て、そのまま見てしまったという感じである。

 私が見ていたのは「向着勝利前進」というタイトルで、訳すならば「勝利に向かい続け前進しよう」となるだろうか?

 前半はあまり見てないので後半からである。

 まあ流石抗日ドラマというか、中国軍側の主役はジャニーズ張りのかっこいい俳優の呉奇隆さんで、ヒロインもまた甘婷婷さんという美しい女優さんが演じており、この辺りどうも政治的というよりは、アイドル的配役なのではないかという気がしている。

 対する日本側は、青木少佐(途中で中佐に昇格)というのが最大のヒール役で、青年将校のそこそこハンサムな男だが、やはり中国人が演じており、セリフは両軍とも何故か中国語であり、時々「はい」「ばか」など一言単位で日本語が混じる程度となっている。

 で、まあドラマだから仕方ないがよく言われるように戦闘時の日本兵は非常に弱く、死に方も過激で、結構血が飛んだり手りゅう弾で簡単に吹っ飛ばされたりするし、中国側の弾が当たるとすぐに死んでしまう。
 
 対する中国側も犠牲者はそれなりに出るが、弾はほとんど当たらないし、みな武芸の達人のようで、江戸時代のチャンバラよろしく何十人もやっつけてしまうほど強く、どうも不平等な戦闘能力で描かれているといった印象である。

 これを見ていると、仮面ライダーのショッカー達の気分が良く分かるような気がする。(笑)

 中国側のキャスト級も、台詞がまともにある役は回を追うごとに少しずつ色んな形で犠牲になっていくが、ややドラマチックに描かれ過ぎており、中国側のエキストラ兵が殺される時の対応とに随分差があるような気がする。

 日本兵にも中国兵にも、亡くなった無名の兵の向こうにも家族も友人もいるはずなのに、そこはドラマなので考慮されないようなのである。

 こういった抗日ドラマなどは、日本からよく過激すぎるなどと批判の対象となったりするが、まあパワーバランスはともかくとして、過激すぎるかどうかはいささか疑問はある。

 演出が入って偏っているとは言え、そこに映し出されている内容は戦争の現実であり、日本人が戦争の現実から遠ざかり過ぎている現状が、こういったドラマを過激だと思わせているのではないかという気もする。

 もちろん映像作品に過激な現実を映し出すことばかりがいい事では無いが、戦時中の街の雰囲気など、戦争が起きている時分の、戦地以外の街の様子や人々が意外と穏やかであったとか、偏っていることさえ目をつぶれば抗日ドラマは意外と勉強になる面はある。

 日本ではこういった日中戦争時代を描いたドラマや映画はほとんどないし、あるのは単に個人の生きざまにスポットを当てたようなフィクションドラマだけのような気がする。

 もし日本で日中戦争ドラマを作ったとしてもその表現の一挙手一投足まで中国側から難癖をつけられて、非難ゴーゴーになるのは目に見えてるから、誰も作りたがらないのだろうから余り作られないのだろうという気がする。

 そんな環境に育ってきた日本人の自分にとっては、この抗日ドラマは、あまり気分のいいものでは無いものの戦時中の現実を見る貴重な資料となったような気がする。 


深夜も放送する中国のアニメチャンネル

中国のテレビ放送は基本的にスポーツならスポーツ専門と言ったようにチャンネルが専門化しており、総合的に何でもかんでも流すチャンネルは少ない。

 その中にはアニメ専用のチャンネルも幾つか存在し、実はほぼ24時間に近いような形で深夜も放送している。

中国のアニメ放送

中国のアニメ放送

 これらのチャンネルでは「ドラえもん」や「ちびまるこちゃん」「コナン」と言った日本製アニメも多く放送され、さらにアニメ以外にも特撮の戦隊もののような番組も混じって放送されており、私の感覚で言えば子供向けチャンネルのような印象を受けるが深夜の2時~3時という時間帯にも放送が続いている。

 実はこのアニメチャンネル以外にも日本のNHK教育(Eテレ)のような子供向け番組を専門に扱ったチャンネルもあり、アニメも流されているがこちらは深夜1時に放送が終わり朝まで休止時間帯となっているため、子供向け専門という意味ではこちらの方がやや常識に適っている印象だがそれでも深夜1時である。

 これらの意味するところを考えれば、もちろん「中国では子供を夜中までテレビを見させる」ではなく、「アニメの主要視聴者層に大人も含まれている」という事になる。

 まあ世の中にどんな親がいるか分からないので断定はできないが、深夜までアニメを子供に見させている親は割合いからすれば少ないはずであり、少なくとも表向きは風紀規律に厳しいこの中国という国において、子供向けとして深夜にアニメ放送を流すということは批判を浴びる可能性があり、そういった放送はしないと思われる。

 つまり、その深夜のアニメ放送の視聴者は大人である前提で放送が行われていることになる。

 これはアニメ=子供向けといった偏見が何となく頭から消えきれない自分からするとやや驚きの状態となっている。

 ただ自分自身をふり振り返って見ればジブリアニメやドラゴンボールなどは大人になってから見ていたわけであり、子供向けと決めつけてしまうのは自分自身に矛盾が生じるし、今の時代の風潮から言えば偏見ということになってしまうかもしれない。

 このあたり、中国人全体のアニメに対する見方が一般的にどうなのか中国人に直接訪ねたことがないのでわからないが、日本に一時帰国の際に知り合いの30過ぎの上海人男性によくコミックの購入を頼まれたりするので、少なくとも中国人の大人にも日本のアニメの世界にはまっている人がそれなりの数いるようである。 

 中国人文化の中のアニメの位置などは正直言って私にはよく分からないが、アニメ専門チャンネルが作られ、深夜まで放送が行われるくらい視聴者がいるということだけは事実のようである。

まだ未成熟な中国の音の業界

 中国のテレビ番組を見ていると、映像に関してはデジタル技術の発達でそのセンスはともかくとして、日本とそうそう変わらない編集技術があるのかなと思わせるのかなという映像を多く見かけるようになった。

 しかしながら、目に見えない「音」の現場に関しては、まだまだ未成熟な面が多いのかなという気がしないでもない。

 例えばドラマなどを見ていると、セリフの音量レベルが極端に低い時がある。
 現場での録音時の問題か編集時のレベル統一の問題か分からないが、とにかくレベルが揃っておらず、レベルが低すぎる時があり聞き取りづらいのである。

 まあ鑑賞上ではたいていは字幕があるので、ドラマの流れの筋までは落とさないで済むのだが、音声レベルが低いとやはりそこに気がいってしまいドラマに引き込まれづらくなる。

 そうかと思えば、やたアフレコ(アフターレコーディング)に頼りまくり、現地収録をほとんど行っていないようなパターンも見受けられる。

 確かに屋外ロケの場合は雑音を拾いやすいので日本のドラマでも結構アフレコを使っているが、日本の場合はアフレコは緊急措置だと考えられているようで、役者のスケジュール調整などの問題もあって、極力現地録音で収録している場合が多いようである。

 万が一アフレコになった場合でも何度もリテイクしてで極力シンクロさせるようにしたり、アフレコ部分の口の動きをなるべく映像に写さないような工夫がされ、実際の映像の口の動きと音声がずれることは少なくなっている。

 しかし、中国では現場での録音不良をカバーするためなのかアフレコがちょくちょく見受けられ、しかも編集が適当なため口の動きと音のズレもよく見られる。

 おそらく出演する人のほとんどは専業の役者が多く、アフレコのための時間拘束をそれほど気にしないで済むので、安易なアフレコ補修に頼る場合が多いのではないかという気もする。

 さらに、そのアフレコ録音に編集に関してどう考えても音場の定位(音源の位置)や音場感がおかしい場合もあり、セリフの音声だけが妙に響き方がちょっと不自然な音響空間に存在しているよう印象を受ける場合もたまにある。

 まあ音場云々に関しては再生環境の問題もあるので、テレビドラマレベルでどこまで要求するべきかの判断は難しいが、録音レベル調整に関しては業界での基準統一などがきちんとなされていれば聞き取りづらいなどということは生まれないという気がしているのに、現実にはそうなっていないという状況があるのである。

 こういったレベル調整やアフレコ処理などを見るだけでも、メディアの音処理に関してはまだまだ未熟な面があるのかもしれないと思える中国の「音」の業界の今の状況である。