Tag Archives: 世界一

まやかしの多い中国の「世界一」

中国のニュースを見ていると、どうも「世界一」の言葉が連発されているという印象が強い。
上海の地下鉄延長距離や高速鉄道のスピードなど、何かというと「世界一」をつけたがる。
 
でもこの地下鉄の話を筆頭にして、世界一の基準がどうも書き手の都合の良い部分だけを抜き取った「まやかし」だらけの世界一、極端な言い方をすれば捏造された世界一という印象はぬぐえない。

DSC00395

 以前もブログに書いたが、上海の地下鉄は世界一でもなんでもなく、都合の良い部分だけを抜き取った平等な条件で並べていないまやかしの「世界一」標榜でしかなく、実際にはどう括っても地下鉄世界一ではない。そんな数字を丸呑みにして浮かれている上海人、というかそれに影響されてやはり浮かれている日本人はいかにアホなことか。

 ただ「世界一」の言葉の印象のまやかしに踊らされているだけなのである。

 まあ報道側を少し擁護すれば、これだけ刺激の多い中国の社会にいれば、多少のことでは驚かないのも事実で、「世界一」の冠をつけなければ大したニュースにならないという報道側の姿勢もわからないではないが、やはり「世界一」がそんなに安易であっては困るのも確かで、こちらとしても世界一をそんなに安売りしてほしくないという気持ちがある。

 やはり「世界一」を掲げるニュースには、世界二位を上回る経過や努力の積み重ねがあってほしいものだし、そんなまやかしの「世界一」に踊らされて損をするのは結局は踊らされている人達なのだから、まやかしの世界一は無くして欲しいものである。

忘れられない世界一の夜景

 私は旅行が好きで、私も日本国内や海外など結構あっちこっち行っているが、夜景ということに絞っていうと忘れられない思い出がある。
 それは、ある年の暮れの押し迫った12月の終わりのこと。

 上海から関空経由で、飛行機で羽田へ戻ってきたときの東京の夜景が今でも忘れられない。

 東京湾沿いに広がる住宅団地や工業団地の明かり、ところどころに見える橋や高速道路、そしてディズニーランドや高層ビル、それらの景色がゆっくり後ろに流れていく。

 どこまで続くんだというくらい広大に遠く広がる大都会の街灯りの絨毯が、大海原の景色のようにどこまでも広がっていた。まるで映画を見ているような気分であった。

 あの時ほど東京がこんなに美しい夜景を持つ街だと感じたことはなかった。

 それまで香港や函館、そして上海やロンドン、パリ、それぞれの大都市の夜景をみてきた私であったが、このときの東京の夜景にまさる夜景は見たことがなかった。

 もちろんそれまでもずっと首都圏に住んでいたので東京の夜景をそのとき初めてみたわけではない。

 東京タワーや六本木ヒルズ、サンシャイン60からの夜景もそれぞれ見ていたし、それまで何度も羽田に飛行機で降り立っていたので、飛行機から見た夜景がそのとき初めてというわけでもなかった。
 
 実はこれほど印象に残る思い出になったには、いくつかの偶然が重なっていた。

 まずは気候で、暮れの押し迫っていた時期であったため空気が乾燥しており、さらに東京から人が減る次期であったので排気ガスが減っていて視界が良くなっていた。

 さらに深夜(23時頃?)であったため、普通の商店などはしまっており、余分な灯りがあまりなく適度に暗くなっており遠くまで見通せたという事情がある。

 もちろんちょうど窓際であったというのも幸いしていた。(当たり前か)

 そして、実は私を酔わせた決定的な出来事がこのとき偶然起きたのである。

 それは音楽である。

 機内のサービスで流れていた音楽を聴きながら飛行機に乗っていた私は当然のことながらチャンネルをクラシック音楽に合わせていた。
 そこで街の灯りを目にし始めたときに偶然同じタイミングで流れてきたのが私の大好きな「ウィーンの森の物語」であった。

 いうまでもなくヨハンシュトラウス作曲のウィンナワルツの名曲である。

 この曲のゆったりと流れる旋律に心をゆだねながら、これまたゆったりと流れる世界一の大都市の夜景を眺める瞬間は、まさに贅沢の極みであった。

 思わず大西洋無着陸横断を成功させたリンドバーグの「翼よ、あれがパリの灯だ」という言葉を思い出して、「翼よあれが東京の灯だ」と心の中でつぶやいた。

 そのくらい印象深い思い出が、このときの東京の夜景だった。

 そして来月ひさしぶりに日本に一時帰国する予定を立て始めて、何とかあのときの思い出を再現するべく、羽田に夜着く方法で帰れないものかと模索を始めた。
 なかなか条件がそろわず難しそうだが、叶うことならタイミングをあわせたい。
 もちろん人にもお勧めしたい東京の夜景である。

上海の地下鉄世界一は過大評価

先日上海市の地下鉄が年内にも営業キロで東京を抜き、来年にもロンドンを抜き世界一になるということがニュースに出ていたが、これはある部分では確かに事実かもしれないが交通事情の評価としてはちょっと誤解を招く表現といわざるを得ない気がしている。

 少々鉄道オタク的な説明になってしまうが、まず地下鉄の定義に問題がある。

 上海の地下鉄として計算されるものは上海市が運営している軌道交通の全ての営業キロ数を合算しているが、厳密に言えば3号線はほとんど地下を走らないので地下鉄ではないし、外高橋を走る6号線や松江方面の9号線も半分は地下を走っていない

地上を走る9号線

地上を走る9号線

 従ってまずこれらを地下鉄と呼ぶかという問題がある。

 これに対して東京の地下鉄の定義は東京メトロと都営地下鉄の合算を地下鉄としている。東西線の東陽町以東は地上を走っているがそれ以外は末端駅で地上に出る程度でほとんど地下を走っている。
 こういう状況を無視して「地下鉄の営業距離」という比較をするのはいささか難がある。

 さらに上海の地下鉄の営業距離がロンドンや東京を抜くことが、世界一軌道交通網の発達した都市になるといった表現の印象にも非常に抵抗を感じる、というか完全に誤解を招く表現である。

 上記に示したとおり上海の地下鉄は地上鉄道を含めた営業キロ数になっているのだが、実は都市内鉄道に関しては上海はそれがほぼ全てである。

 ところが、東京に関して言えば地下鉄以外に非常に多くの地上軌道交通が存在している。

 まず山手線に代表されるJR各線、さらに各私鉄路線が八方へ延びている。

 これらを含めると営業キロベースで都内だけで800キロを超えるらしく、首都圏全体を東京圏と見なすと営業距離は1500キロ以上にも達するという。

 しかもその幹線の多くは一部が複々線化されておりその分を計算すると東京の鉄道網はさらに膨大なものとなる。
 この計算で言えば大阪でさえ上海をはるかに凌ぐ。

 これらを考慮せず、単純に「地下鉄の営業距離」の比較によって上海の交通事情の進捗ぶりが、東京やロンドンを抜いて世界一となったような評価することにはまさしく過大評価であろう。

さらに「地下路線」という定義だけを見ても東京メトロと都営地下鉄だけでなく小田急や東急・京王、つくばエクスプレス、JR総武横須賀線などの一部地下化が行われている区間を含めば、詳しくは計算していないが恐らくやはり上海の地下鉄に抜かれるレベルでは無いように思える。

 上海の地下鉄が成長していることは確かに事実だが、世界一の都市はやはり10年や20年のレベルでは出来上がらないのである。

原文