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被災地でも嫌われる中国製

先日、某東北の県人の方から東日本大震災の被災地の状況を聞いて驚いたことがある。

 それは震災直後に中国から送られた飲料水などの救援物資が、避難所の片隅に山積みになっていて誰も手をつけないという事実があるということだ。

 聞けば、その送られた飲料水は私もいつも飲んでいる某ミネラルウォーターで、中国のこちらでは比較的おいしい部類に入るあの水である。

 この件について、こちらに住んで日々その水を飲んでいる身としては非常に勿体無いので飲めばいいじゃないかと思うのだが、日本人にとっては餃子事件以来の中国製食品への不信感は非常に根深いようで、あの地震直後の避難所という環境でさえも中国製食品に対する警戒感は緩まず、手をつけたくなかったということらしい。

写真は中国の紹興酒

写真は中国の紹興酒

 もちろん被災地側としては、中国からの善意と善意としてはありがたく受け取り無下にはできないが、飲むか飲まないかは避難者の個人的判断に委ねられるため強制的に飲ませることもできず、結果山積みのまま残ってしまったということのようだ。

 まあ震災後からの風評被害で、被災地関連の農林水産業や観光業が経済的打撃を受けているとの報道が日々あり、放射能の食品への影響の懸念から中国への輸出ができない事態も発生しているような現在であるが、実はこの中国製飲料水の件も隠れた風評被害に他ならず、大きな安全不安の中に飲み込まれてしまった個別の事象を信用しきれない構図は同じである。

 まあどちらとも安全なものであるという確証の下で送ったり売ったりしているのだとは思うが一度不安に包まれた気持ちはそう簡単には拭えない。
 しかもこういう状況だからといって、風評被害はお互い様だと無理やり納得させるわけにもいかず、信用し合え!と強制できるものでもない。

 とにかく一度失った信用を回復するというのは容易ではない。

国産にこだわったため人気が落ちたキリン生茶

今日は紹興のお茶工場に見学に行った。

そこで茶に関する各種いろんな専門話を聞いたのだが、その中で一番興味深かったのが日本のキリン生茶の話。

 この商品の発売当初は中国産の茶葉も使っていたが、数年前から中国産食品に対するイメージが極度に落ちたため、茶飲料に使われる茶葉も例外ではおれず、国産茶葉100%に切り替えたのだが、そのために従来の味が保てず人気がなくなったとのこと。

 そういえば日本のこのキリン生茶、私も発売当初は非常においしく感じ好んで飲んでいたが、最近、、、といってもしばらく前ではあるが、生茶を飲んでもそれほど香ばしさを感じず、渋みだけが目立ち、以前ほどおいしくないなと感じた印象のときがあった。

 これは単に自分の思考の変化や慣れの問題だと当時は感じていたが、今になって現実に途中に茶葉の切り替えがあったのだと聞くと納得するものがある。

中国茶葉の袋

中国茶葉の袋

 まあ当時の日本人の中国食品に対する嫌悪感や警戒感はすさまじいものがあり、(もちろん今も決して安心できる状況とはいえないが)その影響で本来なんの品質の落ち度は無かったであろうこの中国茶葉にまで風評被害が及び、国産茶葉100%にこだわらざるを得なかったことはある意味しかたないことだとは思う。

 しかし、これによって味を保ち切れなくなったメーカー側の開発者の心境を察すると、結構気の毒なものがある。

 これは形としては風評被害を事前に回避したケースであるが、その後実際に売り上げが落ちたとなるとこれも結果として風評被害の一種と言えるのではないだろうか。

 まあ震災後、福島原発の影響で風評被害のニュースは絶えないが、今回のキリン生茶のケースのように、直接表面に出ない形での風評被害も実は世の中にたくさんあるのではないか、そう感じた今回のキリン生茶の話であった。