国慶節のニュースの中で、「上海駅の旅行客が大幅に増え、ピークを迎えこの日1日で30万もの利用客があった。」と目にした。
「30万人」
確かに少なくない数字ではある。日本だと少し大きめの都市の人口に匹敵する。
はて、でもこの数字は駅の利用客数として本当に多いものなのか?
気になって日本のデータを調べてみた。
すると見つけて驚いたデータが新宿駅の1日350万人。
どうやらギネスブックに載る数字らしいが、この数字は上海駅のニュースのように一時的なピークではなく毎日の数字だというから更に驚きだ。
上海万博の目標の7000万人なんぞ20日で達成してしまう。
しかもこの上海駅の30万人という数字を基準にすればそれ以上の利用客のある駅が日本にごろごろしていて少なくとも50はあるようだ。
私の地元の柏駅でさえ39万で上海駅を上回る。
まあ数え方に差異はあるだろうから、あまり一律に比較はできないが、この50の駅はともかく新宿駅に関してはどう数え方に違いがあっても上海駅が上回ることはあるまい。
確かによくよく考えてみれば新宿駅なんぞ、いつでも人だらけで上海駅の比ではない気がする。
しかしあれだけの人数がいながら、何か事故でもない限り人の流は滞留することなく流れている。考えてみると350万人の人が毎日流れる駅というのは恐ろしいことである。
最近、上海の地下鉄全部でようやく700万人を超えたとニュースになっているのに、新宿駅は一駅でその半分を裁いていることになる。
もちろん上海駅もピーク時には駅前広場が人で埋め尽くされるが結局は30万そこそこなのである。しかも上海駅前にいる人々は動いているというより滞留している人の数が多い。
実はこれは長距離鉄道の輸送体系が、日本のようにハブアンドスポークではなく、ポイントトゥポイントのため、自分の列車の時間が来るまで駅で滞留するほかないという理由が大きいように思う。
もしこれが上海駅を混雑させている理由だとしたら、鉄道を取り巻く環境が人の流れに対して効率が良いわけではないということになる。
しかも上海駅の10倍の利用客があるとされる新宿駅は敷地面積で言えば、10倍の面積があるはずが無く、せいぜい数倍であろう。
でも延べ床面積で数えればどうなるかわからない。そのくらい縦に何層も重なって凝縮されて組み合わされて350万人の乗降客を裁いているのが新宿駅である。
結局上海駅は30万程度の利用客で音を上げて、上海南駅だの虹橋駅だの外部に独立駅を作って人の流れを分散させてきた。
しかもそれぞれ驚くほど巨大駅をつくっている。しかしながらどちらも機能性の面から言って新宿駅に追いついているとは言えまい。
新宿駅が裁いている350万人がもし上海南駅や虹橋駅に流入したらどうなるか?結果は火を見るより明らかである。
あのようなただただ巨大な駅を作っているようでは、上海は結局は100年経っても新宿駅には追いつけまい。
それにしても今にして思う日本の交通網の超効率的な環境。あれだって日本にいた時は不満タラタラだったはずだがこちらに比べれば雲泥の差であることに気づく。
実は上海なんてまだまだ交通網を自慢するには早過ぎるのである。