上野駅は技術者たちの職人芸の極み

日本の上野東京ラインが開通してから一か月以上経つが、今のところ大きな混乱もなく運営が続いているようで、ニュースとして伝わるようなこともなくなってきた。
まあ、この路線が開通してから一度も帰国していない私がこういった文章を書くのも変なもんだが、以前から上野駅というのは非常に凄い構造の駅であると感じていたが、今回の上野東京ラインの開通で、その凄さに拍車がかかったなという印象になっている。

上野駅の何が凄いのかというと、巧妙に組み上げられたそのレールの構内配線であり、世界でも稀に見るほど複雑な列車運営を行っている駅だと思うのである。

上野駅というのは元々浅草側の行き止まり型の地上の駅に、山側に線路を増やして、南の東京駅方面へ抜けるホームを追加した構造の駅となっている。
こういった発展の歴史をとっているために、ホームの数も非常に多くなり、現時点でJRの在来線だけで18番線まである。
(新幹線や地下鉄を入れるともっと多い)

まあホームの数だけなら上海にもっと大きい上海虹橋駅があるので凄いことにはならないかも知れないが、上野駅の凄さを示すのはその線路配線の複雑さである。
山手線と京浜東北線の1~4番線を除いた14本のホームへのレールが巧妙に組み合わせられており、具体的には常磐線の上りからは5・6番線を除く全てのホーム、東北線からは10~12番線を除く全てのホームと連絡が可能な構造になっている。

1993年当時の路線図だがほとんど変わっていない。 引用元:http://senrohaisenzu.cocolog-nifty.com/blog/2010/10/post-8fd3.html

1993年当時の路線図だがほとんど変わっていない。
引用元:http://senrohaisenzu.cocolog-nifty.com/blog/2010/10/post-8fd3.html

これらにより上下線が同時に運行されても障害の無いように線路が組まれ、それに合わせた運行ダイヤが組まれている。

 もちろん、この複雑な配線を包含する信号システムもレール配線に合わせて組み込まれているわけで、その内容は我々素人には単純には想像がつかないほど複雑な構造となっていると察せられる。

私が知る限り、こんな複雑な構造を持った駅は恐らく世界中どこを探してもないというような気がしている。

上記で取り上げた上海虹橋駅も2組の複線が乗入れホームの数も多いが、その配線は傘型に広がるだけの単純な構造であり、ダイヤも日本ほど密ではないので平面交差があってもちょっと待機すればよく問題にはなっていない。

 しかし上野駅は朝のラッシュ時などには数分単位の非常に密な列車ダイヤが、この複雑な配線の上に組まれているのである。

 しかも今までは全ての列車が上野止まりだったので、東北線と常磐線を独立運行させておけば済んだのだが、今回の上野東京ラインの開通で上野から南に向かう列車を組み合わせて捌かなければならない状況が新たに生まれてしまったため、状況がより複雑になっている。

 現在の上野駅のホームの運用を見ると、行先方向別に5・6番線が北行き、7・9番線が南行きと振り分けられ、それぞれが数字の小さいほうが東北線、大きい方が常磐線に振られている。
 しかし8番線は北行きの常磐線特急が振られ、何故か南行きの線路の間に挟まるような恰好で運用されるため、必然的に駅の前後で平面交差が発生するのでうまく捌く必要がある。

さらに上野東京ラインは東北線だけを見れば複線の上下独立が保たれているが、常磐線を組み合わせた場合は上記のホーム運用だと渡りポイントの都合で上野駅の南側で常磐線同士の上下線の行き違いが出来ない構造になっている。

つまりダイヤで常磐線の上下線の列車同士がかち合わないようにダイヤを組み合わせる必要が生じているのである。

恐らく運用上はダイヤをパターン化して、かち合うのをうまく避けているのだと思うが、それにしてもこれを捌くには職人芸的対応が必要とされ、こんな厄介な配線の組み合わせを考慮しながら細かいダイヤを組める日本の鉄道技術者たちには感服する。

中国では高速鉄道がどんどん伸び、地下鉄が建設されている都市も増えているが、いずれも単純な複線構造の延長でしかなく、とてもじゃないが日本のような複雑な構造をもつものは存在しない。
 私は車両の技術の上で日本と中国でどのくらいの差があるのかないかなどという点については全くわからないし興味もないのだが、こういった運用能力においては、圧倒的にノウハウの差が日中にあるなという気がする。

上野東京ラインの開通というは、今回単に鉄道が繋がったというだけでなく、日本の技術者の職人芸の極みがそこにさらに積み上がった出来事として私の目には映るのである。



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