先日ある件でネット検索を行なっていたら驚くべき記事を目にした。
その記事とは中国で生産されたパソコンに出荷時にすでにマルウェアがインストールされていた機械があったというのだ。
マルウェアとは「悪意のある不正ソフトウェア」といったような意味で、これらがパソコン内に寄生することによって、外部からの遠隔操作などが可能になり、例えば成りすましのダミーとしてそのパソコンを利用し、他のパソコンやサーバーに攻撃仕掛けることが可能になる。
昨年もこのマルウェアによって、「遠隔操作ウィルス事件」が発生し、ウィルスに感染したパソコンから犯行予告が書き込まれたなどの事実が発覚し大きな社会問題になった。
通常これらのマルウェアはユーザーのインターネット閲覧行為やメール配信などによって拡散されていたと考えられていたが、今回の発覚は工場からの出荷時にインストールされていたというもので、通常出荷後にインストールされるセキュリティソフトでは発見できないという非常に深刻なものとなっている。
そしてこの事件のさらに深刻なところは、このマルウェアがネット上の感染ではなく、工場の生産ライン上で意図的にマルウェアを仕込んでいたという状況が否定しきれないところにある。
つまりサプライヤー自らマルウェアを潜まさせていた可能性があり、マルウェアを「悪意のある不正ソフトウェア」と呼ぶならば、サプライヤーのこの行為はまさに「悪意のある行為」に他ならない。
またこれが単なるある個人によってもたらされてものなのか、組織的に行われたかによってもその意味が大きく違ってくるので、どうにも見過ごすわけにはいかない非常に大きな問題となっている。
これらの事件は昨年9月に発覚し、当時の日本や世界のPC関係業界では大きなニュースになっていた様だが、当の中国に住む我々日本人にとっては、この記事が掲載された時期はかの反日デモの真っ最中で、とてもPCのマルウェアなどに気を配れるような状態ではなかった。
故に、きっと多くの中国在住の日本人がこのニュースを見落としていたと思う。
しかし、こうやって改めてこの事件を知ると、これが事実であるならば非常に深刻な問題となって我々の生活やビジネスに襲い掛かってくることになる。
つまりパソコンの購入に日本製は高いなどと言って、うかつに中国製のパソコンを買って使用すると知らぬ間にネット犯罪の片棒を担がされたりする可能性があり、あるいは無意識のうちに国際問題の担い手になってしまうかもしれないことになるからである。
今回このニュースを知って改めてこの国の恐ろしさを知ることになり、とてもじゃないが今後中国製のPCやアプリケーションソフトは絶対買えないなと感じた。
当然だが同僚の中国人達は中国製の無料のセキュリティソフトや国内専用のブラウザなどを当たり前のように利用しているが、外国人の私は今回それらを信用して使用しようとは思えなくなったのである。
個人の情報が監視される程度ならまだしも、犯罪の片棒を担がされたのではたまらないからである。
とはいえ現状ではタブレットPCやスマートフォンなど、ブランドは日本や欧米のものであっても生産地が中国製であることを避けるのは非常に難しい状況になっている。
今回の事件がどこまで究明されるか分からないが、やはりものを買うときは生産地まで確認して、日本製で揃えられるものは可能な限り日本製で揃えたほうが安心なのは確かの様である。