もっと大人の外交をしなくちゃ

 N政府というの伝統的には外交が下手だと言われているが、昨年末に政権交代があったにも関わらず、今回のレーザー照射事件において残念ながらその伝統は変わっていない状態を露呈した気がする。

 今回レーザー照射事件において、N側がレーザー照射を受けたと発表した内容に対してC政府はなんと「事実と一致しない」と発表した。

 N側が敢えて事実捏造を行なう理由は全くないのに、ねつ造だとしたのである。

 今回の事件は明らかにC政府が預かり知らぬところで起きた現場レベルの悪戯が原因で起きた事件だが、それは同時にC側の海軍に対する統制の無さや海軍の世界的常識の教育不足を露呈する物であり、面子を気にするC政府にとっては絶対あってはならない事実なのである。

 故に「事実に合致しない」との苦し紛れの発表となったと思われる。

 しかしこれは明らかにC国側の苦しい対応だというのは誰が見ても明らかだった。

 これに対してN側は黙っていればいいものを、なんとA首相は昨日自ら謝罪要求を発言してしまったのである。
 このニュースを見て、私はまたN側が外交下手ぶりを露呈してしまったなと感じた。

 実はこのC政府側の苦しい言い訳は、N側にとっては大きな外交チャンスであったはずである。

 C政府側にとっては、領土の主張はあっても両国関係の改善を目指したいこの時期にこんな事件の発覚は想定外であり、処置に困った結果のかの発表であることは、N政府だって理解していたはずである。

 それ故に今回C側も国のトップではなく外交部の副報道局長を使っての発表だったのだろう。

 よって国家主席などC政府首脳はこの事実は知っていても、恐らく当面は一切この件を口にしないと思われる。

 もしC側のこの姿勢を理解していたらな、N政府にとってはC国に「借り」をつくる大きなチャンスだったはずである。

 N政府は表向きこそC政府の発表に対する反論の姿勢を見せないわけにはいかないが、相手の苦しい立場を察して外交的「借り」を作るためには、こういった対立的なコメントは外務省の事務次官など政府の役人レベルに留めるべきで、首相や政府首脳のレベルの人間は沈黙を保つ姿勢をとって、国会の答弁があっても「再度調査を指示した」とか何とか言って、お茶を濁すべきあったと思っている。

 こういった表向きで相手の発言に直接的に反論しないというスタンスをとれば、外交メッセージ的には相手の立場を理解したという姿勢となり、「借り」をつくれたはずなのである。

 つまり、テーブルの下で「この事件についてのN国内の世論は今後収束に向かわせるから、そちらもあの海軍に対してもう少し大人しくさせてくれ」と言えたはずなのである。

 こうして政府のTOP同士の徹底的な「対立な立場を避ける」ことによって、時間を経れば雪解けに向かうことが可能になるのである。

 しかしなが今回国のトップのA首相自ら「謝罪要求」という愚行を行なってしまった。

 恐らくA首相にとっては自らの感情や、マスコミ世論の論調・周囲の人間に後押しされた結果の発言なのだろうあが、どう考えてもこれは稚拙であり選挙ポピュリズムの生み出した愚策外交にほかならず、折角の外交チャンスをフイにした可能性がある。

 首相というのは民主選挙というルートを経て選ばれた立場とはいえ、その立場は相手国にとっては国民世論とは別のカテゴリであり、世論と同じスタンスで外交にあたればいいというものではなく、世論と一緒になって吹き上がってはいけないのである。

 本来ならば、レーザー照射事件そのものだって外交ツールとして使おうと思えば使えたはずで、これを材料にテーブルの下でC政府と交渉が可能であったと思っている。

 M主党政権時代に端を発するこの両国政府の悪化だが、どうも政府機関にこれらをコントロールできる有能な外交ブレーンがいないことがN国の外交下手の原因のような気がする。

 まあN国内のマスコミの報道の仕方も問題で、かなり感情的に右往左往する部分が大きく、C政府の発表を発表者の格の違いなどを意識せず、上から下まで同様に扱いを行なってN国内にバラ撒くから不必要な世論の沸騰が起きるのである。

 N国というのは妙に平等意識が発達しているせいか首相の発表も外務省の役人も同レベルの言葉として伝えてしまう傾向があるが、対外的にみれば特にC国に対してはそれは全く別の言葉であり、同じ内容の言葉であってもどのレベルの人間が発言するかによって外交的メッセージの意味が全く違うことを理解するべきである。

 「誰が発言し、誰が発言しない」ことが、相手国に対して有効なメッセージとなるかを使い分けるような、そんな大人の外交をN国には是非求めたい。

原文






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