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日本と中国のビリヤードは似て非なるもの

 先日、日本に長くいたことのある中国人の方と会話をしていた時のことである。

 たまたまビリヤード台が目に入ったので、
 「あれは桌球(zhuo1qiu2)ですね、日本語だとビリヤード、、というかこれは英語か、、」
などと話したら、どうも意味が通じていないようだった。

 あれ、中国語の発音が違っていたかなと思ってもう一度言ってみたが、やはり通じない。
 よくよく話してみると、通じていないのは中国語ではなく「ビリヤード」のほうだった。

 「ビリヤードって何?私知らないです。」
 「ええ?!」

 上海にはビリヤード場が沢山あり、よほど浮世離れした人間ではない限り知らぬはずはないのに、知らないという言葉が返ってきたので驚いた。
 ええと、あれの事ですよと再びビリヤード台を指さすと、

 「ああ、あれはスノックですね」

 との答えが返ってきた。

 「スノック?スノックって何?」

 今度はこちらがきょとんとしてしまった。
 私はあれはビリヤードでしょうと言ったが、相手はスノックだと言って聞かない。
 結局その時は二人の意見が平行線のまま、その話題は終わりになった。
 
 そして後日、例の如くこちらの有線放送のスポーツチャンネルでビリヤード中継が行われているのを見つけたのだが、よく見ると番組タイトルが「斯諾克世錦賽」となっていたのである。

 これは斯諾克の世界選手権と言う意味で、斯諾克(si1nuo4k4)は確かにスノックと発音できる。

 「ああ、あの人が言っていたのは、これか」

 早速、インターネットでウィキペディアなどを調べてみると、斯諾克は英語ではSnooker(スヌーカー)という競技を指す言葉であることがわかった。

 さらに詳しく調べてみると、このスヌーカーは日本で言われるビリヤードと源流は同じ競技で大きな意味ではビリヤードの範囲に含まれるものの、現在ではその台の大きさが日本のビリヤードの倍くらいあり、球の使い方なども全く異なるため、別競技として扱われているとのこと。

 ちなみに、これらの成立順序を言えばスヌーカーが先で、そこから派生したのが日本やアメリカで行われているキャロムやポケットだとのこと。

 スヌーカーは旧英連邦諸国や香港、タイ、中国などで人気となっているが、日本では台の大きさなどが災いして全く普及しておらず、大都市などに一部に僅かに置かれているだけの状態で知名度が非常に低い競技のままなのだという。

 これに対して日本で流行しているビリヤードは、分類的にはポケットビリヤードと呼ばれ、キューと呼ばれる棒を使ったり台の隅のポケットに球を落とす点では似ているものの、台の大きさや使用される球、ルールなどがスヌーカーとは全く異なっているとのこと。

 またアメリカではポケット穴の無い台を使うキャロム・ビリヤードが主流で、アメリカでビリヤードと言えばこのキャロム・ビリヤードを指すらしいが、日本では主流ではなくポケットビリヤードのほうがイメージが強い。

 しかし、ここ中国では「台・キュー・球」を使ういわゆるキュー競技の主流はスヌーカーで、日本的なポケットビリヤードも無いわけではないが、専ら人気はスヌーカーと言うことのようで、我々が知っているビリヤードとは別の競技となっている。

 まあ私は日本にいた時からビリヤードはやっていなかったので、中国に来てから6年以上も経つのにこの違いに全く気が付かなかったのだが、似たように見えながら日本と中国で「ポケットビリヤード」と「スヌーカー」という全く別の競技だったことは、中国7年目にして初めて知る驚くべき事実であった。

 まだまだ知らないことが沢山ある中国である。

ビリヤードはスポーツチャンネルで見る?

 中国のテレビチャンネルは人口が多いということもあって、日本のように色んな番組を一つのチャンネルに詰め込んだ総合チャンネルではなく、ドラマならドラマ、経済なら経済といった風にどのチャンネルも専門チャンネル化されている。

 そんな中で最近私が比較的見る回数の多いのがスポーツチャンネルで中国語を理解するのに疲れたときなどには、言葉の壁なく見られるのでサッカーの試合などを見ている。

 といっても、中国で放映される試合はイギリスのプレミアリーグと、中国のスーパーリーグくらいなもので、プレミアはともかく中国のチームに贔屓などないので、気分転換程度に時々流し見する程度である。

 最近のこのような習慣の中、スポーツチャンネルに合せたときに何故か時々ビリヤードやトランプの大会が中継されているのを見かける時がある。

 「ビリヤード?カードゲーム?」

 確かにスポーツ同様に娯楽性があり、スポーツもビリヤードもゲームと言えばゲームだが、これらをいっしょくたに放映する感覚にどうも違和感を覚える。

 中国語では体育となっているスポーツだが、スポーツと言えば息が上がるくらい体を動かすものといったイメージがあり、ビリヤードも確かに体を動かすが、どうも私のイメージするスポーツ像からは程遠い。ましてやカードゲームなどは動かすのは指だけで、スポーツとは言えないだろう。

 こんな種目が何故スポーツチャンネルで放映されているのかちょっと不思議である。

 これらの種目について他に整理するチャンネル先がないということなのかも知れないが、個人的には娯楽チャンネルあたりに押し込んでもいいような気がする。

 そしてスポーツチャンネルではもっとスポーツらしいスポーツの放送を期待したいというのが個人的な希望であり、野球とか陸上とか水泳とか埋もれているスポーツがあるだろうにと思ってしまう。

 しかし残念ながら、これらの中継種目の選択は国内の人気に左右されるものであるから、外国人である私が満足しないのは仕方ない事なのかもしれない。

 しかしやはりビリヤードの分類だけはどうも合点がいかないのである。


上海人は何故こんなにビリヤード好きなのか?

 日本にいると、あまり中国とビリヤードというものが結びつかないためか、中国人が実はビリヤード好きといわれてもあまりぴんとこないかもしれない。

 

ビリヤード(スヌーカー)場の看板

ビリヤード(スヌーカー)場の看板

 しかしながら、少なくとも上海においては街の主な繁華街には必ずといっていいほどビリヤード場がある。さらに中国の主要なホテルにも必ずといっていいほどビリヤード場がある。以前はホテル内の遊戯施設といえばカラオケだの、ディスコだのが主流だったらしいが今やそれを凌ぐ割合でビリヤード台が設置されている。 また普通のショッピングセンターの最上階の遊戯施設にもビリヤード場があるところもある。

 日本でもそれなりのビリヤードブームはあるが、中国の比ではなく、ある意味限定的である気がする。

 統計数字というものを見たことがないので、正確なところは分からないが、少なくとも感覚的には上海のビリヤード場の数はカラオケボックスを凌いでいると思われる。

 実はサッカー・バスケットボール以外でテレビのスポーツチャンネルで流される機会が多いのがこのビリヤードなのである。そのくらい上海においてビリヤードは浸透しているらしい。

 何ゆえにそんなに中国人にビリヤードが好まれているのか?確かに欧米嗜好の上海人からみればキューを握る姿はスタイリッシュであり、お洒落好きの上海人からは好まれる競技なのは理解できなくはない。また団体競技でなく個人競技というのも上海人にあっている気がする。

 そのほかの条件として、広い中国にあっても意外に屋外の公共エリアや運動場の少ない上海の中では、狭い場所でもできる娯楽が必要であり、天候不順な上海ではどこでもできる娯楽が必要など、ビリヤードが浸透するその環境条件としては整っているなと思わせる部分もなくはない。しかし、その浸透度たるやそういった環境条件論を上回る勢いのような感じがしており、とっても不思議だ。

 私自身はビリヤードをほとんどやらないので、彼らの輪の中に入っていく機会もないのだが、何が上海人を夢中にさせるのか?一度尋ねてみようと思っている。

 原文