母親の細菌が決める子供の健康とスポック博士の育児書

以前スポック博士の育児書という子育てに関するベストセラーが最近否定し始められているようなことを書いたが、つい最近それを裏付けるような事実があることを見つけた。

それはここにこちらに「女性の細菌が健康と幸せを決める鍵」というブログで紹介されている話。
ほぼそのまま引用するが、微生物学者JASON TETRO氏の研究結果として人体内には100兆もの細菌(microbiomes)が存在するとし、子供に対して

母親や育児に関わった女性のmicrobiomesが、母親の産道から〜キスや触れ合い〜母乳〜など愛情深く育てられるなかで体内に入り、これらの女性由来の微生物が免疫系も含め人間の原初の健康の元になっているということ

つまり母親とのスキンシップが、子供の健康の基礎となるというのである。
さらに、それは乳児期間に限らず、成長過程においても、

お母さんが素手で磨いで炊いた、細菌一杯のごはんを、またまたお母さんの素手で漬けて揉み込んだ、細菌一杯のお漬け物と、自家製のこれまた細菌一杯のみそ汁と一緒に食べて、みんな健康で幸せになる!

と影響を及ぼすことになるらしい。

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この話を読むと、かのスポック博士の育児書で記されている「個人の自立を促すため、泣いても抱っこせず泣かせなさい」「母乳と抱っこに頼りすぎると大人になってから自立が難しくなる」といった記述が、実は赤ん坊の健康を保つ細菌環境醸成に対しては反する行為だということがわかる。

つまり、母親とのスキンシップ不足となった子供は免疫に必要な細菌を母親から与えてもらえず、免疫不足に陥る可能性があると考えられるのである。

実際この免疫不足となる現象が、スポック博士の育児書が読まれた時期の直後の1980年頃からアトピー患者が増加しているという時期とちょうど重なる。
つまり育児書に従った母親による子供とのスキンシップ不足がアトピー患者増加の一因でないかという推測が成り立つのである。

さらにこの免疫力低下に関する犯人は「スポック博士の育児書」だけにとどまらず、レトルト商品や調理済食品の増加により、母親の手を経ないで作られた食品を食べることが増えたのも原因なのではないかと言う推測ができることになる。

つまり調理済みの既製品の食生活では、お腹は満たせても上記の健康を保つための細菌環境の母親からの譲渡という意味ではマイナスの環境となるのであって、それがアトピーあるいは花粉症などという免疫に起因する症状を生み出しているのではないかということになる。

もちろん、アトピーなどに関しては食生活の変化による化学調味料の多量摂取などが原因ということも考えられるが、時期的なタイミングで言えば、化学調味料より調理済み(母親の手を経ない)食品の浸透が原因と考える方がしっくりくる。

このことから考えると最近の極端な殺菌商品の普及もひょっとすると子供の健康に必要な母親から子供への細菌の受け渡しを妨げる可能性もあり、神経質すぎる殺菌・滅菌商品の乱用は実は子供の健康を守るどころか成育能力の低下を招いている可能性もあるのである。

母親のスキンシップが子供の健康を守るという、古くて新しい考え方であり、既製品ばやりの育児環境に一石を投じるこの研究である。

写真はイメージ

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