日本ではプロ野球のペナントレースが終了し、いよいよポストシーズンに入る時期になった。
今日の時点ではセリーグの3位がまだ決定していないが①ヤクルト②巨人となり、パは①SB②日ハム③ロッテとなっている。
巷ではこのクライマックスシリーズ(CS)に関して、シーズンゲームが3位でも日本一になる可能性があるのはおかしいと言う意見もあるが、そこはプロ野球がスポーツである前に、興行であることがCSを成立させている要因であると言うことが出来る。
つまり、優勝や日本一を決めるルールが完全に公平であることよりも、盛り上がって注目を浴び、収入を増やすことが大事とされているのがプロ野球の世界なのであり、各球団がより多くの収入を得られるチャンスを確保することがこのCSを実施している第一の目的なのである。
そのCS実施の第1のメリットとして、シーズン順位が3位までに入ればCSに進出できる可能性、つまり日本一に繋がる可能性を残すことによって、シーズン終盤までほぼ全試合が注目を浴びるカードとなることが挙げられる。
つまり各リーグの6球団のうち3球団がポストシーズンに進めるとなれば、3位争いをする4位の球団が絡む試合までが注目のカードとなり、自然と選手のモチベーションは上がり、さらには観客動員や放映権料の獲得が望める状態になるのである。
これは、かつてシーズン終盤に下位に沈んでいた球団が単なる消化試合の連続となり、観客動員や放映権が見込めなくなっていたことに比較すれば、収入の面で非常に大きなメリットとなる。
第2にCSを実施することは上位球団は収入面で大きなボーナスステージのチャンスを手にすることを意味する。
すなわち、単純に1位チームが日本シリーズに行けるだけだった過去の制度では、NPBが日本シリーズを主催していたため、NPBからの分配金が一部球団にもたらされるほかは名誉的な戦いでしかなかったのがかつてのポストシーズンだった。
しかし、現在行われているCSでは、シーズン上位チームに試合の主催権が与えられるので、試合をすることがそのまま球団にとっておいしい収入となるのである。
すなわち
1位チームは最大6試合の主催試合(セカンドステージ)の収入
2位チームは最大3試合の主催試合(ファーストステージ)の収入
が得られる構造となる。
しかもこれらの試合は当然のことながら、注目度が高いのでほぼ満員確実で入場者収入も多く放映権も見込めるので、主催試合の数だけそのまま大きな収入となるのである。
逆にファーストステージとセカンドステージの試合数が違うというのは、こういった順位ごとの賞金の格差付けの意味合いから、試合数に差を設けているのであると推測されるのである。
ただこうやってみていくと、実は3位でCSに進出するチームにとっては短期決戦で日本シリーズに勝ち上がれる権利はあっても、興行的には旨みがないことになる。
故に3位でCSに進出したチームは勝ち上がって日本シリーズに出場しなければ、分配金は得られないのであり、CS中はひたすら名誉のみの勝負に徹しなければならないことになる。
まあこういった興行的な面がある故に、1位チームが日本シリーズに出場できない可能性があったとしても現在はCSが取り入れられている理由なのだろう。
CSは日本シリーズと同じポストシーズンゲームでありながら、その興行的性質は全く異なっているのであり、実は勝負より儲けが優先した制度なのである。
シーズン1位になっても3位のチームに短期決戦で負けてしまう可能性があることは、各球団のファン心理としては納得しずらい面もあるかもしれないが、球団に利益があればいい選手もまた増えるというところで納得すべきなのかも知れないのである。