「スポック博士の育児書」と「日本経済」

 最近ラジオで「スポック博士の育児書」なるものが人間の人格形成に大きな悪影響を与えているという考え方が出ているとの話を耳にした。

 この「スポック博士の育児書」なる書はアメリカの小児科医スポック博士が1946年に出した本であるが、子供が泣いても放っておけとか、母乳は決まった時間に与えなさいとか、離乳食を早めに始めなさいとかかつての育児の伝統概念を覆す内容で大ベストラーであり続けている本とのことである。
 日本でも昭和41年に翻訳され、昭和55年からは母子手帳にも記載されているという。

 まあ子供を育てたことがある人なら、誰でも目を通したり耳にしている書籍であるらしいのだが、子供を育てたことのない私にはなじみの薄い本である。
 そんな有名な本だが、最近になって多くの人がこの本を否定し始めているという。

 ある人によるとこの本に基づいて育てられた子供はどうも人格の面で欠けている面があり、異常行動をとったり性格に問題が表れやすいのだそうだ。はたまた栄養面できちんとした正しい段階を踏まないで育てられるのでアトピーなど健康上の問題が表れやすいとしている。

 私はこの件の因果関係について、きちんとした調査データを持たないので、積極的な肯定はできないのだが、これらの意見は日本の社会現象の歴史推移と照らし合せてみると何となく腑に落ちる面がある。

 例えば日本の中学校・高校で校内暴力が顕在化したのは1970年代後半から1980年代とされているが、ちょうどスポック博士の育児書が翻訳され読み始められた時期に生まれた子供が中高生になった時期と一致する。
 つまり、スポック博士の育児書で育てられた子供が問題を起こしていたのではないかという仮説が成り立つ。

 その後日本社会は子供の成長に関する問題や、オタク、アダルトチルドレン、引きこもり、ニートなど、精神的に未熟で大人に成りきれない人たちをあらわす社会問題用語が次々生まれている。

 キレる17歳などという言葉もあった。
 どれも社会コミュニケーションの面で問題があるとされている事象だ。

 さらに1990年代後半には子育てができず子供を虐待する親や、モンスターペアレンツなどの言葉が聞かれ、学級崩壊なども発生するようになった。これはスポック博士の育児書で育てられた子供が親になりはじめた時期と一致する。

 1980年代頃からアトピー患者の増加など健康的な被害も多く現れている事象はよく耳にする。

 これらの原因として一般的には戦後の急激な経済成長や核家族化問題、化学物質などの食料事情の変化などが言われているが、時代的タイミングから言えばスポック博士の育児書によって育てられた子供が、人格や健康に悪影響を受けているのではないかという疑いの面も否定しきれない。

 上述の人によると母子手帳にスポック博士の育児書が記載されてから2年後の昭和57年からアトピー患者が急増しているという。
 キレる17歳も実はこの時期に生まれている。

 そういえば自分の周囲にいたアトピーの人は性格がかなり変わっていた人が多いような気がする。

 この話を聴くまではその人の個性や遺伝的体質の問題だと思っていたが、実はスポック博士の育児書の影響なのではないかと思えば納得できるような面もある。

 確かにその人の親は、この育児書を熱心に読んでいたとされるインテリ層のはずだった。
 決め付けはよくないが可能性はある気がする。

 そしてこの育児書普及の影響があるのかないのかわからないが、日本そのものは現在その社会的病理、精神的病理によって若年層の活力が失われている。
 さらに時を同じくして現在の日本経済的は長期に停滞している。
 つまり本来社会を支えるべき日本の若者に元気がないので経済が停滞していると言えなくもない。

 こうやって三段論法で考えていくと、ひょっとするとスポック博士の育児書が日本の若者を、あるいは日本人を駄目にしそして日本経済を駄目にした要因であると言える可能性もある。

写真はイメージ

写真はイメージ

 まあ日本経済との因果関係に関しては大いなる研究が必要だが、一つだけこの育児書に対して、というか育児に関して確実に言えることがある。

 それは、育児は人の一生を決めるものであり実験や検証がなかなか難しいことであるが故に、何百年、何千年と培われてきた先人たちの伝統的な知恵を目新しさだけでおいそれと変えてはならないということであろう。

 つまり伝統を否定して新しい考え方を取り入れることには余程慎重にならなくてはならない。

 試験管の中の化学実験とは違い、育児は一瞬一瞬が取り返しのつかない人間の人生に対する働きかけであり、きちんとした実証なく伝統を否定してまで新しい育児法を実施するというのは無謀な冒険としか言えないのである。

 そういった意味で言えば既にスポック博士の育児書は否定するに値すると言えるのである。

 まあ、これらの話を総合していくと日本経済復活のためには実はまず母子手帳の見直しが必要なのではないか?そういう結論に帰結してしまうが果たしてどうだろうか?そんな今回の話題である。





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