2021年の節分は、2月2日となり128年振りに2月3日ではなくなるという事がニュースで報道されていた。
たかが節分とは思うが、私の子供のころはせいぜい豆まき用の豆くらいしか経済に影響はなかったのだが、今や関西発の「恵方巻」が全国区の商品となり、その大量廃棄が問題になる程、節分の日のイベントは社会に重要な影響を与えるものとなっている。
しかし節分の日付が変わるとは報じられているものの、その理由まで詳しく説明している記事は少ない。
せいぜい、今年は立春が2月3日だから、その前日である節分も前倒しされて2月2日という説明が精いっぱいとなっている。
そもそも立春とは何であり、どうして日付が変わることがあるのかの説明に欠ける。
立春とは太陽暦を基にした二十四節気上の、季節を区切るタイミングの呼称であり、黄道上の春分点から315℃の地点となる季節区分のこととなる。
では、何故今回立春が前倒しになるかといえば、第一の原因としては、立春とは日付で決まっているわけではなく、時刻で決まっているからとなる。
つまり我々は立春を含む日付を便宜上「立春」と呼んでいるが、本来はある一点の時間が立春の時間と定められている。
そして第2の原因としては現在の地上のグレゴリオ暦にて1年が365日或いは366日に決まっているが、地球が太陽の周りをまわる実際の公転周期はおよそ365日5時間48分45秒であるため、毎年ずれが生じているからとなる。
このずれを4年に一度1日を閏日(うるうび)として追加し補正しているのであるが、それでも誤差は残り、100年に一度は閏日を実施しないが400年一度は閏日をやはり実施するなどとして微調整を行っている。
まあこれでも誤差は残るが、それは横に置いたとしても、このように誤差を修正するたびに、春分点や立春点は、暦(グレゴリオ暦)上の日時がずれていく。
そして、2020年は閏年(うるうどし)で閏日(うるうび)があったため、2020年の立春以降に暦上の日付は1日(2月29日=24時間)分だけ、遅れることになったのである。
よって、2021年の立春点にあたる日時は2月3日の範囲内となり1日前倒しとなったのであって、それによってその前日の節分も前倒しとなったということなのである。
故に、もし2020年が閏年(うるうどし)でなかったら、2021年の立春前倒しは起きなかったことになる。
ところで、この理屈を適用していくと、日本と中国で立春の日が違うという年が起きてしまうことを発見した。
具体的に言うと2017年や2050年の立春であり、2017年の立春は世界標準時では2月3日の15時34分となっている。
この時刻は日本標準時(-9H)では2017年2月4日0時34分であり、中国の北京標準時(-8H)は2017年2月3日23時34分となる。
つまりこの年の立春点は日中の時差の関係で日付が変わるタイミングの間に挟まったことにより、日本の立春は2月4日、中国の立春は2月3日となってしまったのである。
本来は日本の方が早く0時を迎えているのに、暦としては中国の方が先に立春を迎えるという何とも不思議な現象が起きてしまう。
もちろん時刻としては同時である。
(因みに立春や二十四節季という概念は日本と中華圏以外にはほとんどないし当てはまらないので、他の国でその日付が話題になることは無い。)
この立春の日本と中国の日付違いは過去には1984年、今後は2050年と2054年に予定されており、元気で生きていればまた30年後に不思議な体験ができることになる。