上海の地下鉄の振動と騒音の理由

 先日地下鉄に乗った際に、以前両親が上海に来たときに「何で上海の地下鉄はあんなに飛ばすんだ」と言っていたのをふと思い出した。

 確かに言われてみれば、上海の地下鉄はかなりのスピードで走っているような雰囲気で、車両の中にいても非常に五月蠅い気がするし、よく揺れるような気がする。

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 気になってウィキペディアあたりの資料を調べてみたが、上海の地下鉄が東京の地下鉄に比べ速い速度で運行しているような資料は見つけられなかった。

 例えば東京の千代田線と上海の2号線を比較しても少なくとも最高速度設定においては時速80キロで同じである。

 では何が違うのだろうか?

 駅のホームから2号線の軌道を覗きこむと、コンクリートにレールが固定されているスラブ軌道が採用されているのが分かる。

 千代田線がどうだったかということはあまり記憶が無いが、いろいろ調べてみると床に砂利を敷き詰めたバラスト床であるらしいことがわかった。

 バラスト床は、スラブ軌道式よりは振動によって軌道が狂いやすく保守に手間がかかるといわれるが、その反面路盤とレールの間に減衰効果があり、騒音と振動ともに減少する効果があるとのこと。

 逆にスラブ軌道は保守が楽な面はあるものの、振動や騒音が大きくなるという欠点があり、近年の日本の地下鉄ではほとんどバラスト床の軌道が採用され、スラブ軌道はほとんど使われていないらしい。

 よってスラブ軌道を採用した中国の地下鉄の方が日本の地下鉄より騒音が大きくなるのは致し方ないことらしいようだ。

 加えて、日本より中国の方が敷設精度が高くないことは十分考えられ、良くて同じ水準、少なくとも中国の技術が日本のものを上回ることはちょっと考えにくい為、騒音と振動のレベルの差が生まれる可能性はある気がする。

 また同じように資料は見つけられなかったが、恐らく車両の問題もあるように思う。
 
 故に上海地下鉄2号線と千代田線では、軌道の構造上の問題から同じ速度で走っても騒音と振動に大きな差があるということになる。

 つまり、速度が速いように感じられた上海2号線は、実は速度が速いわけではなく、大きな振動と騒音により、速度が速い状態であるのと同じように感じられたと推測することができるのである。

 まあ騒音も振動もそれほど気にしないお国柄の中国では、地下鉄の振動や騒音のために保守の面倒くさいスラブ軌道の採用という発想は今後も生まれないような気がするので、この状況は当面変わらないだろうという気がするのである。





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