バタバタと忙しい先月、というかずっとこの数か月間忙しかったので、すっかり音楽情報から目を離していたのだが、その間になんと上海には新しいコンサートホール登場していた。
それは上海の地元オケの上海交響楽団ホール(上海交響楽団音楽庁)である。
しかも、調べてみるとこけら落としシリーズでウィーンフィルも(日本ツアーの前に)来ていたそうだから、情報もキャッチしていなかった私としてはちょっと悔しい思いをしている。
で、何故そんな情報が分かったのかと言えば、今日バスで市内を移動している際に偶然開館済みのホールを見かけたからである。
場所は住所で書けば復興中路1380号で、復興中路の宝慶路と汾陽路の間である。
流石に今日はコンサートの設定が無かったようだが、とりあえずロビーには入れたので中をちょっと覗いてきた。
建物は曲線の波型の屋根を持つ特徴的なホールになっており、近代的なシンプルなデザインのホールである。
座席数も大ホールは1200席とされ、日本の東京のサントリーホール(2006席)や大阪シンフォニーホール(1704席)などに比べたら小ぶりであり、日本にはあまりないサイズのホールである。
調べてみたところ、仙台に2008年に出来た「東北大学百周年記念会館」(通称:川内萩ホール1235席)や「めぐろパーシモンホール」(1200席)がこの規模であり、その他各自治体の市民会館レベルだとこのサイズは非常に多いがクラシックの音響に耐えうる構造なのは、この2つと「日生劇場」(1330席)くらいのようであった。
まあ、何故上海という大都市にこのサイズのホールなのかを考えてみると、ここはオケ専用のハコ(ホール)で練習と本番を同じ環境でやるための環境であり、必然的に稼働率が低くなることを考えると、2000席クラスのホールは建設費や維持費の面で高くなりすぎると考えられる。
幸い上海には東方芸術中心(1935席)という浦東新区政府が建設した音楽専用ホールや上海大劇院(1800席)があり、外来オケの公演をこのホールで受け持つ必要が無いので、無理に大きくする必要はなかったと思われる。
また、1200席というサイズになると、音響的にも視覚的にも観客と演奏者により一体感が生まれることになり、このサイズのハコを好むクラシック愛好家は実は少なくないようだ。
でホール自体のキャパが小さい為、ロビーも必然的にそれほど大きくならず、明るく解放感はあるが、ややこじんまりした印象だった。
ロビー脇にはチケットカウンターとカフェスペースが設置され、壁際にはネット予約者のための発券端末があった。
そしてホールの真ん中には、展示スペースがあり、なんと現在期間限定で歴代の有名なマエストロ(指揮者)たちのタクト(指揮棒)の現物が展示してあったのである。
クラシック音楽ファンなら誰でも知っているような、フルトヴェングラーやトスカニーニ、バーンスタインにカラヤン、クライバーにアバドなどなど、名だたるマエストロのタクトが展示してあった。
私なんか尊敬するチェリビダッケのタクトを見つけた時は嬉しさのあまりちょと涙ぐんでしまったほどで、非常に貴重な展示である。
しかしこうやって色んなマエストロのタクトを並べてみると、主に握りの部分に特徴があることがわかり、丸いコルクがついているものがあったり、単に細長かったり、一口にタクトと言っても色々形があることが分かる。
例えば小澤征爾さんのタクトは、手持ち花火のような形状で、握る部分が数センチ分だけ太く、後は細いと言った状態だった。
今日はこれを見ただけでも、かなりハッピーな気分になれ、このホールを見つけたことに感謝した。
どうやらこのホールでの演奏会は月3回程度のペースで行われるらしく、次はデュトア氏指揮のエレクトラ、その次がウィーンフィルのコンマスのライナーホーネック氏を招いてのモーツァルトのコンチェルト3曲となっている。
チケットは580/380/280/180/80の5クラスで、まあ日本とどっこいの設定であろう。
日本時代のように足しげく通うのは難しいかもしれないが、機会があったら聴きに入りたいこの上海の新コンサートホールである。