猪瀬さんの5000万の理由

東京都知事の猪瀬さんが辞任を表明した。

 言うまでもなく、辞任の理由は医療法人徳州会から受け取った5000万円の件が都政に混乱を引き起こした責任をとってとのことである。

 しかしながらこの5000万円について、都議会でイジメに近い状態で追及を受けてもなおそのお金の受け渡し理由については周りが納得できるような理由が説明されないでいる。

 本人の口からは、最初は政治資金と釈明し、すぐに個人の借入金だと訂正しているが、どうも釈然としない。

 まあ巷では、東電病院の譲渡先選定を巡っての賄賂だとかという説もあるが、当選が確実視されていたとはいえ選挙前の受け渡しであり果たしてそうなんだろうかと思ってしまう。

 一般的に政治家に渡った5000万円という数字を聞けば、誰でも真っ先に私腹を肥やすために金に目が眩んで受け取ったものだという風に見られ易いが、これまでの猪瀬さんの活動の足跡を見れば、彼はそういうお金に流されて受け取ったものとは思えないのである。

 もちろん、人間には誰でも欲があるし、最終的には誘惑に負けることが有ってもおかしくないので、いずれ事実が明らかになれば今回の件も贈収賄事件になるかも知れないが、私個人の印象ではそうではないと映る。

 またお金を送った側の徳州会側の徳田虎雄元衆院議員にしてもかなり特殊な人物であり、確かに選挙時に金を派手にばらまくなど公正な選挙という意味では酷い政治家だが、一方では弟が緊急医療を受けられず病気で死んだことをきっかけに、人口の少ない離島に立派な病院を建ててへき地医療の改善に努めており、人の命のために手段を選ばず行動していた人間で、とても単なる金の猛者と言えるような人物ではない。

カバン

 そんな人物から猪瀬さんへ渡された5000万円にどんな意味があったのか?

 私が推測するに、猪瀬さんは都知事になるにあたって、政治家としての自信がなかったことがお金を借りた原因なのかなと推測する。

 猪瀬さんは元々作家であり、石原前知事に気に入られて副知事として重用されていたが、選挙に必要な政治的な基盤や人脈を持つ人物ではなかったという気がする。

 そこへ前知事の突然の辞任により後継者に指名され当選が確実視され、一躍政治の表舞台に直接立つことになってしまったのであるが、ただ猪瀬さん本人にとっては行政には強い意志を持ってはいるものの、政治家としては何の経験も基盤もない状態であり、特に財産や人脈などに関して非常に心もとない不安を感じた中での都知事立候補だったのだと推測される。

 ましてや東京都知事などというポジションは、東京という世界でも有数の大都市の顔でありオリンピック誘致が決まるかもしれないという時で、それなりの品格と政治力が求められるわけで、身の回りの全てに東京の顔に相応しいと箔を求められるような印象がある。

 人付き合い一つとっても内外の要人と会食したりするのに都庁の一役人時代とは、比べものないくらいに格が要求されるわけであり毎回の支払額が一桁以上あがりそうだと感じるのは想像に難くない。

 ましてや石原さんの華麗な交流をそばで見ていただろう猪瀬さんにとっては、そのあたりのプレッシャーは非常に大きかったのではないかと推測する。

 そして政治家として生きていくには、万が一の不測の事態が発生した場合、公費を使える状況ばかりではないわけで、表に出せない個人のお金で物事を一時的に処理しなければならない可能性もあるやもしれず、そのような場合長く政治家として生きてきている人たちのような人脈がないため、事態を乗り切るための個人で自由に使える予備金の保険が欲しかったのだという気がする。

 そこで、石原前知事が親しくしていた徳田氏という人物を紹介してもらい、緊急時に表に出さずに個人のものとして使える予備の裏金として5000万円を、頼み込んで貸してもらったのではないかという気がする。

 確か猪瀬さんから徳田氏側に要求された額は一億5000万円ということと報道されており、あの5000万はとりあえずの最初の分で、使わなかったら還すというやりとりがあったと聞く。

 よくまあ無利子でそんな大金かと思うが、徳田氏にとって盟友石原さんの後継者であり、信用できる人物だと思って貸したのかもしれない。

 猪瀬さんはこの件が明るみに出た時に、最初に言った言葉は選挙資金ということであり、その後政治資金規正法に引っかかる可能性があると気づいて、選挙後の生活に不安があるから個人の借金だという言い訳をしており世間からは信じられていなかったが、今になって思うと実はそのままの言葉だったのではないかという気がするのである。

 本来猪瀬さんのような頭の良い作家が本気で悪巧みをする意識が有れば、もっと用意周到に出来るはずであり、逆に発覚してもあのような発言が二転三転するような印象を与えるおどおどした会見にはならない気がするが、今回あまりにも稚拙な受け答えが目に付いた印象があり、想定外の相当な動揺が見てとれる。

 つまり猪瀬さん本人としては今回の5000万円は都知事としての見栄のためのお金であって、やや裏金的な性格を持つ面はあっても、特に具体的な必要性がなければ手を付けずに還せる色のついていないお金だという認識があったところに、想定外の徳州会への捜査のメスが入って、お金の授受が発覚して疑われることになり動揺したのではないかと言う気がしている。

 今後真実が明らかになって、法律に違反する部分があれば猪瀬さんは償わなければならないが、私腹を肥やすための5000万円ではなかったと信じたいところではある。





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