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ふるさと納税の高額返礼品は納税者に対する賄賂と同じ

 日本でふるさと納税に対する返礼品の内容の是非をめぐって、議論が沸騰している。

 まあ私が上海に来た直後に始まった制度なので、具体的な手続きや内容はネットで聞き齧じったレベルでしかないのだが、大阪府泉佐野市などの返礼品が度を越えて豪華となっており、本来の制度の主旨から逸脱しているといったことで非難されているようだ。
 そもそもこの「ふるさと納税」は都会で就職してしまった人たちが、生まれ育ったふるさとの地元へ恩返しのために納税額の一部を寄付できるように作った制度だったような気がする。
 それにプラスして、災害に苦しむ自治体や立派な取り組みを行っている自治体に対して、応援したい意図を汲めるように住民税の一部を寄付金という形で希望の自治体へお金を届けられる制度と認識している。

 まあ名目は寄付金だが、その分居住地の自治体からの住民税が免除されるので実質税金の振替と同じことである。

 そしてその寄付金をめぐって、返礼品の競争が起きているのが今起きている問題で、制度の主旨から外れているような、換金性のある商品券や還元率が高すぎる返礼品が登場し、返礼品検索サイトまで立ち上がって、寄付金集め合戦が行われている。
 税金を納めている人からすれば、どうせ同じ金額だけ納税するのであれば、還元率の高い品物を受け取ったほうが得だと考えているのだろうが、しかしこれはよく考えてみるとおかしな話である。

 本来、税金として納めるべきお金の一部が、納付先として選ぶ自治体を換えることによってキックバックが受けられるような状況となっているからである。

ふるさとのタヌキは人を化かす?

 これは構造としては公務員による賄賂とほとんど同じである。

  財政権限者(納税者)が、キックバック目当てで、受益者(自治体)の選定を行っていることになっているからである。

 これが逆に、法律上の財政補助金などを財政権限者(自治体)が、キックバック目当てで、受益者(個人や企業)を選択したら、完全に贈収賄事件となる。
 しかもふるさと納税も元々は法律で総額が決まった納税者が収めるべき税金であるから、源泉は私的財産からの支出ではあるが公金と同じ性格のものだと言える。

 つまり返礼品を餌に税金の一部から寄付を選択させる行為は、自治体による贈賄行為と同じ構造と言える。

 当然ながら公務員による収賄行為は固く禁じられており、発覚したら罰せられるのだが、逆をやっている形となったふるさと納税は何故か罪悪感もなく大っぴらに行われているのである。

 しかも、納税金が高い還元率で返礼品への支出に充てられてしまえば、その分だけ納税した税金は税金として有効活用されず、個人の懐に戻ってしまうのであり、社会全体から見れば、大きな損失となる。
 また税金を他の自治体への寄付に取られてしまった現在居住している自治体でも、寄付額の分だけ税収が減るわけで、税収減はそのまま行政サービスの低下に繋がるのである。

 現居住自治体の財政が苦しくなれば待機児童問題解消のための保育園整備が停滞したり、市道や小中学校の設備維持が進まず劣化、さらにはごみ収集の収集回数減少など、生活に直結した影響が出てくる。

 故に、返礼品に目がくらんでふるさと納税を続けると自分の生活環境の質を落とす可能性すらあるのである。
その結果、もし自宅の不動産価格が値下がりでもしたら、返礼品の還元率どころではないだろう。

 まあふるさと納税の発想自体を否定する気はないが、もともと納めたくない税金は納めるからには社会や現在の身の回りの住環境のために有効活用してもらうべきであり、過剰な返礼品はやはり本末転倒であって、納税者が安易に釣られるのも自治体が釣りにかかるのもやめたほうがいいという気がするのである。

猪瀬さんの5000万の理由

東京都知事の猪瀬さんが辞任を表明した。

 言うまでもなく、辞任の理由は医療法人徳州会から受け取った5000万円の件が都政に混乱を引き起こした責任をとってとのことである。

 しかしながらこの5000万円について、都議会でイジメに近い状態で追及を受けてもなおそのお金の受け渡し理由については周りが納得できるような理由が説明されないでいる。

 本人の口からは、最初は政治資金と釈明し、すぐに個人の借入金だと訂正しているが、どうも釈然としない。

 まあ巷では、東電病院の譲渡先選定を巡っての賄賂だとかという説もあるが、当選が確実視されていたとはいえ選挙前の受け渡しであり果たしてそうなんだろうかと思ってしまう。

 一般的に政治家に渡った5000万円という数字を聞けば、誰でも真っ先に私腹を肥やすために金に目が眩んで受け取ったものだという風に見られ易いが、これまでの猪瀬さんの活動の足跡を見れば、彼はそういうお金に流されて受け取ったものとは思えないのである。

 もちろん、人間には誰でも欲があるし、最終的には誘惑に負けることが有ってもおかしくないので、いずれ事実が明らかになれば今回の件も贈収賄事件になるかも知れないが、私個人の印象ではそうではないと映る。

 またお金を送った側の徳州会側の徳田虎雄元衆院議員にしてもかなり特殊な人物であり、確かに選挙時に金を派手にばらまくなど公正な選挙という意味では酷い政治家だが、一方では弟が緊急医療を受けられず病気で死んだことをきっかけに、人口の少ない離島に立派な病院を建ててへき地医療の改善に努めており、人の命のために手段を選ばず行動していた人間で、とても単なる金の猛者と言えるような人物ではない。

カバン

 そんな人物から猪瀬さんへ渡された5000万円にどんな意味があったのか?

 私が推測するに、猪瀬さんは都知事になるにあたって、政治家としての自信がなかったことがお金を借りた原因なのかなと推測する。

 猪瀬さんは元々作家であり、石原前知事に気に入られて副知事として重用されていたが、選挙に必要な政治的な基盤や人脈を持つ人物ではなかったという気がする。

 そこへ前知事の突然の辞任により後継者に指名され当選が確実視され、一躍政治の表舞台に直接立つことになってしまったのであるが、ただ猪瀬さん本人にとっては行政には強い意志を持ってはいるものの、政治家としては何の経験も基盤もない状態であり、特に財産や人脈などに関して非常に心もとない不安を感じた中での都知事立候補だったのだと推測される。

 ましてや東京都知事などというポジションは、東京という世界でも有数の大都市の顔でありオリンピック誘致が決まるかもしれないという時で、それなりの品格と政治力が求められるわけで、身の回りの全てに東京の顔に相応しいと箔を求められるような印象がある。

 人付き合い一つとっても内外の要人と会食したりするのに都庁の一役人時代とは、比べものないくらいに格が要求されるわけであり毎回の支払額が一桁以上あがりそうだと感じるのは想像に難くない。

 ましてや石原さんの華麗な交流をそばで見ていただろう猪瀬さんにとっては、そのあたりのプレッシャーは非常に大きかったのではないかと推測する。

 そして政治家として生きていくには、万が一の不測の事態が発生した場合、公費を使える状況ばかりではないわけで、表に出せない個人のお金で物事を一時的に処理しなければならない可能性もあるやもしれず、そのような場合長く政治家として生きてきている人たちのような人脈がないため、事態を乗り切るための個人で自由に使える予備金の保険が欲しかったのだという気がする。

 そこで、石原前知事が親しくしていた徳田氏という人物を紹介してもらい、緊急時に表に出さずに個人のものとして使える予備の裏金として5000万円を、頼み込んで貸してもらったのではないかという気がする。

 確か猪瀬さんから徳田氏側に要求された額は一億5000万円ということと報道されており、あの5000万はとりあえずの最初の分で、使わなかったら還すというやりとりがあったと聞く。

 よくまあ無利子でそんな大金かと思うが、徳田氏にとって盟友石原さんの後継者であり、信用できる人物だと思って貸したのかもしれない。

 猪瀬さんはこの件が明るみに出た時に、最初に言った言葉は選挙資金ということであり、その後政治資金規正法に引っかかる可能性があると気づいて、選挙後の生活に不安があるから個人の借金だという言い訳をしており世間からは信じられていなかったが、今になって思うと実はそのままの言葉だったのではないかという気がするのである。

 本来猪瀬さんのような頭の良い作家が本気で悪巧みをする意識が有れば、もっと用意周到に出来るはずであり、逆に発覚してもあのような発言が二転三転するような印象を与えるおどおどした会見にはならない気がするが、今回あまりにも稚拙な受け答えが目に付いた印象があり、想定外の相当な動揺が見てとれる。

 つまり猪瀬さん本人としては今回の5000万円は都知事としての見栄のためのお金であって、やや裏金的な性格を持つ面はあっても、特に具体的な必要性がなければ手を付けずに還せる色のついていないお金だという認識があったところに、想定外の徳州会への捜査のメスが入って、お金の授受が発覚して疑われることになり動揺したのではないかと言う気がしている。

 今後真実が明らかになって、法律に違反する部分があれば猪瀬さんは償わなければならないが、私腹を肥やすための5000万円ではなかったと信じたいところではある。