東京都知事が保育園へ視察に行かなかった理由

先日舛添東京都知事が辞意を申し入れてしまったため、世間の興味は次の候補者選びに移ってしまっているのかもしれないが、世間が彼を叩いていた理由の中に、世間の方の無知による誤解が数多く含まれていたという気がする。

その一つとして、舛添知事は美術館には何度も視察に行ったのに、保育園には全く行っていないという批判がある。

この批判は、都民感情としてはある程度理解できる面はあるものの、東京都の行政構造を全く理解していないことからくる誤解の批判だという気がする。

 何故なら、東京都知事は保育園の視察に行く業務上の必要性があまり無い立場だからである。

 業務上必要ないなどと言うと、都の責任者として無責任だといわれるかもしれないが、残念ながら都は保育園の認可の責任は負うが、設置計画を立てる立場ではないのである。

 どういうことかというと、法律上では保育園の設置計画を立てるのは東京23区(特別区)では各区の責任ということになっている。

 つまり東京では保育園や小中学校などが都立ではなく、区立保育所や区立小学校と呼ばれることからわかるように、23区の区が設立するものなのである。

 ここで東京都について基本的なことをおさらいすると、東京都というのは他の道府県と違って特殊な行政構造をとっており、東京都の下に東京特別区といういわゆる23区の存在があり、区は基本としては他県における市町村と同じ役割を担っている。

但し東京特別区は人口が密集していることから、一つ一つの区でそれぞれバラバラに運営していたのでは効率の悪い行政項目、例えば警察、消防、交通、上下水道などは都に移譲して特別区として広域一括管理をしている。

 これに対して各区には上記以外の市町村の役割が残されており、住民票や戸籍の管理、保育所・小中学校の設置計画などは、市町村同様に区の分担とされる。

 従って、舛添氏が知事を務める東京都は保育所の設置権限を持たないことになり、まあ視察程度は政治家として自由な行動と許されるのだとしても、個々の地域の設置計画に口を出すことは各区や都下の市町村行政に対する侮辱にもなり、越権行為となってしまうのである。

それ故に、彼は都知事としては保育園視察が実施されなかったものと推測される。

 ちなみに、高等学校は都の管轄であり、都が設置計画を立てるのは他の道府県と同じであり、それ故に例の韓国人学校への貸与の件で、やり玉に挙げられていた都立市谷商業高等学校の跡地に利用に関しても、都有地なので(恐らくだが)都にイニシアチブがあり、都の資産として都の事業への利用計画が優先されたのである。

 まあこの韓国人学校への貸与の件は、デリケートな問題であり話が長くなるのでいつか改めて書きたいが、少なくとも保育園の設置という点で言えば都の事業ではないので、都有地の活用を考えた場合、都にとってはファーストチョイスにはならなかったということになる。

このあたり区と都の距離感が分かりにくいため理解しにくいかも知れないが、県と市に置き換えて見ると敷居の高さが分かるのではないだろうか?

 この都と区の役割分担から考えると、舛添氏が全く保育園を視察しないで美術館や博物館ばかり視察しているいう批判は、やはり誤解に基づく少々的外れな批判だという気がするのである。

 繰り返しになるが、私は舛添氏の肩を持ちたいということではないものの、無知や無理解から来る世間の言われのない批判や罵詈雑言はやはりおかしいと感じており、正しい状況理解のもとで何が是で何が否かを慎重に見極めるべきだというのが私の本心である。



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