昨年の金融危機以降、日系企業の中で上海で一番打撃を受けているのはどうも人材紹介会社のような気がする。
知り合いの人材会社の営業攻勢が激しくなった気もする。
元々乱立気味であった上海の人材会社であるが、流動の激しい上海の人材市場ではそれなりに成立していたようだが、金融危機で各会社が人材の流れが止まった。
人が動かなければ儲けにならないのが人材会社で、去年から今年にかけて知っているだけで数社が倒産した。
人材紹介サイトが売りに出された状況も目にした。そして今も数社が撤退を計画しているとの噂を耳にしている。
またこの人材紹介会社の苦境には昨年の労働法の改正も追い討ちをかけているとも言われる。
労働法の充実は、少なくとも雇用側に安易な人材の放出を抑制する方向へ力が働く。
故に労働者市場の移動が抑制されるのが普通だ。
まあ人材紹介会社そのものは職探しの際には便利な会社であるが、そのものは直接何かを生み出しているわけではなく、ただ会社と人のマッチングを行なっているだけだ。
人材と求人案件は常に流動的であり、どちらも安定供給があるわけではなく、独自の安定商品があるわけでもないだけに社会状況が変われば影響をモロに受けてしまう。
例えば終身雇用や長期安定勤務の社会へ変化していけば、市場は極端に縮小する。元々何社もあって中身にそれほど大差がないのが人材会社である。
市場が縮小すれば合理的な方法を行っている大手に淘汰されてしまう。そんな状況が今の現状だ。
ただ、人材会社を淘汰している原因は果たして昨年の金融危機だけであろうかと考えてしまう。
上海経済の伸びの鈍化、或いは成熟期への移行が人材市場の沈静化を促してるのではないのであろうかという見方である。社会が急激に伸びているときは次々に新しい会社が生まれ、その会社が人材を集めるために高給を提示するので給与市場がどんどん動く。
しかし社会が安定してくると会社が生まれるペースも落ちてくるので給与相場も動きづらくなってくる。加えて先の労働法の登場でますます雇用が固定化していく。
そんな状況を加速させたのが昨年の金融危機で、ベースはもともとあったのではないかという考えることもできるような気がする。
まあ原因はともかく、人材紹介会社にはまだまだ厳しい時代が続きそうなのが現状のようである。