結果の分析の必要性と実践

先日の青島の列車事故、原因は人為的なミスだという。
運転士がスピードオーバーでカーブを走ったため脱線したのが事故の原因ということらしい。
確かにその事故を結論付けてしまえばそういうことに落ち着くのかもしれない。
しかし、中国の警察はそれ以上の捜索はしないのだろうか?
現場検証の細かさを含めて中国の捜査当局はどうしても結論を早く出し、理由を単純化したがる傾向にある。そのおかげで、鉄道は早く復旧するのだが、事故を招いた様々な他の要因は見逃され、次の事故の防止に繋がっていかないような気がする。

例えば、これが日本で起きた事故だった場合、日本の警察はかなり念入りに調査をするだろう。日本の警察は一般的に中国の警察に比べて捜査能力、分析能力が高いと言われる。
その理由というのは、実は表面上の現象の裏に隠れている原因について深く掘り下げて分析をしていくからである。
 実はこれ、警察の捜査だけではなく、日本の企業でも社員の問題解決能力を高めるための訓練として物事の原因を深く考察させるという手法はよく使われている。
日本のビジネスのきめ細かさと、警察の捜査能力の高さは実は根っこが同じなのである。

例えばこの列車事故を例にとって分析していくと、

①なぜ運転士がスピード超過をしたか
の理由を分析すると、
②-A 運転士個人の安全意識の低さ
②-B スピード超過をしやすいこの区間の線路の構造の問題
②-C スピード超過を防ぐための安全装置の不備
②-D ダイヤ設定上の不備
②-E スピード超過を招きやすい車両編成

などとスピード超過の裏にある原因を分析する。さらにA、Bをもう一段階掘り下げると
③-A-ア 教育不足
③-A-イ 速度制限より時間回復を促す周囲の雰囲気
③-A-ウ 個人的資質
③-B-ア 前後の区間との制限速度バランス
③-B-イ 前後の区間とこの区間の傾斜
③-B-ウ 速度感覚がつかみにくい風景、時間帯

さらに4段階目としてAを掘り下げる
④-A-ア-甲 運転士の絶対数不足による採用以降教育時間の不足
④-A-ア-乙 教育の質、教材の不足
④-A-ア-丙 経営側の認識不足
④-A-イ-甲 乗客の要求
④-A-イ-乙 国策としてのスピードアップへの要求
④-A-イ-丙 遅延時の罰則規定の存在
④-A-ウ-甲 採用時の適格人材の問題
④-A-ウ-乙 日常評価の問題
④-A-ウ-丙 個人的資質に左右される運転業務そのもの

さらに④-A-アの二つを掘り下げる。
⑤-A-ア-甲-Ⅰ経済の急速な発展による列車の増加による運転士の不足
⑤-A-ア-甲-Ⅱ一人っ子政策などによる対象労働者層の人口の減少
⑤-A-ア-甲-Ⅲ都市賃金高騰による相対的求人事情の悪化
⑤-A-ア-甲-Ⅳ労働法関係の整備による従来の労働環境への規制
⑤-A-ア-乙-Ⅰ列車機能向上、車種増加による、学習項目の増加
⑤-A-ア-乙-Ⅱ運転速度向上に追いついていない安全教育
⑤-A-ア-乙-Ⅲ実験データ、安全データの教材への反映の遅れ
⑤-A-ア-乙-Ⅳ海外データ取り入れに対する抵抗感。

といった具合に一つの事象の原因を深く掘り下げていくと、「人為的ミス」という一言では片付けられない背景的要因を探ることが出来る。
 もちろん今回の事故対応として改善できる原因と取り除けない原因があると思うが少なくともこれらを見分けていくことができる。
(この事故に関しては当事者ではないので、あくまでも推測でしかないですが。。。)

これはやはりビジネスでも同じで、これをやらないと、ビジネス上で詰まったときの改善策を立てるときに、ちゃんと原因を分析しないと運よくその場を乗り切っただけではまた同じことを繰り返すだけなのである。

ただし、異国の地中国では、日本人の常識では思いもよらない要因が潜んでいたりするので、この分析をやるときでも注意が必要でなかなか容易でなかったりする。
まあ、そこを乗り越えたときに外国でのビジネスの面白さがあるのではありますが、、、。

先日の列車事故のようなことが二度と繰り返されないことを祈るばかりである。





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