先日、ある家庭教師の方のブログを読み、ちょっと驚きの現象があることを知った。
タワーマンションの高層階に住む子供は成績が伸び悩む傾向にあるらしいとのこと。
その要因として、そのブログの筆者は高層階における環境の刺激の少なさなどを理由に挙げている。
高層階は確かに窓から景色も良いし、地上近くの雑音も少ないので勉強の環境にはもって来いのような印象に映るが、実は逆にこの刺激の少なさが成長における体験の機会を奪って刺激への反応が鈍くなってしまうとのこと。
またタワーマンションの高層階では窓をほとんど開けられないし、木々のざわめきや鳥の鳴き声、虫、日の角度など主に地表近くで起きる四季の変化を感じにくくなり、感受性を育てる環境に不足があるのだという。
さらにエレベーターという移動障害が存在するために、外出するのもおっくうになり、外で遊ぶ機会もますます減り、砂場遊びや石ころ遊びをしなくなるため物の数に対する自然体験がなくなり、これにより足し算引き算の意味することが概念的に理解できないなどということが起きると、このブログには書かれている。
またエアコンによる室温コントロールが行われてしまっているため、「寒い暑い」の刺激も不足し、この環境の安定は実は集中力をもたらすのではなく、やはり刺激不足で集中力の持続に影響を及ぼすのだという。
つまり大人には快適に見える環境も、未成熟な子供たちにとっては成長段階において生きるために心身に刻み付けるべき学習要素として必要な刺激を受けられないため、脳が学習できないことになってしまうようだ。
このほかタワーマンションでは、ガス事故を避ける意味もあってキッチンのIH化が浸透してしまっているため、火を全く見たこともない子供も少なくないという
これにより、煙などといった命に危険を及ぼす存在を察知する能力さえ衰えてしまっている可能性があるという。
我々大人はそれまで生きてきた経験則や体験によって何が快適かそうでないかを知り、その経験や社会知識によって危険を回避したり、環境を快適に整えたりしているが、経験を経ない子供に同様の環境を与えても、決してプラスにはならないようなのである。
まあこのことだけで、タワーマンションの存在をいきなり否定するわけではないが、大人が良しとする快適な環境が必ずしも子供にとってプラスなわけではないとは言えるということになる。
こういった視点は街や社会を進化させる上で見逃してはならないポイントのようだ。