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待機指示の重要性

 あいまな指示の話の続きだが、仕事やイベントにおいて大勢の人が時間や行動を共有し進行する上で大事な指示のひとつに「待機指示」というものがある。

 文字通り「待機していなさい」という意味の指示であり、ある意味「何かをしろ」という行動を促すための指示とは真逆の指示となる。

 しかし、これは特に集団に相対するときに重要な指示となる。

 つまり指示する相手に、どう行動していいのか分からなくなるような中途半端な時間を与えないための指示であり、今は集団の行動に従う時間なのか個人の自由で行動していい時間なのかをはっきりさせるための指示である。

 最近何度か中国の結婚披露宴に参加して感じたことだが、中国の披露宴の司会者は「拍手をしてください」などの「行動指示」はするものの、この「待機指示」についてはほとんど気を配らず指示が出ない。

 故に参加者にとっては今がイベントの時間なのか、休憩の時間なのか判断できない空白の時間が度々生まれており、トイレや電話をかけに行ってもいいのかよくわからないアイドル状態になることがしばしばになっていた。

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 まあ、イベントのタイミングであろうがなかろうが集団の中でも平気で個人行動ができる中国人達にはそのような「待機指示」は無意味なのかも知れず、故に司会者も指示しないのかもしれない。

 しかし周囲の流れに気を遣う我々日本人にとってはその指示は重要で、結婚披露宴のような特別な儀式の中では司会者の指示に頼るほかないので、その指示があいまいだととても行動に困るし、精神的に無駄な神経を使うことになる。

 このような結婚披露宴の参加者群という訓練されていない人の集団をまとめるには、やはり司会者などの取りまとめ役から動と静の切り替えの指示は必ず必要で、アイドル状態の空白の時間を作らないのがイベントの司会者の大事な仕事の一つとなる。

 つまり結婚披露宴で言えば「いましばらくご歓談ください」という司会者の一言は、くだいて言えば「次にタイミングを指示するまでの自由な時間ですよ」という意味になり、参加者たちにとっては拘束から解放される時間となり安心感をもたらす。

 まあ中国人達がこういった待機指示の重要性を理解していないのは、何も披露宴の司会者に限らず一般社会の仕事の中でも同様なようで、中国人達は「あれをしろ」「これは止める」の指示は出来ても止めた後のフォローをしない、つまり待機指示がなく放置状態となる場合が多々ある。

 止めさせたのだからいいのだというところで相手が思考の外に出ているのだ。

 つまり相手が「待機」という稼働状態であることへの理解が出来ていないのだと思われる。

 しかし集団が一つの行動をするためにはこの「待機指示」はやはり非常に重要である。

 中国人はスポーツにおいて団体競技が苦手といわれるが、こういった他者の状況の把握と指示という意識に欠けてしまえば、集団での行動がぎくしゃくしてまとまらずに力を発揮できないのは当然である。

 足し算ではいえば人口的に圧倒的な力を持っている中国が、未だ日本に及ばない面があるのは国民のこういった集団への気配りの差のような気がする。
 

あいまいな指示

WBCの侍ジャパンが三連覇の夢潰えて敗退が決まった。

まあ野球という勝負事において永遠の勝ちっぱなしは有り得ないから、負けてしまうことは仕方ないのだが、大事なところで痛恨のミスが出たのがやはり残念であった。

 今回は指示があいまいなために出たミスである。

 複数の人間が意図的に同時に行動するためには必ず決まりごとが必要になる。

 そしてその意思疎通が必要になるはずなのだが、今回意思を疎通すべき2人の人間の間にきちんと決まりごとが徹底出来ておらず、その確認徹底を指示できなかったためにミスに繋がった。
 
 今回の件について具体的に言えば、ダブルスチールを敢行する場合の段取りと中止する場合の段取りの意思疎通が必要であり、これが徹底できてないからミスに繋がったと言える。

 このように野球に限らず複数の人間が一つのことを一緒にやろうとする場合は絶対にあいまいな指示は禁物である。

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 例えば私が昔芝居の音響をやっていたときは必ず「きっかけ」というものが存在していた。

 それは役者のセリフだったり動きだったり、あるいは照明の変化だったりその中身は色々だったが、音をスタートさせたり止めたりするには必ず「きっかけ」が必要で、もし役者の動きがきっかけになっている場合は、必ずその役者に動きがきっかけになっていることを伝えておく。

 こうしておくと、例えセリフは飛ばしたとしてもそのきっかけは必ず押さえてくれるのである。

 逆に言わないでおくと、役者が突然その場のアドリブでセリフを変えたりした時にきっかけの言葉が無くなりオペレートが混乱し、最悪の場合は音楽をスタートさせられない時もあり、結果芝居がぐちゃぐちゃになる可能性だってある。
 
 そのくらい事前の意思の疎通と明確な指示は大事であった。

 また日常の仕事の上でも、決め事として「こうなったらああしてね」と具体的なきっかけと動きを明確に伝えておくと、いちいちその場で指示しなくても仕事は流れるようになる。

 それを例えば「明日社長が来ます」だけとか言っても、言われた方は会議があるのかないのか、資料が必要なのかないのか、或いは待機する必要があるのかどうかまるっきり分からない指示となる。

 少なくとも一度は「社長が来る日は必ず1時間ほど会議を行ないますので、必ず時間を空けて出席し○○の資料を準備してください。」と具体的な指示をしておく必要があり、それを伝えておけば次回からは「明日社長が来ます」だけで済む。

 ただスタッフの入れ替え時のフォローや、行動の確実性などを考えると毎回明確に指示するのがやはり確実とも言える。

 もちろん業務を裁量で任せるような指示方法も確かにあると思うが、複数の人間が絡んで行動する場合、指示された相手が行動に迷うような言葉はやはり業務上の混乱をきたすし、結局連絡をした意味が全くないのとほぼ同じ状態になるから、ポイントだけは明確に指示する必要がある。

 大きな組織で働いたことのある人間はこのあたりを結構徹底的に叩き込まれるはずなのだが、組織に属したことの無い人や組織を離れて長い人はやはりあいまいになる場合が多く、そういう人の下で働くときは注意が必要である。

 その明確さが徹底しないとやはり今回の野球のようなミスを招くことなる。

 複数の人間が同時に動く場合の指示に「あいまい」は絶対禁物である。