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アマゾンが中国から撤退に追いこまれた理由。

 先月、流通大手のアマゾンが中国市場からの撤退を表明し、7月にも業務を停止することになったと報道された。
 
 中国の事業はローカル企業に引き継がれるようだが、世界で隆盛を誇っているアマゾンのブランドは中国国内からは消えてしまうようだ。
 一時は中国国内でトップシェアのネット通販であったアマゾンだが、後発の中国ローカル企業にシェアをどんどん奪われ淘汰され、結局は撤退をせざるを得ない状況に追い込まれた。

 このように中国では競争に負けてしまったアマゾンだが、中国以外のアメリカや日本では今でもトップシェアであり、その企業が中国だけ撤退する状況に追い込まれてしまうというのはちょっと不可解な印象もある。

アマゾン中国のスマホサイト

アマゾン中国のスマホサイト

 果たしてアマゾンはどうして中国から撤退すべき状況となってしまったのか?

 外部からは中国的商慣習の壁という意見も聞かれるが、そもそもトップシェアにあったことを考えれば、原因はそこではなく後発的な要因である。
 
 つまり中国ならでは特殊な市場環境の変化があり、アマゾンはそこへの対応が遅れてしまったことが競争に敗れる原因があったと分析している。

 その市場環境の変化とは中国の急速な電子マネー・電子決済の浸透ということがキーワードとなる。

 中国では、アリペイ(支付宝)WECHT PAY(微信支付)というQRコードを使用した電子決済が2014~5年頃から急激に浸透した。

 この結果、ユーザーはスマホから商品を選んで、そのまま電子決済で支払いを済ますというスタイルがあっという間に定着した。

 従来からの「着払い」による現金決済だの銀行決済などの方法も選択できなくはないが、恐らくユーザーのほとんどが電子マネー決済に移行したのであろう。

 それに対してアマゾンでは、ネットバンク決済はあった気がするが、多くが着払いの現金払いやキャッシュカードによるデビッド決済であり、受け取り時にお金を用意したりと、やや手間がかかる受け渡し方法の状況がそのまま続いた。

 ネットバンク決済とて、銀行サイトに移動して検証コードを入力したりと結構手間がかかり、電子マネー決済に比べると雲泥の差で面倒くさい状況だった。

 このような決済の手間が圧倒的に違ってしまえば、価格やサービスにはほとんど差が無い訳であるから、シェアが移行してしまうのは必然だった。

 さらに、先行する天猫商城(タオバオ)に、京東商城が急追したのも天猫が自グループのアリペイしか利用できないのに対してSNSと結びついた微信支付も利用できる強みがあったからだと推測している。

 わざわざ支払いの為にだけで起動する支払宝アプリより、通信や投稿のために始終起動されていてメニュー選択するだけで支払い可能な微信アプリのほうがやはり使い勝手が良いく、それ故に京東が伸びたのだと察する。

 よってこれらの天猫や京東、その他ローカルネットモールの隆盛によりアマゾンは淘汰されてしまったということになる。

 逆に対応が遅れた「1号店」などのネットモールは伸び悩んでしまった。

 実際、私自身の利用傾向も主選択は京東商城になってしまい、目的の商品が見つからない様な場合に限り、次にタオバオ、そして最後にアマゾンも覗いてみようかという程度になり、ここ数年は実際に購入することはなくなったのである。
 
 つまり、電子決済への対応の遅れが、アマゾンが淘汰された主要因ではないかというのが私の推測である。

 では何故アマゾンは電子決済への対応が出来なかったのか?
 
 実際の中身を知らないので勝手な推測になってしまうが、恐らくアマゾンサイトというのは、世界中で共通のプラットフォームを使って表示言語だけを変えた構造なのではないかと想像する。

 故に、そこに電子決済のシステムを組み込むとなると、膨大な開発費が必要になる上に、全世界的な変更が必要で、それ故に対応が遅れてしまったのではないかと思われる。
 店舗ごとに見ていけば、電子マネー決済に対応している店舗もないわけではないようだが、アマゾン全体としての共通仕様にはなっていない。

 そもそもアマゾンはクレジットカード決済などでも、店舗ごとの対応であり、サイト統一仕様として組み込まれているわけではなく、決裁に関してはスマートさに欠ける面があるECサイトだったというのが私の見解であった。

 それ故に電子決済化の波に対応しきれず不便だとユーザーに判断されたと思われる。
 
 このように決済方法とECサイト(ネットショップ)のシェアには密接な関係があると言え、この中国の前例を踏まえていくと、今後日本やアメリカで電子マネー決済が主流になった場合、より簡易的な決済手段が可能なショッピングモールがシェアを伸ばすということが十分に考えられる。

 もし、そこで再びアマゾンの対応が遅れれば、中国以外でもシェアが凋落していく可能性が十分ありうると言える。

 逆に、今はまだ訪日観光客のお土産用決済手段でしかない中国発の支付宝や微信支付も、日本やアメリカの電子マネーツールとして浸透すれば、それとともに進出してくるネットモールにシェアを席巻されないとは限らないのである。

 どうやら今後は電子マネーを制覇する企業が流通を制する時代になりつつあり、少なくともその意味でアマゾンは中国で敗れてしまったということになる。

量販店専用提供の意味

 最近、飲料水や常用するスポーツドリンクなどはどうせ飲むなら安く買おうと、近所のスーパーでまとめ買いをして、1本あたりのコストを抑えるようにしている。
最近、これらのドリンクのペットボトルのパッケージをみて気がついたことある。

 それはこの量販店で売られているミネラルウォーターには「量販専供」、つまり量販店専用提供という記載がしてあるということである。
 コンビニなどで売っている商品には無い記載である。

 何故、わざわざコストをかけて差別化する?

 最初に考えたのは品質が違うのではないかという疑いである。
 量販店販売の商品は値段が安いので、実は品質の面でも他のコンビニなどに卸してある商品とは差をつけて、品質を落としてあるのではないかという疑いである。

 しかし、これについては品質検査をしたわけではないので、実証は出来ていないものの飲んでいる分には差は感じない。しかもまあ普通に考えればメーカー側がそんな疑われそうな分かりやすい表示をするわけが無い。
 故にどうもこの説は正しくなさそうということになる。

 では「量販専供」の表示をするか?

最近自分が得た一つの結論が、実は万引き対策ではないかということである。

写真はイメージ

写真はイメージ


 
上海で暮らしていると、基本的に湿度が高く暑いので、飲料水などを鞄の中にしまって持ち歩く機会も多くなる。

そしてそのままスーパーに入って行くことも決して少なくない。

 しかしスーパーの中には当然同じ商品が売られているので、買い物中に迂闊に鞄の中の飲料水を取り出して飲んだりすると、万引きを疑われたりすることがある。もちろんそれは外から持ち込んだものであれば本来は犯罪にはならないが、なかなかその証明は難しい。

 またそれを逆手にとって、売り場で売られている商品を勝手に開けて飲んでおいて持ち込んだ物だと言い張る人も中国では少なくないだろう。
 
 そこで、それを防ぐためのこの商品のパッケージの差別化である。
スーパーの中で売られている商品が「量販専供」の記載で差別化されれば、少なくともその場で盗んだ商品を、コンビニで買って外から持ち込んだものと言い張ることは難しくなる。
 もちろん他の量販店でも「量販専供」印の商品は売られるはずだから、100%の予防策にはならないかも知れないが、少なくとも一定の予防線にはなるであろう。

 これらは今のところ私の推測に過ぎないが、こう考えると非常に腑に落ちる。

 それにしても私の推論が正しければ、こんなパッケージ差別をしなければならないほど万引き被害が大きかったということになろうか?

 まあこの対策でどの程度の万引き予防が出来ているかわからないが、これでも防ぎきれなければ中国でも既に製造ロットナンバー管理はされているようだから、厳格に流通トレサビリティ管理をして「これはうちの店に納入された商品で、他店に納入されたものではなく、まだ会計が済んでないものです。」とはっきり情報を突きつけるようにするしかないかもしれない。

原文