中国の賃金高騰と若年人口の減少

 先日、中国の経済成長率が7.3%と発表されたと報道された。
 日本に比べれば依然として遥かに高い勢いを保っているが、以前の10%以上の伸びに比べればかなりその速度が鈍化して来ており、中国の経済発展の鈍化が言われている。
 もちろんこの数字自体がどれだけ正確性をもっているかについても以前から色んな経済学者やエコノミストが指摘しているが、数字の正確性はともかく鈍化傾向に向かっていることは疑いもないような気がする。
 一般的な経済の常識として13億の人口を抱えている中国としては、経済成長率の鈍化は即雇用問題に直結する問題なので非常に由々しき問題とも言えるのだが、実は私としては逆の見方をしている。
 つまり、雇用の問題が経済成長の鈍化を招いているのではないかと考える。
 一般的に中国の経済成長鈍化が進む理由として、経済発展が賃金高騰を招き、それ故に低賃金労働力を背景にしていた経済競争力が弱まっている影響があるのだと言われる。
 しかし私はこの賃金高騰に関する事実に関してはその通りだと思うが、それを招く理由の方に原因分析の誤りがあるのではないかと思うのである。
 私は中国の賃金高騰を招いている要因として、若年労働者人口の大幅な人口減が大きな要因だと考えている。
 細かい数字のデータは手元にないが、2010年時点の中国人口ピラミッドを見ると、20~24歳の労働人口世代が1億2千500万人程いるのに対して、その下15~19歳世代は1億500万人程度しかおらず、実に2000万人17%程度も減っている。
 これ対して社会全体は未だに拡大方向の経済発展を続けようとしていているので必然的に需要と供給のバランスが崩れ、労働力不足に陥りその結果労働力を集めたい企業側からは賃金を引き上げて労働力を確保しようという競争が起きる状況になっている。
 これがもし労働力供給が十分であれば今ほどの賃金高騰は招かれなかったはずで、製造業のコスト上昇なども、合理化の進展速度と歩調を合わせられればもう少し緩やな伸びで済んだと考えることが出来る。
 しかし現実には若年労働力の不足が賃金高騰に繋がり、中国の経済競争力に対してコストとして足を引っ張りつつあるようになっている。
 もちろんこの若年労働者の人口減を招いている要因として1979年から始まった「一人っ子政策」の影響が大なのは言わずもがなで、ここへきてその政策のマイナス面が多く出始めている状況となっている。
 現在もこの若年人口の減少はさらに続いており、上記の2010年のデータでは10~14歳の世代人口は8800万人程度で上の世代に比べ1700万17%減少、さらにその下の5~9歳世代は7500万人程度で上の世代に比べやはり1300万16%程度減少している状況となっている

 20年で世代人口が実に3分の2になっているわけで、労働市場全体を見ても恐らく来年をピークに減り始めると言われており、この労働力人口減少が賃金水準のさらなる高騰を招くことになるだろうと予想できる。
 しかし当然のことながら賃金高騰には限界があるわけで、例え労働力の質が同じであったとして、他国水準を上回るところまで伸びることはグローバル経済の中では有り得ず頭打ちとなるはずである。
 賃金の上昇は本来は労働生産性の向上とともに起きるものではあるが、残念ながら中国は別の要因が原因で高騰しており、社会の労働生産性を正確には表してはいないだろうという気がするので、残念ながら現在の中国の労働生産性の状態で他国と同じ賃金水準になれば、競争力を保てないであろう気がする。
 それゆえにこのまま労働者圧力の中で賃金高騰を続ければ、結果として国全体の国際競争力を奪い、中国経済全体が共倒れになる可能性もあるという気がする。
 そういうことが予見される中、経済の国際競争力の足を引っ張っりかねない現在も続く一人っ子政策が、本当にこの国にとって有効なのかはじっくりと研究してもらう必要がある様に思うのである。
 
 まあこの問題は他国の一つの政策の問題なので、外国人の私がとやかく言うことは内政干渉になるかもしれないが、環境と経済は一国の問題だけでは済まされない部分があり、実際この地にいる身分としては、目が離せないのである。



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