インターネット投票のネックは投票の秘密?

 先の日曜日に終わった衆議院議員選挙において、SNSなどでインターネット投票を求める声が多数あった。

 私も国外から在外投票を行う立場から言えば、やはりインターネット投票が行えるならば圧倒的便利になるので歓迎したいところはある。
 ネット上にも、在外投票の登録手続きに時間がかかり過ぎて登録自体を断念した人、登録したが投票用紙の請求等で時間がかかって間に合わなかった人とかなどの声が上がっていて、とにかく手続きに時間がかかるのでネット投票の解禁を求める声は多い。

 よって、可能ならば私もネット投票を求めたい立場である。

ネット投票

 
 そこでネット投票実現に向けて何がネックになるのかを少し考えてみた。

 まず、投票者の認証の問題
 有権者が他人になりすまし、他人の投票権を勝手に行使しないかという問題である。

 これに関しては、今のところマイナンバーを利用しての認証が有力であるが、マイナンバーも万能ではなく、他人に情報を盗まれる可能性もあり、勝手に代理操作をすることが可能なため、他人が別の人のマイナンバーを利用できない対策が必要になる。

 また、マイナンバーは住民票を抜いて海外転出などをしてしまうと失効するという欠点がある。
 このため現状においては在外投票にはマイナンバーは適用できないのである。
 在外邦人に昨年の給付金が支給できなかったのと同じ理由であり、ホームレスの人が投票に参加できないのも同様の理由である。
 そもそもマイナンバーは納税者番号が出発点なので、住民票ベースに外国人も含めてが発番されている番号体系なのである。

 しかしこの点に関しては、海外転出者専用の住民票枠(在外自治体機関?)を設定し、そこへ登録し日本国内で管理すれば在外邦人の管理が可能で、かつマイナンバーを失効させることなく運用が可能になるので、それほど難しい法改正ではないだろうに思われる。

 もちろん住民票のないホームレスもここで同様に扱うべきと思われる。
 ただ専門に扱う役所は必要になるかもしれない。
 これにより、理論上マイナンバーの国民に対するカバー漏れがなくなり、有権者の認証が可能になり、昨年同様の給付金対象の把握に含めることも可能になる。

次に投票結果の信用性の問題である。

 いわゆる紙質のリアルな投票用紙による投票ではないため、投票結果の数字が果たして信用にたるものであるかという問題である。
  紙ならば物理的証拠があるため、あとから何度でも検証できるが、データでは改ざんされてしまうと、改ざんの痕跡は確かめられても内容まで確実に復元できるかは難しい問題である。

 ただこれらはブロックチェーンなどの先端技術などで解決するのではないかと思う。

 ブロックチェーンについては私も細かく説明できるわけではないが、分散保存でデータの安全性を担保できる技術で、ビットコインなどに使われており、投票レベルでは十分信用できるのではないかという気がする。

投票箱

投票箱

 そして一番気がかりなのが投票の秘密の原則である。

 投票の秘密の原則というのは、簡単に言えば誰が誰に投票したかは人に知られてはいけないという原則である。
 これが何故大事かというと、投票の秘密が守られないとある候補へ投票した事実が他人にわかってしまうと、その個人の属する団体から嫌がらせを受けたりするなどして、投票自由が奪われてしまうことになるからである。

 今は投票用紙に候補者名以外の情報、例えば投票者氏名や整理番号などの記載を行わないため、投票箱に入れた途端に投票者から切り離され原則として投票の秘密が守られている。
 また立会人の存在などによって、複数投票などの不正防止に対して正当性が担保されている形になっている。

 しかし、これを電子投票にしてしまうと、上記の認証の正しさと投票の秘密を守ることの両立が難題となる。

 何故なら電子データの世界では、情報を記録することによって正確性を担保しているのに対して、投票の秘密は投票用紙(的なデータ)に記録を残さないことによってデータの秘密の担保を求めているからである。

 この相反する要求をどう解決するかについては、専門家の仕様設計に委ねるしかないところではあるが、私レベルで想像する範囲で言えば、デジタル通貨的な技術を使って、投票箱に通貨データ技術を使って投票用紙を投げ込むことによって、投票後は単なる属性のない数値データとして出力することができるのではないかという気がする。

 つまり投票者認証と、投票結果データを切り離して、遡及できないようにすることができないかと考えるのである。

 まあこの案が有効なのかどうかわからないし、もっと簡単な方法があるかもしれないが、やはり導入時には素人にもある程度納得できる信頼性の説明は必要だろうに思う。

 現代において、ボタンをピッと押して数字を集計するくらいのシステムくらいは、それこそプログラムに詳しい小学生にも作れるような気がするが、先人が積み重ねてきた選挙に求める信用性を維持しながら、ネット投票を実現するにはまだ解決しなければならない課題があるような気がする。

これらの課題を乗り越えて是非公正なインターネット投票が早く実現してほしいものである。





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