今年の夏にオープンした「上海環球金融センター」だが、日本の観光雑誌やパンフレットだと「上海ヒルズ」の通称で呼ばれているが、実は上海にいる我々日本人でさえこの名前はぴんと来ない。
もともとこの名前をつけようとしていたのは事業主体者である森ビルさん本人だが、上海市政府から認められなかったため、現在の「上海環球金融中心」の名前にになったとのいきさつを聞いたことがある。
以降「上海ヒルズ」の名前はあまり主流ではなくなり、どちらかというと上海の日本人の間で通称で浸透しているのは「新森ビル」である。これは以前に森ビルさんが建設したビルがあったためでそれと区別されるためにこういわれる。
「上海ヒルズ」の名称は公式サイトにも見当たらず、日本からガイドブックやパンフレットを見て来た人に言われて、ようやく思い出す程度で、我々にとってあの建物と「上海ヒルズ」の名前はすぐには一致しない。
そもそも六本木や赤坂と違って周りの地形は谷でもないので、ヒルズ(丘)をつくる必要も無く、その名前である必要がなく、また「ヒルズ」の名称は日本の六本木ヒルズのかつての印象が強すぎて、いかにも金持ち趣味のイメージでちょっと辟易してしまうのである。
それ故に「上海環球金融センター」や「新森ビル」の名前のほうが心情的にも受け入れやすい。
まあ日本の観光客向けパンフレットには「上海ヒルズ」のほうがインパクトがあるので使っているのだと思うが、このままでは日本の日本人だけがこの名前で呼ぶようになり、日本と中国の日本人の間で概念を共有できない時期が来るのではないかとちょっと危惧している。というのは大げさすぎるが、まあ「上海ヒルズ」の名前はいずれ使われなくなるであろうというのが私の推測である。