先日、いつものように上海交響楽団のコンサートホールにコンサート鑑賞に訪れたところ、何やら見慣れないマークがホールの壁面に描かれていた。
よく見ると、豹のような動物の絵とともに「JAGUAR」と書かれておりホールの名前の前にも「捷豹」と書かれている。
どうやら上海交響楽団が自動車メーカーの英・ジャガー社とスポンサード契約を結び、ホール名に社名が冠されたようだ。
ネット情報で情報を確認してみると7月8日に業務提携が発表されている。
いわゆるネーミングライツ的提携のようである。
上海の文化施設はスポンサード契約され、企業名を冠している施設がいくつかあり、例えば上海文化広場は「上汽上海文化広場」になり、上海音楽庁は「凱迪拉克上海音楽庁(キャデラック・上海コンサートホール)」、上海万博跡の当時から使われている演芸中心は「梅賽特斯奔馳文化中心(メルセデスベンツアリーナ)の名前となっている。
上汽はトヨタと合弁契約をしている華東地区の自動車メーカーである。
いずれも自動車メーカーであるところが不思議なところであるが、音楽愛好者、特にクラシック愛好者など相対的に収入が高いことが統計としてあるのだと思われ、文化貢献と広告効果を狙って、冠名提携を行なっているのだろう。
まあ上海交響楽団側の詳しい事情は分からないが、昨年からの新型コロナウィルスの影響で、客席制限を余儀なくなされたり、客演指揮者を欧米から思うように呼び寄せられず、集客数などの面で、思うようではなかった可能性がある。
また外来オケやアーティストの公演もいくつも中止になり、さすがに財政基盤の上で不安が出てきた上での提携であるかと推測される。
冠名となるのは楽団ではなくホールの方であるとはいえ、140年もの歴史を持つ上海交響楽団にとっては初めての冠名提携だと思われ、重大な決断であったと思われる。
私のように聴く側にとっては新しい冠名がどうであれ、強いブランドの押し込みなどにならず、演奏会状況が充実すればそれで良いのだが、果たしてどうなるのか不安でもあり楽しみでもある。