先日、上海のタクシーに乗り後部座席の目の前にある液晶パネルを見ていたら、ちょっと不思議なメニューを見つけた。
「出租車移動購物新体験」
なんと、タクシー車内でショッピングを開始したということのようだ。
これまで、この液晶パネルでは色んな種類の広告が流されてきたが、これはそれでは飽きたらず実際の販売まで直接やってしまおうという試みらしい。
つまりこの助手席後ろのタッチパネルを使って乗客に直接物を買ってもらうということらしく、画面には買い物の流れなどが示されていた。
確かにタクシーの客層はバスの客層よりはやや裕福であり、そういった意味で市場マーケットがセグメント化はされているのだが、果たしてタクシーの中で物を買おうとする人などがいるのかはちょっと疑わしいという気がした。
とはいえどんなものが買えるのかを確認してみたくなり、画面操作をしようとしたが、このタッチパネルはどうも反応が悪く、なかなか画面が進んでくれない。
何やらアンケートに答える必要があるらしく、回答しようとしたのだが、やはり画面の反応が悪く、回答し終らないうちにタクシーが目的地に着いてしまった。
仕方なくこの時は、画面だけ撮影してその時は諦めることにした。
で、家に帰って画面上に示されていたURLに接続してみると「即点購」
(www.idiangou.om)というショッピングサイトに繋がったのである。
画面上に並べられている商品を見ると、イベントのチケット、アクセサリー、贈答用高級フルーツなどが表示され、どうやらこれをタクシーでも販売しようという試みらしい。
察するにこのサイト上で会員登録を行なっておけば、タクシー乗車時にいつでもショッピングが可能だという趣旨のビジネスモデルのようだ。
ただ、このWEBサイト自体はまだ未完成のようで、買い物の流れなどを示す案内などはまだページが出来上がっておらず、支払方法も支付宝や銀行振り込みの案内は書かれていたが、タオバオなどのショッピングサイトに比べるとまだ未成熟なのは否めないという気がした。
つまり、このビジネス自体が駆け出しで、発展はこれからということらしい。
確かにタクシーの乗車時間というのは暇ではあり客層も比較的悪くないので、ビジネスの狙い目としては悪くないと思うのだが、タクシーの乗車時間は意外と短いので今回のように画面の反応が悪いと時間が足りずあっという間に目的地までついてしまうので、販売まで結びつけられないような気がする。
もし仮に画面の反応が良いとしても、やはり時間が十分かという疑問はつきまとい、さらに中国のタクシーのように激しく揺れる車内ではじっくりと買い物など出来ないという気がするのである。
思うに、どうしてもタクシー内で販売に結び付けたいなら、画面上で商品情報をSMSで携帯に送れるようにして、買い物手続きは各自のスマホ上でやってもらったほうが懸命のようにも思える。
つまりタクシーの乗車時間では広告したものの情報をお客の手の内に残せるようにするだけで精一杯で、車内での販売は諦めたほうがよく、それで十分だという気がするのである。
いずれにしてもこのタクシー車内の販売ビジネスは始まったばかりのようで今後どう変化するのか推移を見守ってみたい。