万博の入場者の低調が伝えられる中、100万枚以上売れたはずの5月1日~3日の期日指定チケットが利用されていないことが話題になっている。
この原因としていろいろなことが言われているが、一つは政府関係者に無料で大量に配られたので彼らが余らしてしまったのではないのかということ。
さらに大量に買ったのは個人ではなく旅行社ではないのかということ。
そして転売目的のダフ屋が大量購入したのではないかということだ。
政府関係者云々に関しては、私の周りにそういう人がいないので実態としてはわからないが、開幕式の出席者の構成を見れば分かるとおり、一般市民よりそういう立場の人たちが優遇されているというこの国の状況としてありえない話ではないので、容易にそういった推測が成り立つ。
また旅行社の話で言えば、私の周りでも結構4月末のギリギリまで初日の万博チケットがあるので参加しませんか?という話が回ってきていていた。
つまり早々に売り切れたとされるチケットは団体枠で旅行社が買っただけで、買った旅行社が結局その団体枠分を埋め切れなかったケースがあるように察する。
そのとき私のところに来た話は食事などのプレミアがついていたと思うが一人500元であった。通常日の普通券ならば160元で買える物である。
そしてダフ屋の存在である。
私もネット上で指定日チケットが本来200元であるにもかかわらず、280元の値をつけて売りに出されていたのを確認した。
80元の嵩上げである。やはり転売によって利益を狙っている人がいたのである。そのチケットが売れたかどうか分からないが、日本人間でさえこの状態であるのだから、利益に貪欲な中国人たちの状況は推して知るべしあり、恐らく転売目的のチケットが大量に買われていた状況は容易に想像できよう。
いずれにしても本来の「万博へ行きたいからチケットを手に入れる人」ではなく、指定日というプレミア目当ての「利益に群がる人たち」がチケットを手にしていた可能性が非常に高いと推定される。
しかし、そういった利益目当ての目論見は、経済感覚に優れた多くの市民には見破られたようで、特に上海市民は近々無料チケットの配布が予定されていると報道される中、わざわざ高いお金を払って最初の3日間に訪れる価値を見出せなかったのであろう。
結局一部のお祭り騒ぎに煽られた人々だけがそういったチケットを手にして入場したが、旅行社やダフ屋に「売られたはずのチケット」は本当の入場者の手には渡らず彼らの手元に残ったものだと推測される。
故にこういった販売枚数と入場者数が大幅に乖離したという状況が推測される。
まあ、こういったダフ屋の存在は万博事務局にとっては迷惑な存在かもしれないが、事務局にしてもあまり彼らを非難する資格はないであろう。
何故なら指定日という形でプレミアをつけ、通常日より高い値段でチケットを売り出しているのは万博事務局自身であり、彼ら自身が利益を嵩上げしようとしていた胴元なのだから。
そして結局は万博事務局や旅行社も含めたダフ屋たちの目論見は脆くもくずれてしまった。
万博自身の魅力に過剰な期待を持ちすぎていたのが彼らの誤算である。
今後の見通しについても万博事務局はすでに3300万枚売ったとしているが、これとて本当に万博に行くことを決めている人が手に入れているかどうか分からないのであり、誤算に終る可能性は非常に高いとも言える。