某市長の発言により、再び慰安婦問題が世間を騒がしているが、世間の視点とは少し違う視点でこの慰安婦に関する問題を考えている。
世間では慰安婦にされた女性の人権問題ばかりが取り上げられているが、慰安婦の問題は確かに重要な問題であるが、これはそれ以前に軍隊と言う存在をどう考え、軍人の人権というものをどう考えるかの問題も含んでいる気がする。
人類にはあまりにも太古の昔から軍隊というものが存在し、それが当たり前の人類の歴史になっているため、兵隊にさせられた人間に対して人権がどうのこうのという議論は、学術上はともかく世間ではほとんど議論になってないが、兵隊に強制的に徴収され命の危険にさらされる戦場に送られている状況は、現代の普通の社会の尺度からすればやはり人権侵害と言える面があり、慰安婦問題と同様に憂慮すべきことであると思う。
まあ今更、人類の戦争の歴史を批判しても始まらないし、今や徴兵制ではなく多くの国家の軍隊が志願兵制度に移行していため、自由意思によるものだということであまり問題にはならなくなったが、今でも一部国家では徴兵制度が残り、国民に対して兵役を義務を課している。
もちろんスイスやオーストリアのように強い自治意識のもとで国民が納得ずくで徴兵制をやっている場合もあるが、大半は権力者の押し付けで徴兵制であるような気がしておりやはり人権と言う面でどうなのかという気がする。
特に日本の慰安婦問題を強く非難しているかの隣国でも現代においても未だ徴兵制が残り、日本のかつての慰安婦制度を批判するなら現在のおたくの徴兵制は人権侵害じゃないのかと言いたい面もある。
確かに日本も戦前は「お国のために命をささげて働くのは当然だ」的な強引な理論がまかり通って兵役を拒否することは許されず、もちろん喜んで兵役に参加した人もいようが、どちらかと言えば敵に銃口を向けなければ今度は自分が背後から撃たれたれる恐怖があったり、家族が世間の嘲笑の目にさらされるような脅迫意識の下で、敵へ挑んでいった人も沢山いたと想像し、やはりそれも今の尺度から言えば自由意志の否定と言う人権侵害だったと言える気がする。
そして軍隊あれば必ず起きてくるのが性処理の問題で、これは軍隊がある限り太古の昔から必ず存在し、放置すればレイプなどの暴力が軍隊の駐留地で多発してきたのが軍人と軍隊の歴史であり、それをコントロールするためにかつて慰安所という管理方法を利用していたのが軍隊の歴史である。
歴史と書いたが、現在でも軍隊は世界中に存在し、生身の人間を家族から引き離して、軍隊の中に閉じ込める限り性処理の問題は現在でも存在するわけで、各国軍隊はその管理に苦慮しているのが現状であり、我慢しろとか理性を持てなどと言葉上だけで言って解決するものでもないだろう。
さらにこれは軍隊の問題に限らず、現代の企業による単身赴任やスポーツ選手の遠征などにも同様の要素があると言え、まあ1~2週間の短期間ならともかく半年1年となれば性の問題は軽んじることはできず、慰安手当てを出せとは言わないまでも、安易な転勤で居住地移動させ、家族と引き離して単身赴任行動をさせるような人事処理は極力控えるべきで、僅かばかりの転勤手当を払えば済むといった問題ではないという気がする。
つまり慰安婦問題が発生する前段には必ず、軍隊制度などの男性に対する人権問題が存在し、そこを解決しなければ、結局は慰安婦問題だって解決しないということになるのである。