中国の家具が重い理由

 先日ある中国人たちの会話の中に混じっていたときに聞いた話である。
 彼らが言うには、上海にあるIKEA(イケア)の家具はあまり良くないという話題になった。

 IKEAとは日本にも進出しているスウェーデン発の家具販売チェーンのことで、上海にも進出しているお店である。

 何故IKEAの家具が良くないかについて、彼らのいうことを100%理解したわけではなかったが、どうやらIKEAの家具は合板を使っているから良くないのだというのだ。
 彼らにとって、良い家具とは切り出しの材木や一枚版を使っているものが良い家具の条件であり、合板などを使っているのは邪道だと言う発想のようなので、故にIKEAの家具は駄目だというのだ。
 どうも合板というのは、彼らにとってはでっち上げの材料であり、本物の材料ではないというような発想らしい。
 ともすると合板は安物の板の組み合わせで、ごまかしで家具を作っているという印象に映るようである。

 今更ながらこの考え方にはちょっと驚いた。

 確かに、切り出しの木材で作った材料というのは高級感があって、価値があるであろうが、切り出しの木材を使えば木工家具などは木の繊維が目いっぱい詰まっているため、重量が非常に重くなるのであり、持ち運びなどには非常に不便なものとなる。
 しかし、恐らく中国人にとっては家具は運び歩くものという発想がないため、重量というものはあまり気にならないようだ。
 むしろ重ければ重いほど高級な価値を持っているという発想がどこかにあるような気がする。

 この点、例えば日本の家具は発想が全く逆で、如何に軽くて丈夫なものを作るかに力点が置かれ家具文化が育まれてきたという気がする。
 日本の箪笥の材料として最も好まれた材料の一つに桐があるが、これば桐が非常に軽くて丈夫で狂いが少ない材料であることが大きな理由としてあり、引っ越しなどが頻繁に行われた江戸時代では、箪笥が軽いことは大事な要素であった。
 ただ桐は高級品であったため、安くても軽くて丈夫なものを作るために後に合板というものも登場したが、これはあくまで軽くて丈夫な材料を安価につくるための技術であり、ごまかしの技術とはちょっと発想が違っていたのである。

 故に冒頭に触れたIKEAの家具についても、恐らく持ち運びの出来る丈夫で軽い家具を嗜好したが故の商品ラインナップやその原材料であり、安物を高級っぽくごまかして売ろうという発想ではないような気がするのである。

 しかし、中国人達の根本にある価値観では、どうもIKEAの軽い家具はハリボテ的で重みが無く、安っぽいものに映ってしまうようである。

 このような発想が中国全体にあるが故だと思うが、中国の家具はどこに行っても基本的に非常に重い。

 中国で時々家具の移動を手伝わされたりする時に、家具を持ち上げた際にその異様な重さに日本人の私は驚かされるのである。

 日本人の私から見れば、もっと軽くて良い家具がどこかにあるだろうにと思うだが、どうやら中国では、家具は重いモノであることが大事な要素であるようなのである。

 なんで中国の家具が重いのか、今回彼らの話を聞いてようやくわかったような気がする。





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