上海地下鉄4号線は環状運転を諦めるべし

 先月、地下鉄3号線の混雑を理由とする3号線の分断問題について一度文章を書いたが、それから3号線に乗るたびにいろいろ思考を凝らして見た。
9月16日「本当に上海地下鉄3号線は分断されるのか?」)

 で、私が思うに3号線を分断するより4号線の環状運転を諦めた方がいいのではないかという考えにいたった。

 上海の地下鉄4号線というのは、山手線や大阪環状線のごとく上海の都心部をぐるっと囲んで環状運転を行なっている路線で、上海市としても大都市の一つの理想要件として考えてこの路線を建設したのだと思われる。(日本の発展の真似?)

 しかしながら、都市の設計理想とは裏腹に道路の環状道路と違って、都市の環状鉄道は環状であることにそれほど重要な意味を持たない気がする。

 自動車交通の場合は、環状道路というのは都心部に流入する交通車両を減らし、混雑回避や環境改善に役立っていると言われる。
 それに対して鉄道の乗客は環状線の利用により、ショートカットされ時間を短縮できる可能性もあるが、放射状の路線がそれぞれぞれ都心部を貫いていれば各所で連絡する可能性が高く、乗換の面倒くささを考えれば都心で一回で済ますほうが楽であり、わざわざ乗換回数を増やして環状線に乗り換えるメリットはほとんどない。
 実際、上海の地下鉄網はそういう都心での乗換えのほうが楽な状況になっている。

 しかも、上海の地下鉄4号線は環状運転を行なうメリットがそれほどない場所ばかりを走っている。
 山手線や大阪環状線が環状運転を行なうのは、郊外へ向かう列車のターミナル駅を結ぶから意味があるのであり、実際山手線は東京、品川、渋谷、新宿、池袋、上野、秋葉原など外へ向かう路線のターミナル駅を結ぶ役割を担っている。

山手線には新宿・代々木・原宿に駅がある。

東京の山手線

 これに対して上海地下鉄4号線のルートは、上海火車站駅こそ郊外へのターミナル連絡駅だが、あとは地下鉄同士の連絡駅ばかりである。

 まあ3号線との共用問題が無ければ4号線の環状運転を否定する意味はないが、運転密度の関係でどちらかを分断する必要があるなら、諦めるならのはやはり4号線の環状運転だという気がするのである。

 3号線の乗客が平均何駅区間乗るかは分からないが、起点から終点までの乗り通す人も皆無ではないだろう。
 それに対して4号線の乗客は、常識的に考えて最大でも全線の50%しか乗らない
 当たり前の話だが環状線で50%以上乗るのは、乗車方向を間違えた客でしかなく、一周全線乗るのは暇な鉄道フアンか、寝たままの人くらいなものである。

 しかも放射状の路線と各駅でクロスするので、都心部を貫くショートカットが可能で、環状線の1乗客あたりの利用区間はますます短くなるだろう。

4号線の路線図

4号線の路線図、左上の黄色い部分が共用部

 そう考えると、4号線について環状運転にこだわる理由はますます低くなり、環状運転を諦めて3号線に接続する宝山路(或いは上海火車站)駅から虹橋路駅までのC型運転で線路容量いっぱいまで本数を増やすだけで、利便性の向上は十分だという気がする。
 もちろん3号線も共用部が無くなれば、線路容量いっぱいまで本数を増やせる。
 つまり利用客の立場を考えれば、環状線を諦める方がはるかに効率的と言う気がするでのである。

上海地下鉄3号線と4号線の合流点

上海地下鉄3号線と4号線の合流点

 ただ現在の状態から移行するなら、既存利用客のためにこの分断の起点駅となる宝山路駅と虹橋路駅での乗換えの利便性を確保することは必要で、東京の御茶ノ水駅のような形で行先方向別のホーム設置するなどの改造の配慮は必要だろう。

 いずれにしても将来の需要予測を考えずに路線の共用などという安易な手を考えてしまった影響で、どちらかの路線が分断の危機に立たされているとうことになる。





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