秋葉原を模倣しようとする愚かさ

 中山公園付近を上海の秋葉原として家電の町にしようとする構想があるらしいが、明らかに愚かな模倣の計画である。

 この計画を立てた人は秋葉原の何を見て模倣しようとしているのだろうか?
 秋葉原の何を知っているというのであろうか?
  もしや単に家電の店の集まったエリアを作ろうとしているのではなかろうか?

 このニュースを聞いて模倣好きな中国人のいつものビッグなアドバルーン計画だなとの印象がぬぐえなかった。

 家電売り場を集中させることに集中のメリットの意味はあるかも知れないが、今の中山公園の家電売り場はどこも同じような商品が並ぶだけでどこへ行っても適当な売れ筋商品が並ぶだけのお店である。
 数店舗が集中することによって価格競争のメリットはあるかもしれないが、それだけで街全体が秋葉原のような特徴を持つかといえばそんなことはありえない。

 秋葉原の電気街として持つ魅力の凄さは家電の安さというよりその専門性の深さである。
 戦後の闇市から始まったこの街には、一般の人が目にすることもないような電気部品のパーツから、スパイ用の盗聴用品のようなものまで、およそ見つからないものはないであろうというくらい色んな商品が街には眠っている。

 日本にいるときDAT(デジタルテープレコーダー)を持っていた私は、本体の生産が中止になってからもメディア(テープ)を扱い続ける秋葉原のお店に時々買いに行ったものである。
 またMD4と呼ばれる、MTR(マルチトラックレコーダー)のMD(ミニディスク)版の機種を持っていたため、そのメディアを探しに秋葉原に通った。

 近所の大型家電センターでも取り寄せることは可能だったかもしれないが、秋葉原なら現物があるという安心感があった。PC全盛になった現在でも細かいパーツの隅々まで探し当てられるという安心感が秋葉原にある。

 ところが今の上海の電気街はどうであろう?
 部品の店も探せばなくはないが、基本的には日本の大型家電店のように大手メーカーの流通品ばかりが並ぶ。
 こういった店を何店も建てたところで、街の魅力が奥深くなっていくわけではない。

 魅力がなければ家電目的のお客も集められず、金太郎飴のような品揃えでは単に価格競争で共倒れするだけである。
 そういった本当の意味での秋葉原の分析ができていないのではないかと推測するのが今回の秋葉原化計画のように思える。

 秋葉原は簡単に真似できるほど浅くない。





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