世の中においてCDというメディアはどうやら時代遅れになりつつあることを感じている。
中国に来てから一時期帰国の度に、日本から若い頃に買い溜めたCD をたくさん持ってきており上海側のストックもそれなりの枚数になっていたのだが、最近めっきりそれを聴く機会がなくなった。
何故かと言うと、音楽を聴くという行為のほとんどが、スマートフォンやインターネットからの音楽を聴くスタイルとなり、ほぼそれだけで事足りてしまうようになったからである。
CDでしか持っていない音源や楽曲も沢山あるのだが現状はこちらで最近買ったミニコンポでしか再生できない状況であり、CDドライブ付きのPCもないことから、MP3へ変換して携帯やパソコンに取り込むことができない状況になっている。
一応外付けCDドライブも持っているが、内蔵型より手間がかかるし、そこまでの作業に手が回らなくスマホではネット経由の音源を聴くに留まり、それで一応済んでしまっている。
そういえば気がつくと世の中からCDを音源の中心に据えた音響製品もどんどん姿を消しているような気がする。
Bluetoothイヤホン製品というのがその典型というか象徴の印象で、音源ソースの主たるターゲットはスマートフォンであり、自宅でステレオコンポから音楽を聴くスタイルとは明らかに異なる。
このスタイルの中で言えばスマートフォンとイヤホンをBluetoothで繋いでしまえば音源はインターネットからダウンロードした音楽で十分なのである。
しかもサブスク契約のおかけで、とんでもない音源数の聴き放題環境が整っていて、CDを一枚一枚をセレクトして大事に聴くといった趣味性も失われてしまっている。
もちろんCD プレーヤー付きのコンポとイヤホンを繋ぐこともできるが、そもそもCD を一枚一枚入れ替えたりして音楽を聴くという行為自体が今の時代となっては既に煩わしい行為となってしまった。
音響メーカー側の製品ラインナップでも既にCDを取り扱わないメーカーも少なくなく、取り扱うにしてもハイレゾとか超高音質のものを謡い文句にしていて従来の音質のCDというのは主流ではなくなっている状況である。
そういえば以前ラジオか何かで聞いた話だがあるベテランアーティストが自分の作った曲をCDに焼いて配ろうとしたらCDでは機器がないので困るから、できればデータで送ってくれないかと言われたという話があった。
つまり世の中では既にはCDプレーヤーを持ってない人が大半となり、CDを渡されても再生する機械がなく困ってしまう時代なのようである。
このように 私が若い頃に慣れ親しんだCDを買い集めて聴くという趣味の行動は既に過去のものとなり、音楽を聴く行為はネットからダウンロードしたデジタル音源をイヤホン・ヘッドホンで聴くといったスタイルが今の主流となっているのである。
しかし私が集めたCDの円盤たちは、半永久的に変化しないことがウリで謳い文句だった面もあるように、何年たってもそう簡単には劣化しないのでコレクションは残り続けてしまう。
しかしCD盤は残っても再生機器が無くなってしまえば無用の長物と化すのが運命である。
「老兵は死なず,ただ消えゆくのみ」ということのようである。