「ありがとうございます」と「ありがとうございました」の違い

10年以上前に亡くなった先代の桂文治(10代目)師匠のYoutube動画で聞いた話である。

現代の人はよく「ありがとうございました」との言いきりの言い方をしてしまうとのこと。
これのどこが問題かというと、この「・・・ました。」というのは、日本語の完了形としては別に間違っているわけではないが、物事を完了させてしまうので、つまり関係が事切れになってしまうというのだ。
 折角感謝の気持ちを伝えているのに、物事を事切れにしては次につながらないので勿体ないという話である。

 人間関係というのは、一度知り合った縁というものをそれなりに大事にしておけば、やがていつかその関係が自らを助けてくれることもある。

よって余程嫌な相手ではない限り、距離を置いても出きれば縁は切らないほうが人生の財産として保っていける。

もちろん、意味のない集まりの○○会などにだらだらと参加し続けるということではなく、そういった関係は決してプラスにもなるとも言えないので、思い切って断捨離してしまった方が良い場合もある。

まあそこは匙加減である。

とにかく、一度つながった縁は程よい距離を保ったまま切らないというのが理想であり、そこでの一つ一つの言葉が重要ということになる。

話を戻して言えば、「ありがとうございました」と言い切ってしまうことは、その関係が終わってしまった印象を与え、事切れになる印象があるということになる。

そこで「ありがとうございます」と完了形にしない方が、感謝の気持ちを次にも繋ぐ印象になるということになる。

「ありがとうございます」と「ありがとうございました」は耳で聞く限りにおいては「・・・ました」と言い切ってしまった方がさっぱり切れの良い印象になるが、切れが良いという事は、結局は「切れる」という事なのであり、終わってしまう印象に繋がるのである。

同様に日本語独特の文化である「いつかまた会いましょう」「今度またやりましょう」の「いつか」や「今度」というのも時間を約束しないいい加減な言葉ではあるが、物事を事切れにしないための、曖昧な言葉であり、上述のような将来の人間関係の継続への知恵というべきであるという気がする。
「ありがとうございます」と「ありがとうございました」は、どちらでも良いような言葉の選択であるが、中国人の間で時々日本語を指導する立場において、気になるこの言葉の印象の違いなのである。





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