上海からは山が見えない

上海という町は日本人にとってはそこそこ住み心地の良い街であるのだが、日々の暮らしの中でやや物足りない面があるとすれば、風景の単調さということができるであろうか?
上海の街全体は長江下流の砂州の上に出来たような街で、周囲にはほとんど山がなく、ほとんどフラット地形となっている。
そのため、街を歩いても坂らしい坂はほとんどなく、あるのは川や道路を越える橋や水辺へ降りるための人工的な造形物のみがほぼ唯一坂のある場所となっている。

上海市の陸橋

上海市の陸橋

上海にも一応山と呼ばれる存在はあるが、中心部から南西部の松江区にあるシャー山がそれで標高100m前後で天文台などが設置されているが、海抜100mという高さは市内にあるビル群に比べれば遥かに低いのであり、例えば上海のシンボルとなっている東方明珠塔の4分の1以下の高さである。
また黄浦江にかかる南浦大橋の主塔の高さは150mであり、やはりこちらが自然の山を上回っていて、シャー山は山としての存在感はほとんどないものとなっている。

上海市の陸家嘴の風景

上海市の陸家嘴の風景

上海ではこのような状況のためビルがあるような都会はともかく、ちょっと郊外にでるとどこまでも続くフラットな田園風景が広がっていて、単調な風景が広がっている。
こういったフラットな地形は自転車で移動するにはもって来いなのだが、山のある風景に慣れた日本人にとっては日々の生活風景に変化が少ないのでやや物足りない風景となっていて、寂しさを感じるものが有る。

ところで、こういった山の見えない風景と言うのは、実は上海に住む人々の気質に大きな影響を与えているという気もする。
つまり上海では、山や坂と言う障害を経験せず暮らすことが出来るので、日常から困難や障害に立ち向かう意識が弱く育ってしまっているのではないかという気がするのである。
日本の都市のように、身近に気高く聳える山の存在があれば自然へ畏怖や信仰を持つだろうし、それらの山へ苦労して登った経験があればその達成感を知っているから、困難に直面しても苦労にも耐えられる気質が育つ。
しかし上海にはそういった越えがたい自分より大きい山の存在や、苦労の後の喜びを与えてくれる山や坂と言う存在が無いため、日常から下積み的な苦労を非常に嫌い、困難に直面するとすぐに逃げ出す人が多いのではないかという印象なのである。
 

蘇州河に架かる橋

蘇州河に架かる橋

実際、上海の人間に接すると日常は見栄っ張りで元気でプライドの高い人間は多いが、最後まで粘り強く行動できるいわゆる根性のある人と言うのはあまり見たことが無く、お金には執着するが仕事に執着する人は少ないという気がする。
どちらかというと未来の障害に対する警戒心が弱く非計画的で、実際の困難に直面するとすぐに諦めるというが私の上海人の印象となっている。
こういった気質に地形が与える影響がどの程度あるのか分からないが、少なくとも日々の上海の風景に山は無いのであり、苦労して坂を上らなくても暮らせてしまうのが上海の日常風景となっている。





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