商売人感覚の欠如

先日、JALの会長に就任した<稲盛和夫会長さんが「社内に商売人感覚や企業家精神をもった人があまりに少ない」と指摘(MSNニュースより引用)>していた。

商売人感覚、つまり物事の採算を考えて判断するということである。

 まあJALに関していえば、そういう人間が幹部に大勢いたならば、今回のような事態は引き起さなかったであろうから、特段驚くべきことではない。

 現に航空不況と言われながらANAに関しては何とか持ちこたえている状況を見れば、危機を回避できる手段はあったはずなのである。

 しかし残念ながらJALは民間会社とはいうものの国策会社として半民半官のような状態で運営が行なわれ、政治的な意思で地方の赤字路線を背負わされてきた歴史がありその結果今回の状況を招いたので、このことに関してJALだけを責めることはできない。

 故にこの会社に普通の民間会社のような商売人感覚が育つような土壌があったとは到底思えず、というかそういう商売人感覚を持った人がいれば、政治国策の押し付けは断っていただろうが、断れないのがこの会社の根本であり、社内で下手に商売人の理論を振りかざせば居心地が悪くなる社内体質であろうという状況は想像に難くない。
 
 まあJALのみならず、日本の官僚の中に商売人感覚を持った人間が少ないのは、先日の「予算仕分け作業」でぞろぞろ出てきた訳の分からない事業を見ればよく分かる。よくこんなことにお金を使おうとしていたなぁというくらい訳のわからないことにお金を使っている。

 しかも彼ら官僚は、国の教育制度の中で優秀とされている大学を卒業し、難しい試験を突破してきたエリートのはずである。その教育エリートであるはずの官僚が行なう施策に商売人感覚が欠如するのは、つまり日本の教育システムの中に商売人感覚を育てる部分が欠如していると言い換えることができる。

 これはよく考えてみれば不思議な部分で、自立するための技術を身につけるべき教育の中に商売人感覚を育てる部分がないのは教育の欠陥といっても良いかもしれない。

 もちろん子供の頃からあまりお金に細かい人間になってしまうのも考え物だが、大人になっても採算を考えての行動できなければ、会社や生活が破綻し路頭に迷うだけである。

 現に優秀な官僚が統治してきたはずの日本の国家財政が破綻寸前で青色吐息であるのは周知の事実である。

 まあ、これがどこかの党が主張するように政治主導でよくなるのかといえば、なんともいえない部分であるが、今のままではJALどころか日本が破綻するのは時間の問題ともいえる。

 JALの現状は残念としか言い様がないが、個人的には思い入れのある会社なので、商売人の感覚を取り入れて再建に向けてぜひ頑張ってもらいたいものである。





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