日本を好きとは言えない立場

 先日、日本のラジオに駐日中国大使の程永華さんが、中国の大使としては初めて日本のメディアの番組にゲストとして呼ばれていた。
 程大使は留学時代を含めると、日本滞在歴は足掛け25年を超えるとのことで、非常に日本を良く知り、日中関係を知る人物である。
 もちろん大使や外交官という立場を持つ以上は、どんなに日本に馴染んでいても中国という国家を代表して発言をしなければならないわけで、国家間の情勢が厳しい時期には厳しい発言をせざるを得ない立場にある。

 例えば日本の靖国参拝などに対しては彼が個人的に別の見方を持っていたり、抗議は形式的だなと感じているものが内心にあっても、彼は背後の国家を代表して厳しい発言をする役割を担う立場となっている。
 つまりどんなに本人自身が親日だったり知日だったりして相手の国の事情に理解があっても、背後の国家の主張や国民感情を超えての発言が出来ないのである。

 そんな微妙な大使の立場を象徴する発言が、上記のラジオ番組の中でも聴かれた。

 女性アナウンサーが程大使に向けた「日本は好きですか?」という質問に対して、彼は肯定も否定もせず「いい経験をさせてもらっている」という回答するに留めたのである。

 まあ普通に考えて25年も日本に滞在し、日本語も堪能な大使の状況から考えれば「日本が好きです」と言えるほどの親しみの感情は持っていると考えられ、少なくともリップサービス程度には言えるはずである。

 しかし母国の中国には一定数の反日勢力があり、日中関係は雪解け方向に向かってはいるものの、国家間には一定の距離感があるわけで、そういった国を代表する立場からは「日本が好き」とは言えないのだろうと感じた。

 今現在の駐韓日本大使(誰が赴任しているのか知らない)が「韓国を好き」と言ったら、日本国民から反発を受けるのと同様だと考えればわかりやすいだろうか?

 日本に25年も滞在しながら「日本を好き」ということが許されない立場、気の毒といえば気の毒に感じた駐日大使のラジオ番組での発言であったのである。





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