恩を売りに行って恨みを買ったかもしれない外交

世間のニュースで周知されているとおり、ISIS(通称イスラム国)で人質となっていた後藤健二さんがどうやら殺害されたらしいという状況になった。
 先に殺害された湯川遥菜さんと合わせて日本人2人が殺害された結果となったが、どうもこれは日本政府外交のミスである可能性が高いような気がする。
 もちろん、この2人が拘束されたのは安倍首相が周辺諸国を訪問するより前の昨年の事だったようだが、今回の中東歴訪がきっかけとなって事態が拡大してしまった面は否定できない。

 今回日本政府は人道的支援を行なうために2億ドルもの資金援助を提供するとしていたようだが、その演説の中でISを名指して「ISと戦う国に対して人材開発とインフラ整備を行なう」と援助に対して政治的な条件付けをしまっている。
 単なる人道的支援ならばこういったISと対する国へ支援するなどという条件付けなど不要なはずなのだが、恐らく「関係国へ恩を売りたい」がために敢えて強調してしまったのだと察する。
 或いはアメリカと同様の立場を示したいがために敢えて「テロと戦う」と言う立場を明確にし、中東周辺各国にすり寄りたかったのではないかとも推測できる。

 まあこの中東歴訪は、表向きは国際国流であっても恐らくは日本国内の景気対策の一環としての意味が含まれており、お金をばらまいても人材不足で効果の無くなった国内経済対策費用の一部をODA的に海外に振り向け、現地での支援事業を日本企業に受注させ、現地国への恩を売りながら国内の景気対策を刺激する意味があったのではないかと私は察している。

 しかし、今回現地の状況を見る限りにおいては、実際は恩を売るどころか恨みを買ってしまったのではないかという気がしている。

 つまり今回日本人2人が殺害されたばかりか、現地のヨルダン人パイロットの安否が危ぶまれる状況が大きく発覚したわけで、結果的に現地のISの存在感を益々際立たせ、ISを支持する人に自信を与えるような状態になったからである。

 そうなってしまうと、現地でも今回の騒動のきっかけは安倍首相の訪問が原因だと指摘される可能性があり、例え首相の発言がなくても同様の結果になっていた状況であっても、事態の原因の責任を日本が押し付けられ可能性が出てくるわけで、つまりヨルダンや周辺国から日本が疫病神扱い扱いされるかもしれないのである。

 今回は外務省が人質拘束の事実を把握していたというのだから本来の外交の常識から言えば、あの時点で首相のあのような発言は控えられるべきなのである。
 しかし、そういった状況に配慮しないあまりにも軽率な発言に、日本政府は末端の犠牲は止むを得ないと思っていたのではないかという推測さえ頭をよぎってしまう。
 つまり、今回のような事態を招くことは想定内で敢えてあのような発言をして、IS側に恨みを集中させることにより「テロと戦う」「集団的自衛権は必要」だという世論の喚起を起すことを狙っていたのではないのかと勘繰ってしまうのである。

 まあここまでは私の考えすぎであると祈りたいが、しかしながらかの首相は同じ党の同朋が落選するかも知れないという総選挙を700億円ものを国費を惜しげもなく投じて自分の内閣延命以外の目的が何もない状態で実施するような人物であるから、自分の行動言動が末端の1人1人の人間に与える影響まで目が行き届いているようにとても思えないのである。

 国のトップが今までの何の関係のなかった集団を敵呼ばわりすれば相手は敵となり、さすれば相手もこちらを敵と認識するのは当然であり、その影響を受けるのは結局は末端の人間である。
 残念ながらこちらにどんなに正義が有ろうと考えようとも相手は相手の理屈で行動しているわけだから、単なる上っ面の善悪2極論を振りかざして対立しても問題は解決しないのである。

 テロに屈しろとか取引しろとまでは言わないが、可能な限り敵対関係を避けることによって引き出せる平和へのアプローチがあるはずで、極力相手の恨みや不満を取り除くアプローチが結局はテロを防ぐ近道だという気がしている。

 そういった意味で、本来は貧困から人々を救出し恨みを和らげるはずの今回の人道的支援のお金だったはずなのだが、首相・政府の「恩を売りたい」「集団的自衛の布石」という余計な欲が見え隠れして蛇足な言葉が付け加えられた結果、2人の自国民の犠牲者を生む非常に残念な結果となってしまったことは非常に悔しいことである。

 犠牲者のご冥福をお祈りします。
 





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